絵を描くことが習慣になると日常が変わる! 絵を習慣化する3つのポイント

わずかな余白や紙の裏にサッと絵が描ける人をみて「うらやましい」と思ったことはないでしょうか。
実は、絵をサッと描ける人は絵を描くことが習慣化しています。

今回は、絵を描くことが習慣になると「どのように日常が変わるのか」、
また絵を習慣化するポイントを3つお話しします。

絵を描くことが習慣になると変わること

絵を描くことが習慣になるとモノをみる目が変わります。
日常生活は、自分の気持ちひとつでガラリと変えることができます。
絵を描くこともその一つです。

<日常の中に変化や美しさをみつけるようになる>

絵を描くことが習慣になると、絵にしたいモチーフを探すことも習慣になります。
例えば、花を描くことが習慣になれば、毎日「描きたい花」を探すでしょう。
絵を描かない人は、目的地に到着するまでは単なる過程です。
しかし絵を描くことが習慣になっている人は、道を歩きながら絵のモチーフを探します。
道端に咲いている小さなスミレやタンポポをみつけたら絵に描きたくなるでしょう。
つくしをみつけたら春の訪れを感じるでしょう。
また、秋になれば柿が実ります。
空の青色と柿のオレンジ色のコントラストの美しさに感動するような感性も磨かれます。

多くの人が気づいたり感動したりすることがない日常の変化に気づき、
日常の中に美しさをみつけられるようになります。

<日常にあふれている作品が目に留まるようになる>

絵を描くことが習慣になると他の作品も意識するようになります。
例えば、電車に乗っているときでもスマートフォンの画面ではなく、
車内のチラシや車窓の景色をみて「少しでも絵の材料を増やそう」と考えるようになるのです。
車内のチラシには絵の材料があふれています。
グルメ情報には「おいしそうに見える構図」があり、雑誌広告からは色の組み合わせ方を学ぶことができます。
筆者が美大受験予備校に通っていたころは、電車内の広告をみながら「この色の組み合わせは素人並みだ」や
「こんなにゴチャゴチャ要素を入れたら伝えたいことが伝わらない」などと心の中で講評していました。

絵を描くことが習慣になるだけで、すべてのものの見方が変わります。
日常にあふれているチラシや看板などのすべてが「作品」にみえるようになり、目に留まるようになるのです。

<日常に刺激が生まれて心がイキイキとするようになる>

「日常生活がつまらない」と感じている人は、マンネリに陥っているのではないでしょうか。
とはいっても日常生活は同じことの繰り返しであるから「日常」といいます。
日常の中で自分の心をイキイキとさせることが、日常のマンネリから脱出するコツです。

絵を描くことが習慣になると、何気なく過ごしてきた日常のすべてにアンテナを張るようになります。
道端に咲いている花や車内の広告、喫茶店のカップや通行人のファッションなどが創作の刺激になるのです。
日常を脅かすような刺激は強すぎます。
日常の安定を守りつつ心地よい刺激を得られることが絵を描くことを習慣にする最大のメリットです。

絵を習慣化する3つのポイント

無意識のうちに絵を描くことが習慣になっている人は、よほど絵が得意で描ける人です。
多くの人は「絵を習慣化する意識」をもたなくては習慣化することは難しいでしょう。

ここからは、絵を習慣化しやすくするための3つのポイントをお話しします。

<いつでも絵が描ける準備をしておく>

少し前に「大人の塗り絵」が流行しました。
しかし継続できている人は意外と少ないようです。
理由は「意気込みすぎ」かもしれません。
高級な色鉛筆を購入し、汚れないように引き出しにきちんとしまい、
塗り絵をするときにはテーブルの上を片づけてから始めていたのでしょう。

継続するコツは「開始までの動線とプロセスを短くすること」です。
常にテーブルの上に塗り絵セットを置いておけば、
色鉛筆を取り出しテーブルを片づけるプロセスをまるごと省略することができます。
外出するときにも、バッグの中にメモ帳を入れておけば
絵のアイデアが浮かんだときにサッとスケッチすることができます。

<「いい絵を描く」と思わない>

絵を習慣化するためには、継続することをポイントにして、絵の完成度は気にしないようにします。
毎日素晴らしい絵を描くことは不可能です。
毎日メモのように絵を描き「描きためた絵を眺めていたら作品のヒントになった」ということはよくある話です。
「いい絵を描くぞ」と気負わずに「今日も1枚描けた」くらいにリラックスすることが習慣化するポイントです。

<描けるものではなく描きたいものを探す>

絵を習慣化すると自分の得意なモチーフが出てきます。
しかし、得意なモチーフが好きなモチーフとは限りません。
絵を習慣化するためには、上手下手に関係なく「描きたい」と思う絵を描くことがポイントです。
何かをみたときに「これが描きたいな」と思うということは、心がイキイキとし始めた証拠です。

おわりに

中高生はカフェに入れば飲み物をスマホで撮影し、友達と会えば友達と写真を撮っています。
物事を俯瞰する大人からみれば「なぜ、こんな普通のことをいちいち写真に撮るのだろう」と思います。
しかし「写真に撮る」ということは心が動いていて感動しているということです。
中高生がいつも笑って元気にみえる理由は「日常の小さなことに感動しているから」ではないでしょうか。

絵を描くことが習慣になれば、中高生がスマホで撮影するように日常を絵に描くようになります。
日常を俯瞰することは大人のクール感がありますが、
中高生のように日常を仰望することもイキイキと日常を過ごすためには必要なことなのではないでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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