アトリエCHICORA
生徒に直撃インタビューシリーズ

夢の絵本作家デビューを果たしてからも絵画教室へ入会。その理由は――?


東京・四谷にある絵画教室「アトリエCHICORA」(通学)は、絵画・造形からキャラクターに至るまで生徒1人ひとりが「描きたいもの、つくりたいもの」を先生と一緒に見つけ、個々の“好き”を伸ばしていきながら笑顔が増えるようなスクールを目指している。

何よりもユニークな点は、絵本づくりのすべてを学ぶことができる「絵本の学校(Woman Creators College)」、絵本の出版社「CHICORA BOOKS(ちこらブックス)」、女性アーティスト&クリエイターのエージェント「WCB(WOMAN CREATORS BANK)」が同じ運営元による1つのグループとして連動しているため、絵の力を磨いた先には絵本作家としてデビューすることや、イラストレーターとして活動するなどの“可能性”が溢れている点だ。

そこで今回は実際にアトリエCHICORAに通う“生徒さん”に「この絵画教室ならではの魅力」についてリアルな声を聞き出すインタビューを実施。それでは、三木みな子さん、ご登場お願いします!

三木みな子さんのプロフィール

多摩美術大学卒、ウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」(WCC)10期卒。

代表的なお仕事

『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』Vol.04-15(12巻分)挿絵

絵がコミュニケーションツールだった子ども時代

――三木さんは多摩美術大学を卒業されているんですね

はい、多摩美の油画専攻でした。

――子どもの頃から絵を描くことが好きでしたか?

何かをつくることが好きでした。もともと性格が引っ込み思案で、友達といるときはよく話すんですけど、みんなの前で発表などになると緊張してしまって。言葉ではうまく伝えられないときに絵で表現することをよくやっていた記憶があります。

――絵がコミュニケーションツールだったんですね!

そうなんです。その流れで美大に行くことを決めて。高校3年生のときに通っていた美術予備校でデザインと油画とどちらに進むか迷ったんですが、デザインは誰かの期待に応える表現だなと感じたので、自分の中の表現を模索したいと思った私は油画のほうに進みました。

WCBに在籍してコンペで掴み取った絵本作家デビュー

――アトリエCHICORAには社会人になってから入られているんですよね。その前に「絵本の学校(Woman Creators College、以下WCC)」にも通われていて。

はい、社会人6年目の頃に絵本の学校(WCC)に通いはじめました。

 絵本の学校(WCC)

小さい頃から絵本をつくりたい思いはあって、それが少しずつ積み重なっていたんです。社会人になってからは残業が多くて大変だったんですけど、それでも朝早く起きて1時間は絵を描いたりしていました。絵と関わりのない仕事に就いていたので、絵を描きたい気持ちも日々たまっていって。

それでネットで探して絵本の学校(WCC)を見つけました。

――たくさんある絵本スクールの中でなぜ絵本の学校(WCC)を選んだんですか?

絵本だけを書けるようになっても自分が趣味で書くことと変わりがないと思ったので「体系的に学べるスクールがいいな」と感じていたんです。その点、絵本の学校(WCC)であれば、絵本づくり、出版の根底の部分から教えてもらえそうだなと。

あとは、サイト内にある卒業生のインタビューを読んで共感して、挑戦しようと思いました。

絵本の学校(WCC) 卒業生の記事

――絵本の学校(WCC)に通ってみて、イメージ通りでしたか?

はい、期待通りでした。体形的に学ぶことができた以外にも、同期の友達との繋がりが今でも続いていることがうれしいですね。励ましあったり、展示会に誘いあったりと、刺激しあえる関係の仲間ができたことが良かったです。

――卒業後には『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』で絵本作家としてデビューされているんですよね。その経緯について教えてください。

卒業後に絵本の学校(WCC)やアトリエCHICORAの運営元が設立した女性アーティスト&クリエイターのエージェント「WCB(Woman Creators Bank)」に入りました。

 WCB(Woman Creators Bank)

月額を払って所属アーティストになることでWCB経由で指名で仕事の依頼が入ったり、WCBに相談された企業案件をコンペ形式で挑戦できたりするので、活動の幅が広がると思ったんです。

WCB在籍後まもなくの頃に、とあるリフォーム会社が社内向けにつくられている季刊絵本『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』Vol.04の総画家のコンペがあったので参加したところ、ご指名をいただきました。現在はvol.15まで出ていて、継続して私が担当させてもらっています。

――コンペで勝った要因はご自身ではどのように分析されていますか?

『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』の案件は、実際のリフォームの話を元に挿絵を描くというものだったんです。じつは私の家もリフォームの経験があって、同じ場所なのに別の家に住んでいるぐらい人生が変わるような体験をして、それまでの悩みが解消されて暮らしが本当に良くなったことがあったので、追体験をするように描きました。

あとは、vol.03までは別の方が描いていたので、それを見て、何度も練習をしたり。リフォームの話なので部屋の中のパースがちゃんとしていないと話にならないと思ったので、そこはもちろん意識して。そのあたりを評価いただいたのかなと思います。

遠くに行きたいなら仲間と一緒に

――ということは、アトリエCHICORAに通いはじめたのは絵本作家デビューしてから、でしょうか?

そうですね。絵本の学校(WCC)を卒業してから2年後ぐらいにアトリエCHICORAに入りました。最初から通いたかったんですけど、その頃は就職した会社を辞めてシフト制の仕事をしていて帰宅が夜になることもあり、その後に絵本の仕事をしていたので難しかったこともあって。

――既に目標だった絵本作家の夢を叶えながらもアトリエCHICORAに通ったのはなぜですか?

