あなたの絵の才能は? 5つの質問で絵の才能をチェック

「私に絵の才能はあるのかしら」と思ったことはないでしょうか。
人に聞いてみても、正直な意見を聞くことはなかなか難しいです。

今回は、5つの質問で絵の才能をチェックします。

絵の才能とは何か

最初に「絵の才能とは何か」をお話しします。
絵の才能とは「絵が好きで描き続ける意志」だと筆者は考えます。
しばしば、絵の才能は生まれもっているもので、才能がある人は練習をしなくてもサーっと上手な絵が描けると思われることがあります。

筆者の経験から感じたことは、生まれもっているものは才能ではなく性格です。
「大胆に線をひく性格」「細かい部分が気になる性格」のように性格によって描きあがる絵は違います。

勇猛果敢に線を描く人とびくびくしながら線を描く人とでは、勇猛果敢に線を描けるほうが進歩ははやいです。
勢いがある人は、どんどん間違いを重ねて改善するため進歩がはやいのです。
しかし、生まれもって「上手な絵が描ける人」はいません。

絵の才能とは、絵が好きで描き続ける意志であり、意志があれば教育によって進歩の進度は変えられます。
性格がのんびりしているならば効率の良い指導、びくびくしている性格ならば自信がもてる指導を受ければ、どんな人でもより表現したい絵に近づくことができるのではないでしょうか。

絵の才能をチェックする5つの質問

ここからは、絵が好きで描き続ける意志をチェックする5つの質問をします。
絵の上手い下手は問いません。

<絵は下手だけど描くことが好きだ>

「はい」と答えた人は、絵の才能がある人です。
自分で「絵は下手」と思っている人は、自分の絵に自信がないだけです。
それでも「私は描くことが好き」といえたということは、なによりも大切な「好き」という気持ちがある人です。

モネは印象派の画家として有名です。
しかし「印象派」という肩書は、「なにを描きたいのかわからない。
印象だけがボヤっと伝わる絵」という意味でバカにしてつけられたものです。
今でこそモネの代表作となった「日の出」は、発表当時は「壁紙みたい」と酷評されました。
それでもモネは光の移り変わりをそのまま絵にする描き方を続けたのです。
「好きだ」という強い気持ちは、周りの評価をものともせず絵を続けられる立派な才能です。

<毎日なにかしらの絵を描いている>

「はい」と答えた人は、絵の才能がある人です。
本当に絵が好きな人は、描けなくても下手でも手を動かすことが習慣になっています。
絵の才能は、描き続ける意志があることですが、実際になにかしらの絵を描き続けているならば、すでに描き続ける意志は固まっているのではないでしょうか。

<描きたい絵のアイデアはたくさんある>

「はい」と答えた人は、絵の才能がある人です。
才能というよりも資質に近いものがあるのかもしれません。
「絵を描きたいけれど何を描いたらいいのかわからない」という人は意外と多いのです。

「描きたい絵のアイデアがたくさんある」という恵まれた状況にあるならば、描けるスキルを早く身につけたほうがいいでしょう。
アイデアは頭にあるだけでは見えません。
見える形にすることで自信につながります。

<「絵を描くことと稼ぐことは別の話」だと思っている>

「はい」と答えた人は、絵の才能を保ちやすい人です。
絵の才能は、絵を描き続ける意志です。
しかし「絵で稼ぐ」と決めてしまうと、稼げなくなったときに絵を描き続ける意義を見失ってしまうのです。

絵を描く意義と稼ぐことを切り離して考えられる人は、なにがあっても絵を手放さず長く続けることができます。
絵は、お金がなくても仕事がなくても紙とペンがあればいつでもどこでも描き続けることができます。

ゴッホは生涯お金に困っていました。
それでも「稼げないなら描かない」ということはなく、苦しみながらも絵を描き続けたのです。それだけ絵を崇高なものと考えていたのでしょう。葛飾北斎も描くことと稼ぐことは別のこととして考えていた有名な絵師です。

<「才能は努力で得られるもの」だと思っている>

「はい」と答えた人は、絵の才能がある人です。
なぜならば、才能の意味をどう捉えていようと「努力で得られる」と考えられることは、絵が好きで描き続けたいという思いが人一倍強いからです。
一方、才能は努力では得られないと考えている人は、少しあきらめが入り始めているのかもしれません。
描きたい絵が描けない状態が続けば、どんなに絵が好きな人でも嫌になることがあります。
そんなときには、投げやりな気持ちになる前に「描ける状態」に自分をコントロールすることが大切です。

ゴッホには、自分を助けてくれる弟のテオがいました。
「描き続ける」という才能は、ひとりでは維持することが難しいことがあります。
ときには励まし、ときには奮起させてくれる先生や仲間をもつことも才能を得るコツです。

おわりに

5つの質問で「はい」が多ければ多いほど、筆者が考える才能がある人です。
すべてが「はい」でなかったとしても心配はいりません。
とくに「描きたいアイデアがたくさんある」の質問に「はい」と答えた人は少ないのではないでしょうか。
アイデアが出ない人は、たくさんの作品をみたり、たくさんの経験を積んだりすることが大切です。
旅行でも料理でも洗濯でも、日常のちょっとした経験がアイデアになります。

5つの質問でわかることは「絵が好きか」「描き続ける意志があるか」です。
どちらも自分の考え方次第で決まることです。
つまり、絵の才能は生まれつきではなく、自分が決めることなのです。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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