大人になってからも絵画教室を楽しく続けられる人がもっているたった1つのこと

「大人になってからも絵画教室を続けられる人は、よほど絵が上手い人」と思われがちです。
しかし、絵画教室を続ける人は「絵の上手さ」よりも、もっと大切なたった1つのことをもっています。
それは誰でも得られることです。

今回は、絵を続ける人がもっているたった1つのことと、それを与えてくれる絵画教室の特徴をお話しします。

絵画教室をやめたくなる原因

実際は絵画教室を楽しく続けられる人よりも、途中でやめてしまう人の方が多いのかもしれません。
絵画教室をやめてしまうと、絵を描く機会が奪われ、同時に絵を描くこともやめてしまうことがあります。

まずは、絵をやめないために知っておきたい「絵画教室をやめたくなる原因」をお話しします。

<自分の絵はダメだと思ったから>

「自分の絵は下手だ」と思っても嫌いにならなければ絵をやめることはありません。
下手ということは「伸びしろ」があるということだからです。
むしろ絵画教室に通う意義を感じるでしょう。
しかし「自分の絵はダメだ」つまり魅力がないと思ってしまうと一気にやる気がなくなります。

「自分の絵はダメだ」と思うきっかけはいくつかあります。
例えば、絵画教室で一緒に描いている人の作品と比べたとき、自分の作品があまりにも劣って見えたことで自分の絵が嫌いになることもあります。
本当ならば、絵を人と比べる必要はないのですが、絵に優劣をつける習慣があると常に人と比べてしまい、自信をなくしてしまいます。
また、厳しい教室や合否がかかっている予備校では厳しい言葉で作品が評価されることもあります。
自分の絵をコテンパに言われれば「自分は絵にむいていない」「自分の絵はダメだ」と思ってしまうかもしれません。

「自分の絵はダメだ」と思ってしまうと、絵に見切りをつけて他の道を探したくなります。
つまり絵画教室をやめたくなるのです。

<自分の絵を描きたいと思わなくなったから>

最近はSNSに自分が描いた絵を投稿して、第三者からの「いいね」やコメントを楽しむ人が増えています。
「いいね」が多かったり「すごいですね」というコメントをもらったりすれば励みになるでしょう。
しかし、あまりにも反応を気にするようになってしまうと自分の絵が描けなくなってしまいます。
「自分の絵」ではなく高評価をもらえる「受けのいい絵」を描くようになるのです。
例えば、SNSに投稿するためにランチを食べる人は、自分が食べたいランチよりも映えるランチを求めます。
それと同じことです。

「自分の絵」と「受けのいい絵」には大きな違いがあります。
それは好き嫌いを決める人です。
「自分の絵」の好き嫌いを決める人は自分自身ですが、「受けのいい絵」は自分以外の人が好き嫌いを決めます。
絵画教室は、自分の表現を学び、自分を表現する所です。
自分の絵を描きたいと思わなくってしまったら「通い甲斐」を感じなくなってしまうでしょう。

大人になってからも絵画教室を楽しく続けられる人がもっているたった1つのこと

子どもは絵画教室を楽しみます。
大人は、子どもの絵を褒めることはあってもけなすことはしません。
子どもは自分の絵に自信をもち、第三者の評価を気にせずのびのびと自分の絵を描きます。

大人になっても、他人の絵をけなす人はあまりいません。
ただ、大人になると客観的に自分の絵や言葉を分析できるようになります。
「教室の中では一番下手だ」「褒めてくれるけどお世辞だ」と考えてしまい、のびのびと絵を描くことができなくなってしまうのです。
筆者は美大受験予備校の中ではデッサンが下手な方でした。
ときには厳しい言葉を言われることもありました。
しかし、明確な順位(下から数番目)が発表されても自分のデッサンを嫌いになることはなく、新しいデッサンを描き始めるたびに「今回はいい出来栄えだ」と思っていたのです。

大人になってからも絵を描き続ける人、絵画教室を楽しく続けられる人がもっているたった1つのことは「自分の絵が好き」という気持ちです。
例え、教室で一番下手でも「自分の絵が好き」という気持ちさえあれば「やめたい」とは思いません。

上手下手に関係なく楽しく続けられる絵画教室の特徴

長く通っている人が多い絵画教室はスキル向上だけを目指すのではなく「自分の絵が好き」と思うことを大切にしています。
そして「絵の楽しさ」を伝える指導をします。
技術的な指導をするときでも自信を奪わない伝え方をします。
さらに先生を含めた第三者の評価よりも本人の表現を優先し、生徒間でも個々の表現を認める雰囲気があります。

自信が奪われずに自分の表現が認められる状況は、子どもの絵画教室と同じ状況です。
子どもの絵画教室のように、個々の表現をまるごと受け止める雰囲気がある教室には大人になってからも楽しく通い続けている人がいます。

おわりに

「自分のことが好き」という気持ちを自己肯定感といいます。
自己肯定感が高い人は物事を前向きにとらえて、いい方向へグングン伸びていくと言われています。
「自分の絵が好き」という気持ちは「自分の絵肯定感」です。
「自分の絵肯定感」が高ければ、上手い下手に関係なく、前向きに続ける意欲がわきます。

いい絵画教室は「自分の絵肯定感」を高めてくれます。
いい絵画教室と出会い、伸びしろ豊富な子どものように、絵をいつまでも楽しく続けてみはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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