絵の夢を叶えられる人と叶えられない人との違いとは? 夢を叶える人が持っているたった一つのもの

絵の夢は資格取得をしたり就職したりすることで叶えられる夢ではありません。
そのため、夢をもっていても叶えられない人もたくさんいます。
絵の夢を叶えられる人と叶えられない人との違いはどこにあるのでしょうか。

今回は、絵の夢を叶えられる人と叶えられない人との違いを挙げて、
夢を叶えるために必要なたった一つのものをお伝えします。

絵の夢を叶えられる人は夢をカラーでみている

「弁護士になって多くの人を助けたい」という夢ならば、
大学の法学部を卒業して司法試験に合格し、法律事務所に就職する道があります。
よりグローバルに活躍したいのならば国際弁護士になる道もあります。
つまり、多くの夢は「夢を叶えるための道」が決まっていて、ゴールを目指して努力することで夢を叶えることができるのです。

一方、絵の夢には道がありません。
美大の油絵科を卒業しても取得できる資格は美術教師や学芸員です。
多くの学生が夢見る画家やアーティストには資格がなく、就職先もありません。
夢を叶える道自体を自分で作らなければならないのです。

絵の夢を叶えられる人は夢をカラーでみています。
わかりやすくいえば、細かいところまで鮮明に具体的に考えているのです。
画家になりたいのならば「画家になりたい」というモノクロームの夢ではなく、
「作品を50点描きためたら吉祥寺の画廊で個展を開催する」というように
誰でも具体的にイメージできる夢の描き方をしています。

絵の夢を叶えられる人は現実をみている

絵の夢は、一歩間違えると「理想」や「あこがれ」になってしまうことがあります。
例えば「有名マンガ家になって著作権だけで生きていきたい」という夢は現実的な夢とはいえません。
現在有名になっているマンガ家の多くは下積み時代があります。
同じ内容の作品を何度も描きなおしたり、アシスタントを長年経験してきたりした人もいます。

絵の夢を叶えられる人は「著作権だけで生きていきたい」という非現実的な夢に飛躍することなく、
「有名マンガ家のアシスタントになりたい」から「自分の作品でデビューしたい」になり、
最後に「著作権料だけでも生活ができるくらいの作品を描きたい」という大きな夢を描くのです。

夢を夢見ているだけでは夢は叶いません。
夢を叶えるためには、現実に目を向けて階段を上るようにコツコツと小さなハードルを突破していく必要があります。

絵の夢を叶えられる人は夢を片手間にしない

筆者が美大生だったとき、学内でバイトを続けている卒業生がいました。
30代後半だった彼は油絵科を卒業し、風呂無しの木造アパートで暮らしながら画家を目指していました。
30代後半になれば結婚して親になっている人もいます。
いわゆるフリーターでいることは、本人だけでなく家族も心配になっていたのではないでしょうか。
筆者は彼に「就職しないのか」「生活費はどうしているのか」と質問しました。
彼は「就職すれば収入が安定して落ち着いてしまう。仕事の責任も出てくるから画家の夢は後回しになってしまう」と答えました。
生活費は、大学内の不定期バイトで食いつないでいるとのことでした。
数年後、彼はバイトを辞めました。
理由は、個展をきっかけにして画家としての仕事が増えてきたため、バイトをする時間がなくなったからです。

一方、筆者と同学部の友人は美大を卒業後に大手企業のデザイナーとして就職しました。
安定した収入を得ながらアーティストになる夢を叶えたいと言っていました。
数年間は仕事と夢のための活動を両立して忙しい日々を送っていましたが、
数年後の昇進とともに彼はアーティストの夢をあきらめました。
会社で責任ある立場になり、仕事と夢のどちらかを選ばざるを得なくなったのです。
おそらく、彼は知らず知らずのうちに社会的な立場や安定した収入を手放すことができなくなっていたのではないでしょうか。

絵の夢は叶えるまでは毎日が不安です。
しかし絵の夢を叶えられる人は、不安に立ち向かい夢を片手間にしない強い意志があります。

夢を叶える人と叶えられない人との決定的な違いとは


絵の夢を叶えられる人は、夢を叶えるまでのプロセスを具体的にイメージして、
現実から目を背けず、夢に立ち向かえる人です。
筆者の友人は、大手企業のデザイナーに就職しましたが、アーティストになる夢は叶えられませんでした。
彼は、どこで道を間違えたのでしょうか。
答えは「就職」ではありません。「夢をあきらめたとき」です。
彼は、夢をあきらめたときに「叶えられない人」になったのです。

夢を叶えられる人と叶えられない人との決定的な違いは「夢を叶えるまで夢をあきらめない」だけです。
夢が叶うタイミングは人それぞれです。
もしかしたら、夢をあきらめた彼もあきらめなければ定年退職後に夢を叶えることができたのかもしれません。

夢は一時中断したとしても再び追うことができます。
幼いころの夢を社会人になってから、子育てが終わってから再びよみがえらせて叶えることはできます。
「夢はあきらめなければ叶う」という言葉はきれいすぎる言葉に聞こえますが、
実はとても現実的な言葉なのかもしれません。

おわりに

絵の夢は、叶えるまでに時間がかかります。
多くの人は夢を叶える前に現実的な必要に迫られて夢をあきらめてしまうのかもしれません。
夢を叶える人が持っているたった一つのものは「絵の才能」です。
絵の才能とは、絵のスキルではなく「絵の夢を持ち続ける情熱」です。
筆者は有名美大を卒業して一流企業に就職できた人よりも、
無名でも最期まで絵を描き続けた人の方が絵の才能がある人なのではないかと思います。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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