テレビ番組で色鉛筆画が取り上げられ「写真みたい」「色鉛筆でここまで描けるの!?」と驚いた人も多いのではないでしょうか。
色鉛筆はとても身近な画材であり、多くの人が幼いころから慣れ親しんでいます。
今回は、色鉛筆画の魅力から上手に描くコツ、教室探しまでを詳しく解説します。
目次
色鉛筆画の魅力とは
色鉛筆画の魅力は、身近な画材で手軽に始められることです。
筆やオイルも必要なく、色鉛筆と紙があればすぐに描けることが魅力ではないでしょうか。
また色鉛筆は、いつでも中断することができます。
筆洗いの水が入ったバケツを片づける必要もありません。
子育て中の人や介護中の人は、まとまった制作時間がとれず、子どもが寝たあとや家事と家事の合間のわずかな時間が自分の制作時間です。
色鉛筆画ならば、ダイニングテーブルの端に色鉛筆と紙を置いておけば、わずかな時間でも少しずつ描くことができます。どんな状況にある人でも始めやすい絵が色鉛筆画です。
色鉛筆画は手順と色の作り方を学び、手順通りに進めれば誰でも上手になることができます。
色鉛筆画を上手に描くコツ
色鉛筆画を上手に描くにはコツがあります。
ここからは、色鉛筆画が上手くなるために知っておきたいコツをお話しします。
<デッサンを正確にする>
色鉛筆画は「写真と見間違えるくらいのリアルさ」がポイントです。
リアルさを出すために一番大切なことは「デッサン力」です。
たとえばミニトマトを描くときにコンパスで丸を描いてもリアルさは出ません。
ミニトマトは単純な丸ではなく、へたの部分がへこんでいます。
モチーフをよくみて正確にデッサンすることが色鉛筆画を上手に描くコツです。
ただ、デッサン力は練習を重ねなければうまくなりません。
デッサン力がつく前に色鉛筆画を描き始めたいときには、写真を写して下描きとしましょう。
トレース台の上にトレーシングペーパーを置いて写真を写し取ります。
トレース台とは、台の下に光源がある台です。
写真の下から光を当てることで、輪郭線を写しやすくします。
写真を使って下描きするときには、テーブルに落ちた影やハイライトまで写し取るようにしましょう。
<色に敏感になる>
本物と見間違えるような色鉛筆画は、色鉛筆そのままの色ではなく、いくつもの色を重ねて色を作っています。
例えば「葉は緑色」と思われがちですが、色鉛筆画で描くときには黄色や青色や赤色を重ねて奥行きのある緑色を作ります。
色は「単体でみたとき」と「複数の色に囲まれたとき」では見え方が変わります。
写真をもとにして色鉛筆画を描くときには、周囲の色に惑わされず「本当にこの色で合っているのか」をこまめに確認するようにしましょう。
確認する方法は、確認したい色の周囲を白い紙で隠して「写真の色」と「自分で作った色」をくっつけて並べます。色を作るときには、混ぜた色と塗った順番をメモしておきます。
<さまざまなテクニックを使いこなす>
色鉛筆画で大切なテクニックは、紙の目をつぶさないように塗るテクニックです。
色鉛筆画は、絵の具のように混ぜて色を作るのではなく、紙の上で色を重ねて色を作ります。
を重ねるためには、紙の目をつぶさないようにしなければなりません。
黄色は明度が高いため、塗っても色がわかりにくいため、つい力を入れてゴシゴシと塗りがちです。
しかし、ゴシゴシと塗ってしまうと紙の目がつぶれてしまい、それ以上色を重ねることができなくなります。
色鉛筆画では、クロスハッチングというテクニックで色を塗ります。
クロスハッチングは、線を交差(クロス)させて色を塗るイメージです。
ほかにも、色鉛筆の動かし方やハイライトの入れ方、紙の白色の活かし方など色鉛筆画には必要なテクニックがあります。
さまざまなテクニックを使いこなせるようになると、表現の幅が広がります。
色鉛筆画を学べる教室の探し方
色鉛筆画専門の絵画教室は少ないです。
色鉛筆画を習うならば、デッサンと色鉛筆のテクニックが習える教室に通うといいでしょう。
デッサンが上手になれば、形がとれるようになるだけでなく、光の入れ方やものの形のとらえ方が上手にできるようになります。
色鉛筆の使い方を習うためには、色鉛筆を画材として採用している教室を探す必要があります。
マンガやイラストには、色鉛筆画と共通する道具やテクニックが多いため、イラストを教えている教室を探してもいいのではないでしょうか。
例えばトレース台はマンガを描くときに使う道具であり、クロスハッチングはイラストやマンガでも使われる「カミケア」とよく似たテクニックです。
色鉛筆画を学べる教室を探すときには、自分が描けるようになりたい絵、目標とする絵を持参するといいでしょう。
おわりに
色鉛筆画は、写真をもとにして描くこともできますが、やはり実物から描き起こす方が「描きごたえ」があります。
色鉛筆画を本当に楽しむためにもデッサン力は大切です。
色鉛筆画を長く続けるためにも、デッサンもあわせて習うことをおすすめします。
色鉛筆画の不思議なところは、色鉛筆で描いたにもかかわらず完成した作品からは色鉛筆を一切感じないところです。
見た人に「これ、色鉛筆で描いたの!?」と言わせるような作品を描いてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。