【デジタルイラスト初心者】iPadで描く! iPadと手描きの違いとiPadで描くメリット

「手描きをやめてiPadで絵を描くメリットは何?」と感じたことはないでしょうか。
メリットは、手描きとiPadの違いを知ると見えてきます。

今回は、デジタルイラスト初心者のために今さら聞きにくいiPadと手描きの違いと、iPadで描くメリットと注意点をお話しします。


iPadと手描きの違い

まずはiPadと手描きの違いを細かく説明します。

<紙ではなくアプリで描く>

手描きの場合は、紙とペンを使って手で描きます。
iPadでは、紙ではなく液晶の画面にApple Pencilというペンを使って手で描きます。
ただ、大きな違いはiPadではアプリを使うことで液晶画面が紙になり、絵を描くことができるのです。

アプリとは、何かをやるために作られたソフトウェアをいいます。
簡単にいえば「スキル」です。
iPadで絵を描くときには、iPadに絵を描く「スキル」を与える必要があります。
与えるスキルによって描く能力も変わるため「スキル選び」つまり「アプリ選び」はとても大切なポイントです。

iPadで絵を描くアプリは無料で使えるシンプルなものから有料のプロが使うものまでたくさんあります。

<筆ではなくブラシで描く>

手描きでは筆で描くことが常識です。iPadでは、筆をブラシと呼びます。
ブラシは、筆のように形が変わるだけでなく水彩やエアブラシやGペン、クレヨンや色鉛筆などタッチを変えることができます。
アプリを選ぶときには、ブラシの種類が豊富にあり、自分が使いたいブラシがあるものを選ぶようにします。

手描きは、使う画材が変われば筆も絵の具も買い替える必要がありました。
しかしiPadはブラシを変えるだけで画材が変わるため、絵を描くための維持費は安く抑えることができます。

<色はスポイトで吸い取る>

手描きでは、色は混色で作ります。
広い面を塗るときには多めに色を作り、足りなくなったら再び混色して同じ色に近づくように頑張るしかありませんでした。
しかし、iPadのアプリには「スポイト」があります。
欲しい色をスポイトで吸い取るだけでブラシの色は塗りたい色に変わります。

手描きでは色を作る時間がかなりかかっていましたが、iPadではスポイトで吸い取るだけで希望の色を出すことができます。
iPadは描くスピードを上げるメリットもあるのです。

iPadでイラストを描くメリット

iPadには手描きにはないメリットがあります。
ここからは、iPadでイラストを描くメリットを具体的に解説します。

<レイヤーを使うことができる>

手描きでイラストを描いているとき、ちょっとした修正に膨大な時間がかかったことはないでしょうか。
また、完成に近づいたときに手に付いた汚れで作品を汚したことはないでしょうか。
iPadならば、レイヤーを使って簡単に元の絵に戻すことができます。

レイヤーとは、層を意味する言葉です。
iPadでイラストを描くときには、透明のシートに描いているイメージを持っているとレイヤーが使いやすくなります。
例えば、犬のイラストならば、全身の輪郭でレイヤーを1枚、目を描いたらレイヤーを1枚、鼻を描いたらレイヤーを1枚というようにレイヤーを分けます。
そうすることで、目を修正したいときには、目のレイヤーを取り出して修正することができます。
「修正=描きなおし」というよりも「レイヤーの入れ替え」と言った方がわかりやすいかもしれません。

手描きのときには「今さら修正できない」「時間がない」とあきらめていたことも、iPadならば妥協せず満足するまで修正することができます。

<アニメーションや動画を作ることができる>

iPadは、イラストを描く感覚でアニメーションを作ることもできます。
1秒間に何枚のイラストを入れるのかを決めて、必要枚数のイラストを描くだけです。
パラパラ漫画の要領で簡単にアニメーションを作り、YouTubeやInstagramに投稿することもできます。
手描きでパラパラ漫画を描くときには、動かない部分も新たに描く必要がありました。
しかしiPadは、動かない部分は複製できるため、動かしたい部分だけを描き替えるだけで簡単にアニメーションを作ることができます。

<作品をデータ化できる>

iPadでイラストを描く一番のメリットは、作品をデータ化できることかもしれません。
データ化できることで、作品の用途が広がります。

また、データをクラウドに入れておくといつでも作品を取り出せるメリットもあります。
例えば、描いたイラストを誰かに見てもらいたいとき、手描きならば作品をファイルに入れて持ち歩かなければなりません。
しかしiPadでイラストを描きデータ化してクラウドに入れておけば、離れた場所でも作品を共有することができます。


iPadでイラストを描くときの注意点

手描きからiPadなどのデジタルに乗り換えるときに注意したいことがあります。
それは「使いこなせる範囲で描こうとしないこと」です。

手描きからiPadに乗り換えたとき、レイヤーやブラシの使い方に戸惑います。
手描きならば、描きたい場所に塗りたい色を置くことができますが、iPadに慣れるまではスポイトを出すまでに時間がかかったり、取り出したいレイヤーが出せなかったりすることがあります。
そのときに「面倒だからこの色でいいや」「どのレイヤーかわからなくなったからあきらめよう」と妥協しないことが大切です。

iPadは、楽に絵を描く道具ではなく、より自分のイメージを上手に表現するための道具です。
妥協して描くことに慣れないためにも、iPadで描くときには、しっかりと操作方法や機能を習得するようにしましょう。

おわりに

iPadは誰でも描きやすい反面、「選ぶだけ」「適当でも形になる」という落とし穴もあります。
iPadでイラストを描くときでも、気持ちは手描きで描くときと同じ緊張感で描くことが大切です。
そして、iPadを使っているつもりが、逆に自分の制作がiPadの中におさめられることがないように「機能を使いこなす力」を身につけましょう。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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