絵画教室を上手にかけもちする方法

絵画教室に通い始めた人の中には、絵を描く楽しさを知り「1週間に1回じゃ物足りない」と感じている人もいるのではないでしょうか。
今回は、絵画教室のかけもちについてお話しします。
かけもちするメリットとデメリット、そして上手にかけもちをする方法を提案します。

絵画教室をかけもちするメリット

<いろいろな先生と出会える>

絵画教室には、それぞれの教室の特徴にあった先生がいます。
例えば、油絵をメインにしている教室には油絵専攻の先生がいるし、デザイナーが先生の場合はイラストやデジタルデザインをメインにしていることもあります。
系統が異なる絵画教室をかけもちすれば、まったく違うジャンルの先生と出会い、表現の幅を広げるチャンスが増えるメリットがあります。

<習う時間が増える>

絵画教室では、ただ手を動かして絵を描くだけでなく、先生から講評してもらったり、具体的な指導を受けたりすることができます。
限られた時間の中では、指導量が限られるため、物足りなさを感じることもあるようです。
絵画教室をかけもちすれば、かけもちした分だけ習う時間が増えます。
単純に計算しても、1レッスン1回の指導が2レッスンにすれば2回の指導に増えます。

絵画教室をかけもちするデメリット

<指導量が多すぎて方向性を見失う>

絵画教室をかけもちすれば、指導量は増えます。
系統の違う教室をかけもちすれば、違った方向からの指導を受けることもできるでしょう。
しかし、自分の作風や描き方が確立していないうちから多くの指導を受けてしまうと自分の進むべき方向がわからなくなる可能性があります。

例えば、火曜日の教室では「もっと大胆に手を動かしなさい」と言われ、金曜日の教室では「もっとじっくりとモチーフを観察しなさい」と言われれば、どうしたらいいのかわからないのではないでしょうか。
結局、自分が賛同できる指導をする先生とそうでない先生を比較してしまい、かけもちしているメリットがなくなることもあります。

<時間と体力の負担が大きい>

教室をかけもちすれば、それだけ時間が取られます。
さらに、通学の場合は体力も必要です。
もちろん、レッスン料も増えるため経済的な負担も大きくなります。
たくさんの絵を描くためにかけもちしたはずが、通うだけで精一杯になってしまいレッスンに集中できない可能性もあるのです。

絵画教室を上手にかけもちする方法

絵画教室をかけもちする目的は、より多くのレッスンを受けることです。
ここからは、より多くのレッスンを受けつつ負担が少ない方法を提案します。

<教室を増やすのではなくコースを増やす>

異なる絵画教室をかけもちすると、先生の指導に一貫性がなくなるリスクがあります。
指導に一貫性がないと、習う人は「どっちを信じるのか」を選ぶようになります。
選ばれた方はいいのですが、選ばれなかった方の指導は無意味になってしまいます。

おすすめのかけもち方法は、絵画教室をかけもちするのではなく、コースをかけもちする方法です。
同じ絵画教室内で違うコースをかけもち受講することで、教室の系統は統一されます。
また、コースは違っても同じ教室で共通した生徒を指導するため、先生同士のコミュニケーションが取りやすく、指導に一貫性を持たせることができるのです。

<オンラインレッスンでかけもちする>

通学の回数が増えれば、時間と体力だけでなく交通費などの出費も増えます。
かけもちを長く続けるためには、片方をオンラインレッスンにするといいのではないでしょうか。
オンラインレッスンは、自宅で受講できるため通学時間と体力の負担が小さくなります。
また同じ教室のオンラインレッスンを追加することで入学金を節約することができます。

絵の上達は、実際に手を動かして描くことが大切です。
通学時間を描く時間にあてれば、より効率的に絵の時間を確保することができます。

<先生に相談してカリキュラムを考えてもらう>

絵画教室のかけもちを考える人は、現在のレッスン内容に物足りなさを感じているのではないでしょうか。
絵画教室にはさまざまなスタイルがあります。
グループ指導で共通した課題に取り組むコースもあれば、教室は同じでもひとり一人違った課題に取り組むコースもあります。
「物足りないからかけもちしたい」と思ったときには、まず現在の先生に相談してみることをおすすめします。
先生は、生徒一人一人の得手不得手を把握しています。
「この生徒はデッサンが苦手」「この生徒は色のセンスが抜群」というように個性を踏まえたうえで追加すべきコースを提案することができます。

おわりに

尊敬できる先生をみつけたら、先生をかけもちするのではなく、自分の制作時間を増やして、尊敬できる先生から多くの指導をもらうことをおすすめします。
絵は、たくさんの作品を生み出すことで上達し、自分の作風が生まれます。
自分の表現をみつけるため、尊敬できる先生と出会うためにさまざまな画材や描き方をかけもちしてみてはいかがでしょうか。


文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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