理由は3つあります。

1つは、『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』で年4回、絵本を描いていましたが、まだまだ自分が描きたい絵を描くためには技術を向上させる必要があると感じたことです。当時はアトリエCHICORAの先生が絵本の学校(WCC)と同じ方で、生徒それぞれの考え方や状況を想像して話をしてくださることはわかっていたので、先生のそばで可能な限り技術やスキルを習得したいと思いました。

2つ目は、絵本の学校(WCC)10期のかなをちゃんなど同期がアトリエCHICORAに通っていて、みんなメキメキと力を付けて素敵な絵を描くところも目の当たりにしていたことです。話を聞いてもとても楽しそうだったので、またみんなと一緒に制作・活動をして成長したいなと。

3つ目は、お仕事のイラストをアナログで描いていて、構成変更や修正がある際にスキャン・色調整を繰り返すことが時間的に厳しく、すぐに修正対応ができるデジタル画に移行しようと思っていた事です。それについて自分で調べていくよりも、状況を把握してくださる先生に教えていただくことが一番良いと思いました。

――具体的な入会目的をもたれていたんですね。実際にアトリエCHICORAでのレッスンに通ってみていかがでしたか?

「早く行きたいなら1人で、遠くに行きたいなら仲間と一緒に」というフレーズを教えてもらったんですね。自分だけで届く範囲の目指しているところに届くかもしれないけど、仲間と一緒にやっていくことでより遠くの目標にいけるんじゃないかなと感じて。それが心に響きました。

――「遠くに行きたいなら仲間と一緒に」、いい言葉ですね!

私は過去に他のデッサン会やクロッキー会に行ったこともあって、楽しい気持ちもありながら孤独を感じたことがありました。そのときに制作活動には孤独も大事ではあるものの、孤独すぎても続かないなと思った記憶があります。

描いた絵やイラストにアドバイスをもらったり、共有したりできる環境は、制作していく中でとても大切だと思っているので、それができるアトリエCHICORAを選んで本当によかったと思っています。

アトリエCHICORAはみんな仲良く楽しくやっていますが、それぞれ自分の目標に向かって、それぞれの方向にがんばっています。その熱量が良い刺激になっています。

レッスン内容についても教えてください。

定期的にみんなで同じ画材を使用して作品をつくるものの、「こうしなくてはいけない」ということはありません。先生も一緒に制作してくれて、そんなやり方があるのかと驚きや発見があって、みんなと試行錯誤して作品を作れることがレッスンの魅力だと感じています。1人で、家ではやれない技法もみんなで試しながらやれるのも楽しくて、悩みとか忘れちゃうぐらい夢中になれるんですよね。

私個人はもともとアナログで描いていて、途中からデジタルに変えたこともあって、どうしても“デジタルっぽさ”が出てしまうことが課題と感じていました。そこでアナログの水彩っぽさをどうやってデジタルに落とし込むか重点的に教えてもらいました。

アトリエCHICORAに通ったことで具体的にどのような力がアップしたと思いますか?

技術としては、ラフ→線画→着彩までの全工程をデジタルで制作する力が付きました。

メンタル面でも大きな変化があって、以前は「自分の絵は自分で描かなくては!」という気持ちがあったのですが、困った時に助けて! とヘルプを出せるようになりました。ヘルプを出せなかったときは夜遅くまでの作業が続いて、後々自分の身体に跳ね返ってしまう経験もあったので。

でも、アトリエCHICORAに通ってからは自分の中に怪しい信号がともったら先生に「今こういう状況で厳しい」と言えるようになって。たまに出る私の言葉から先生が「私からはこう見える」と客観的に言ってくださって、それも1つの道しるべになっていて、ありがたいなと思います。

本屋で買える絵本も出してみたい

――卒業後はアトリエCHICORAの経験を生かしてどのような活動をしているか教えてください。

『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』を今も継続して描いているほか、ファイナンシャルプランナー協会の広報誌のイラストなど、いくつかの絵の仕事をしています。

転職もして今は雑貨のデザインをする会社で働いています。そこでもアトリエCHICORAで教わった技法を使ってみたり、絵を描くこと以外にも活きていると感じます。

――最後に、三木さんの今後の夢を教えてください!

アトリエCHICORAの仲間と一緒に来春の展示に向けて制作をしています。

あとはやっぱり自分で絵本を書きたいですね。『OUR STORY 〜お客様と私たちの小さな物語〜』は本屋さんでは買えなくて、友達から「見たいけど本屋で買えない、手に入らない」と言われるので、誰でも手が届く絵本をつくりたいです。 他にも、自分がこれまでの人生で気づいたこと、知ったことを物語にしたいという気持ちがあります。これはまだ形にはできていないものの、頭の中に構想はあるのでいつか形にしたいと思っています。

――ありがとうございました!

アトリエCHICORAに通えない方へ「オンラインコース」もあります!

東京・四谷のアトリエCHICORAまでは通うことができない――そんな方のためにオンライン絵画教室もご用意しています。詳細は上記リンク先をご確認ください!

三木みな子さんコメント

「アトリエに行くことができない時には、オンラインで参加をしています。先生がいつものように近況を聞いてくれ、作成中のイラストを画面共有できるのでコメントやアドバイスをしっかり受けられます。アトリエにいる仲間の声が聞こえますし、もちろん話すことができるのでアトリエの雰囲気を変わらず感じることができます。行きと帰りの時間を取れないという程に余裕のない時も、時間が遅くなって残り10分……という時も、オンラインで少しでも参加できるのは本当に救われる想いです。という事から、私が思うオンラインの教室のメリットは通い続けやすいことだと思います」

取材・文 廣田喜昭

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