油絵を描きたい! 油絵の基礎知識と魅力を徹底解説

「絵」といえば油絵をイメージする人は多いのではないでしょうか。
しかし、油絵は難しいイメージもあり、手を出しにくいという声もききます。

今回は、油絵をグッと身近に感じるように「油絵の基礎知識」と魅力をわかりやすい言葉で解説します。

油絵とは

油絵とは、油絵の具を使って描かれた絵です。
小学生のときに使っていた絵の具は絵の具を水で溶く水彩絵の具でしたが、油絵の具は水の代わりに油を使って絵の具を溶きます。

ゴッホやルノワールなどの有名な画家の多くは油絵の具を使って描いていました。
油絵の歴史は古く、14世紀ごろから始まりました。
当初は宗教に関する絵が描かれていましたが、17世紀ごろになるとミケランジェロやフェルメールが登場し、風景画や静物画も描かれるようになります。
その後は、ゴッホやルノワールなどが独自の表現方法で絵を描き、油絵の表現は一気に花開いたのです。

油絵で使う画材と道具

油絵を描きたいけれど「必要な画材や道具が多そうだから」という理由で一歩を踏み出せない人がたくさんいます。
実は、油絵の画材や道具はそれほど多くはありません。
ここからは、「これだけあれば描ける」という基本の画材と道具を紹介します。

<画材>

油絵に必要な画材は、絵の具と筆とペインティングオイル(できればテレピンも)とブラシクリーナーとキャンバスです。ひとつずつ説明しましょう。

絵の具は、油絵の絵の具セットです。初めは基本の12色セットを使うことをおすすめします。
なぜならば、はじめから豊富な色数を用意してしまうと混色(色を混ぜること)を学べないからです。

筆は、適度な固さと指ではじくと元に戻ってくるような弾力があるものを使います。
平べったい「平筆」と先が細くなっている「丸筆」と平筆の先が曲線になっている「フィルバード」の3種類は用意しましょう。
油絵を実際に描いてみると好みの筆の太さや固さがわかってきます。
必要に応じて少しずつ筆は買い足していきます。

ペインティングオイルは、絵の具を溶くための油です。
油絵は、チューブから出した絵の具を乾性油や揮発性油を使って適度な濃度に薄めます。
そうすることで描きやすくなり、ひび割れも防ぐことができるのです。

しかし、はじめから複数の油を調合することは難しいかもしれません。
ペインティングオイルは、最初から複数の油をバランスよく調合してあります。
水彩絵の具の水と同じ感覚で使える便利なオイルです。

ただ、描きだしはテレピンというオイルを使ったほうが描き進めやすいため、できればテレピンも用意しておきましょう。

ブラシクリーナーは、名前の通り筆を洗うために使うものです。
油絵の具は乾くと固くなるため、使い終わったらブラシクリーナーで洗い、そのあとに石けんで水洗いします。

キャンバスは、紙にあたるものです。
木の骨組みに画布が張ってあります。
キャンバスは、一から作ることもできますが、地塗りが終わっている市販のキャンバスを買ってきた方がいいでしょう。

キャンバスの大きさは、縦と横の比率によって呼び方が変わります。
A4サイズとほぼ同じ比率と大きさのキャンバスはF4号です。
号数の数字が大きくなるほどサイズも大きくなります。
キャンバスの目の粗さは細目と中目と荒目があります。
はじめは中目が描きやすいでしょう。

<道具>

道具は、パレットとオイルを出す小皿とぼろ布とフィキサチーフです。

パレットは木製と紙製があります。
木製パレットは値段が高いので、紙製パレットから始めるといいのではないでしょうか。
紙製パレットはメモ用紙のようになっているため、使ったら捨てるだけです。

オイルを出す小皿は、100均で売っている食器の小皿や醤油皿で代用可能です。

ぼろ布は、キャンバスにのせた絵の具をふき取るとき、筆を洗うときなどに使います。
タオルは、糸くずがキャンバスについてしまうため、使い古した目の細かい木綿のハンカチなどがいいでしょう。

フィキサチーフは、定着スプレーです。
下描きを終えたら使います。

油絵初心者向けQ&A

ここからは、油絵初心者に多い質問に答えます。

<油絵と水彩画の大きな違いは何ですか>

油絵と水彩画の一番の違いは、絵の具の乾き方です。
絵の具の乾き方の違いによって表現できる種類も変わります。

水彩絵の具は、絵の具を水で溶くため、絵の具に含まれている水分が蒸発することで乾きます。
水分が抜けるため、濡れた状態よりも乾いた状態の方が体積は減るのです。

一方の油絵の具は、絵の具を油で溶きます。
油は蒸発して乾くのではなく空気中の酸素と結びつき酸化することで固くなります。
つまり乾いても体積は変わりません。

そのため、油絵はゴッホの作品のように絵の具を盛り上げた表現がしやすいのです。

<においが少ない油絵の具はありますか>

「油絵はにおいが強いから描けない」とい人には水溶性の油絵の具をおすすめします。
油絵の強いにおいの原因は溶剤です。
水溶性の油絵の具は、溶剤の代わりに水が使えます。
水で溶くと仕上がりはマットになります。
もしも油絵独特の光沢ある仕上がりにしたい場合は、専用の溶き油を使います。

油絵の魅力とは

油絵の魅力は、絵の具を重ねられることです。
絵の具を重ねることでたくさんの絵肌を生み出すことができます。

絵肌とは、キャンバスに近づいてみると見える質感です。
ゴッホの作品は絵の具がぼってりとのせられた絵肌、モナ・リザの絵肌は何層にも薄く溶いた絵の具が重ねられた絵肌(スフマート)です。

油絵の魅力は、絵の具の濃度や重ねる回数を自在に変えて自分なりの表現を生み出せることでしょう。

おわりに

油絵はハードルが高いイメージがありましたが、最近は絵の具やオイルも進化しています。
少ない画材でも幅広い表現ができるようになりました。
まずは必要最小限のものを準備して、油絵の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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