キラキラとした光や透明感ある表現などデジタル加工された絵には手描きにはない魅力があります。
しかしデジタルで絵を描くためには、道具が必要です。
今回は、目的や予算に応じて選べる「使える端末」とそれぞれのメリットとデメリットを紹介します。
目次
今すぐ描ける「スマートフォン(スマホ)と指」
デジタルで描く絵は、デジタルイラストやデジタル絵画、デジ絵と呼ばれています。
少し前までは、高額なソフトや端末を使いプロによって描かれていましたが、最近は無料のアプリも増え、多くの人がデジタルで絵を描ける環境が整っています。
今はスマホと指だけでも絵をかくことができます。
端末にお金がかけられない学生やとりあえず描いてみたい人におすすめです。
また、デジタルで絵を描く仕組みはスマホでもパソコンでも共通しています。
まずはスマホで絵を描き、デジタルの仕組みを学んでみてもいいのではないでしょうか。
<メリット:初期費用を安くできる>
スマホと指で絵を描くメリットは、初期費用を安くできることです。
スマホは、絵を描く専用の道具ではありませんが、多くの人が今すぐ使える道具です。
デジタルで絵を描くためには専用のアプリが必要ですが、無料で使えるアプリもたくさんリリースされています。
ほとんどお金をかけることなく始めることができるのです。
また、ペンの代わりに指を使うこともできます。
指はペン先よりも太いため、細かいところを描くときには拡大して描き込む必要がありますが、アナログにはない「拡大して描く」という作業はデジタルでは欠かせないスキルです。
<デメリット:画面が小さく描き心地がよくない>
スマホのデメリットは画面が小さいことです。
細かいところを描くときには拡大して描きますが「拡大して描いては全体をみる」という作業を繰り返さなければならず、手間はかかります。
またスマホの画面は長い線を描くことが苦手です。
スマホで絵を描くときには適した線の長さや描きやすい方向をみつけてコツをつかむ必要があります。
また指で絵を描くときには爪を短くしましょう。
細かい部分は指を立てて描くため、爪が長いと描くことができません。
スマホから移行しやすい「iPadとApple Pencil」
スマホよりも画面が大きいiPadと反応がスムーズなApple Pencilの組み合わせは一番のおすすめです。
スマホからの移行もしやすくより本格的なデジタルイラストに挑戦し、SNSにアップする機能もあります。
<メリット:どこでも描けて「描く」以外にも使える>
iPadのメリットは、スマホと同じ感覚で使うことができ、スマホよりも格段に描きやすさや緻密さがアップすることでしょう。
iPadにはminiやProがあり価格帯も幅広く、5万円程度からあります。
パソコンのように緻密に絵が描け、スマホのようにどこへでも持ち運べるメリットがあります。
また、iPadはインターネットとつなぐことで描いた作品をSNSに投稿することもできます。
1台でさまざまな用途があることもiPadの強みです。
<デメリット:データの管理が難しい>
iPadのデメリットは、iPadで描いた絵を他の端末に送るときに手間がかかることでしょう。
レイヤーをそのまま残した状態で他のスマホにデータを送るときに手間取ることも多いようです。
ただ、描いた絵をそのままSNSにアップする程度ならばiPadで十分に対応することができます。
本格的に描くなら「パソコンと液晶タブレット(液タブ)」
プロでもiPadで絵を描いている人はたくさんいます。
しかし、長編のマンガや解像度の高さを求めるならば、より画面が大きいパソコンと液晶タブレットがいいでしょう。
液晶タブレットは、液晶のタブレットにペンで直接絵を描きます。
パソコンのモニターと接続すると液晶タブレットに描いた絵がモニターに写されるため、より大きな画面で確認作業をすることができます。
<メリット:紙とペンで描くように使える>
パソコンと液晶タブレットのメリットは、紙とペンで描くように使いながら、高解像度の大画面で確認作業ができることです。
絵のデータは、レイヤーの数や絵のサイズが大きくなればなるほど重たくなります。
パソコンと液晶タブレットならば、データ量が多くなっても対応することができます。
タブレットには板タブレット(板タブ)もありますが、板タブレットは手元を見ずに描く必要があるため、慣れるまでに時間がかかります。
<デメリット:初期費用が高くスペースも必要>
パソコンと液晶タブレットのデメリットは値段が高いことです。
さらにパソコンはノートパソコンではなくデスクトップをおすすめするため、設置するスペースも必要です。
長時間の作業には疲れないイスも欲しくなるでしょう。
おわりに
デジタルで絵を描くためには、端末とアプリやソフトが必要です。
「アイビスペイント」や「クリップスタジオペイント」など人気のアプリは数多くあり、それぞれに特徴があります。
端末を選ぶときと同じようにアプリやソフトも自分に合ったものを選ぶといいのではないでしょうか。
デジタルの絵は、実際に描きながら覚えることがたくさんあります。
まずは手持ちのスマホと指で絵を描いてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。