夏休みは美術館! 泊りがけで行きたい地方の美術館ベスト5 

今年の夏休みは地方の美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。
地方には地方の特色を生かした個性的な美術館がたくさんあります。

今回は、泊りがけでゆっくりと観光しながら訪れたい地方の美術館を筆者独自の視点でベスト5 にしてみました。

ベスト5:ランチも最高「大塚国際美術館」徳島県

参考URL: https://o-museum.or.jp/

大塚国際美術館は徳島県にある大きな美術館です。
入館料が大人3,300円(当日券・税込み)と高額ですが、敷地が広くゆっくりと休憩しながら鑑賞することができます。
大塚国際美術館の特徴は、すべての作品が陶板で原寸大に再現されたものであることです。
画家が筆と絵の具で描いた「本物」ではないため、厚いガラスの向こうに絵があるのではなく、むき出しのまま展示されています。
筆者は、友人と友人の子どもと一緒に訪れました。

夏休みは家族で楽しめるイベントも企画されています。
2023年4月4日から8月31日まではイベント「世界の名画で脳活! 」が行われます。
また、美術館のあとはおいしい楽しみもあります。
美術館のある鳴門市は鳴門鯛が有名です。
美術館周辺には有名な料理店が多いため、グルメも楽しむことができるでしょう。

ベスト4:空気すらファンタジー「えほんミュージアム清里」山梨県

参考URL: https://www.ehonmuseum.com/

えほんミュージアム清里は、アットホームで絵本の世界観を味わえる美術館です。
筆者は美大生だったときにゼミ仲間と訪れました。
交通費を節約するために長い距離を歩いた記憶があります。
「ここに美術館があるの? 」と不安になったころ、大きな戸建てのような美術館がみえたのです。
館内には、美術館というよりも森の中の小さな書店のように絵本があり、壁には原画が飾ってありました。

えほんミュージアム清里の楽しみ方は、絵本の世界観にひたることです。
美術館そのものが絵本の中の世界のようです。
筆者は、併設されたカフェで赤い酸味のあるドリンクを飲みました。
赤い色と酸味が周囲の風景ととても合っていて、今でも思い出とともにドリンクの赤色と空の青色のコントラストが目に浮かびます。

人ごみを避けてゆっくりとお散歩したい人や非日常の空間に身を置きたい人におすすめの美術館です。
7月は休館日が多くなっています。事前にホームページで確認をお願いします。

ベスト3:体験あり「石川県輪島漆芸美術館」石川県

参考URL: https://www.art.city.wajima.ishikawa.jp/

夏休みといえば夏休みの宿題です。
小学生の保護者は夏休み前から「今年はどうしよう」と頭を悩ませているのかもしれません。
旅行先で作った作品を夏休みの宿題として提出できれば一石二鳥です。
石川県輪島漆芸美術館では、手作り体験ができます。
スプーンや箸などを30分以内で作ることができます。
使用する漆は代用漆(合成塗料)のため、漆でかぶれる心配もありません。
日本の伝統工芸を学ぶ夏休みは充実したものになるでしょう。

ぜひみておきたい展示作品は「夜の地球」です。
漆黒の地球儀に地球の夜景を表現しています。輪島塗の技術を集結させた芸術品です。
また見事な沈金の「老松沈金四段重」は、大人がみておきたい作品です。
安価な樹脂製のお重箱が増えていますが、木製本漆の沈金をみれば本物の迫力に圧倒されます。

ベスト2:わかりやすくて楽しい「美ヶ原高原美術館」長野県

参考URL: https://www.utsukushi-oam.jp/

美ヶ原高原美術館は、霧ヶ峰の観光と合わせておすすめします。
霧ヶ峰のトレッキングで高山植物をみながら自然の美しさに触れます。
そして美ヶ原高原美術館では、自然とアートの調和を楽しむことができます。
筆者は、小学生のころに美ヶ原高原美術館を訪れました。初めての美術館でした。
広い草原にポツンポツンと展示されている巨大な彫刻作品からは、芸術の豪快さと余裕を感じました。
小学生の筆者には、ひとつの彫刻作品の展示のためにこれだけ広大な土地を使うことがとても贅沢に思えたのです。
展示されている作品は現代アートがほとんどです。
細かいことはわからなくても、肌感覚で楽しんだり驚いたりすることができます。

ベスト1:夏休みだからこそ「無言館」長野県

参考URL: https://mugonkan.jp/

筆者には行かなければならないけれど行っていない美術館があります。
それが無言館です。
無言館は戦没画学生慰霊美術館です。
つまり、戦争でこの世を去った芸大生や美大生の作品が展示されています。
筆者は、美大の教育学の授業で教授に無言館を紹介されました。
教授は「美大生ならば一度は行きなさい」と言っていました。
筆者は、展示されている作品の多くを書籍でみて知っています。
しかしまだ行くことができません。
ただ「行かなくてはならない」という思いだけがあるのです。

振り返ってみると、記憶に残る夏休みは「ただ楽しい夏休み」ではなく、何かを感じ学んだ夏休みです。
無言館には、有名な作品も有名な画家の作品もありません。
しかも戦争がわかるような戦争の絵もありません。
ただ普通の学生が描いた日常の絵ばかりです。
しかし無言館にある「日常の絵」は、今を生きる私たちにとって「感じるべきこと」があまりにも多く筆者は足が重たくなっているのです。

世界情勢が不安定になっている今、夏休みに無言館を訪れた思い出はきっと長く心に残るのではないでしょうか。

おわりに

都心の大きな美術館で行われる夏休みの企画展はとても混みます。
一方、地方の美術館は敷地が広く、テーマが絞られているため作品と空間をゆっくりと楽しむことができます。
今年の夏休みは感性で楽しんでみてはいかがでしょうか。

夏休み中は休館日や開館時間が変更になることもあります。事前にホームページ等で確認をお願いします。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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