デジタルイラストを習得するための基礎知識と学び方:教室 vs オンラインレッスン

デジタルイラストを始めるには、基本的な知識を身につけることが重要です。そのため、独学ではなく、専門的な指導を受けることをおすすめします。今回は、デジタルイラストを学ぶ際に「教室に通う方法」と「オンラインレッスン」のどちらが自分に合っているのかを詳しく解説します。

デジタルイラストを「教室」で学ぶ場合のメリットとデメリット

<メリット:機器に不慣れな初心者も安心して学べる>

iPadやスマートフォンの扱いに慣れていない人にオンラインレッスンで「iPadのホームボタンを押してください」と言っても、すぐにホームボタンをみつけられないでしょう。

教室ならば、先生が隣に立ち「これがホームボタンです。
アプリの切り替えや終了時に使います。」とすぐに教えることができます。
また、全員が同じ機種を使っているとは限りません。
最新のiPad miniやAirやproにはホームボタンがないため、さらに時間がかかるかもしれません。

デジタルイラストは、イラストの描き方だけではなくiPadの操作方法も知っている必要があります。
iPadやアプリの基本的な使い方をマスターしていない人は、教室で習うことで習得までの時間を短縮し、効率的に学ぶことができます。

<デメリット:高額なタブレット類を持ち運ぶリスク>

教室に通学してデジタルイラストを習うときには、自分のiPadやタブレットを持参することがほとんどです。
教室によってはレンタル用の機材を用意してあることもありますが、1回500円程度の利用料がかかることがあります。

また、デジタルイラストは「たくさん描いて描きなれること」が上達のコツです。
できれば、いつでもイラストが描ける自分専用のタブレットを用意したほうがいいでしょう。

教室で習うデメリットは、高額なタブレット類を持ち運ぶリスクがあることです。
iPadは値上がりし、10万円以上するものも登場しています。
手ごろな価格帯でも5万円以上するものがほとんどです。

落として壊すことがないようにケースに入れて持ち運ぶことはもちろんですが、補償サービスの申し込みをしておくといいでしょう。

iPadならば「Apple Care+for iPad」を契約しておくといいのかもしれません。
そのほかにも携帯電話会社が販売しているタイプは、各社で補償サービスを提供していることがあります。
教室に通学するときには、万が一のリスクに備えておくことでデメリットを小さくすることができます。

デジタルイラストを「オンライン」で学ぶメリットとデメリット

<メリット:時間や場所を問わず学べる柔軟性>

オンラインレッスンの最大の利点は、全国どこからでも参加できることです。特に、地方在住で教室に通うのが難しい人や、仕事や家事で忙しい人にとっては大きなメリットです。通学時間が不要なため、効率的に時間を活用できるのも魅力的です。

さらに、自宅でリラックスしながら学べるので、緊張せずに取り組むことができます。コロナ禍のような状況下でも、不特定多数の人と接触せずに学べる安心感があります。

<デメリット:基本的な操作がわかっていないと指示が伝わりにくい>

オンラインレッスンではZoomなどのツールを使用することが一般的です。音声や映像を活用して指導を受けられるため、教室と大きな差はないように思えますが、iPad初心者には難しい場合があります。

Zoomの画面を確認しながら、iPadで操作を行うのは初心者にとって混乱を招きやすく、基本的な操作を事前に理解していないとスムーズに進まないこともあります。オンラインレッスンを選ぶ場合、あらかじめデバイスの基本的な使い方を学んでおくと良いでしょう。

学び方の選択よりも「先生選び」が最重要ポイント

「デジタルイラストを習うなら教室とオンラインのどっちがいいか」の答えは、人によって違います。
自分にとってどちらの方が「習いやすいか」を考えることがポイントです。

実は、デジタルイラストを習うときには「通学かオンラインか」のスタイルよりも、もっと大事なポイントがあるのです。

それは先生です。「指導者の質」です。
デジタルイラストの世界は日々進化しています。そのため、現場経験が豊富で、最新のトレンドを把握している講師から学ぶことが、スキルアップに直結します。例えば、現役のイラストレーターやデザイナーから学ぶと、実践的な技術や業界のニーズに応じた知識を得られるでしょう。

おわりに

筆者が大学生だった時代は、デジタルイラストを描こうと思ったら高額なillustratorやPhotoshopを購入しなければならず、習える場所もほとんどありませんでした。

今は、iPadという便利な道具があり、無料で使えるソフトも充実しています。
「描きたい」という気持ちがあれば、通学でもオンラインでも習うことができる時代です。
アナログでは難しい表現もデジタルならば簡単にできます。
デジタルイラストを習って、グッズ制作や同人誌を作ってみても楽しいのではないでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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