大人が絵画教室に通うとき、気になることはお金のことではないでしょうか。
しかし、体験入学のときには月謝や材料費のことしか聞くことができず、パンフレットに載らないお金のことまでは聞けないでしょう。
今回は、聞きにくいけれど知りたい絵画教室にかかるお金のすべてをお話しします。
目次
一番お金がかかるのは最初
絵画教室は初めに、入学金と月謝と画材代が必要です。
絵画教室は、ロッカーの準備や個人ファイルなど入学に合わせて準備するものが多いため、入学金は一般的な習い事よりは高めです。
画材代は、描く絵によって変わります。
鉛筆ならば千円以下から準備可能です。
色鉛筆ならば数千円、タブレットならば十万円以上するものもあります。
いずれにしても、一番お金がかかるのは最初です。
最初に必要なものをそろえれば、あとは少しずつ買い足していくことになります。
「できるだけ無駄な出費はしたくない」という人は、お試し画材が用意されている絵画教室を選ぶといいでしょう。
意外と大きい「お茶代」の意外なメリット
絵画教室にかかるお金はパンフレットに掲載されているものだけではありません。
自宅から教室までの交通費、お友達とのお茶代が必要です。
絵画教室には共通の趣味を持った人が集まるため、気のあう友達ができやすいです。
クラスが終わってから喫茶店によっておしゃべりをすることも増えるでしょう。
ただ、週数回といってもお茶代は意外と高く「塵も積もれば山となる」です。
つい「節約したい」と思うかもしれません。
しかし、絵画教室帰りのお茶代は、考え方次第ではとってもお得な勉強代になるのです。
筆者は、美大受験予備校の帰りに友人とファーストフード店でおしゃべりをしてから帰ることが日課になっていました。
ファーストフードといえども毎日のこととなるとかなりの出費です。
しかし、そのときに得た知識や情報は今でも教養として身についています。
例えば、フランス映画や現代美術の知識は大学でも予備校でもなく、ファーストフード店でのおしゃべりから得たものがほとんどです。
絵画教室には、美術や芸術の世界に明るい人がいるものです。
その人たちとの関りはプライスレスです。
コスパよく絵を習うなら「アトリエが自由に使える絵画教室」を選ぶ
お得な絵画教室を探すならば、月謝が安い教室を選ぶよりもアトリエが自由に使える教室を選んだ方がいいでしょう。
なぜならば、絵画教室では「習っている時間」よりも「描いている時間」の方が長いからです。
絵はピアノとは違い、よほどのことがなければ先生が横に座ってひとつひとつの手の動かし方を指導することはありません。
ある程度描き進めた作品を先生がみて「これはもっと大きく描いたほうがいい」「鉛筆の持ち方を変えた方がいい」とアドバイスをします。
つまり、1時間のクラスであっても、ほとんどが「自分で絵を描く時間」です。
月謝が安い教室は、レッスンコマ数と生徒数をギュウギュウに詰めて数をこなしている傾向があります。
「絵を習いに行っているのか」「絵を描く場所を提供してもらっているだけなのか」がわからない状況になってしまうでしょう。
一方、月謝をきちんととっている教室には空きアトリエがあり、自由に使える場所として開放していることがあります。絵は描けば描くほど上手になります。
週のレッスンコマ数は同じでも、空きアトリエを利用して絵を描く時間を増やせる教室のほうが絵はうまくなります。
つまり、きちんとした額の月謝を支払い、空きアトリエを利用したほうが安い月謝を長く払い続けるよりも、早く安く上達する可能性があるのです。
上達するほど最低限の画材で描けるようになる
はじめは画材をそろえるためにある程度のお金はかかります。
しかし、そこから先は人によって使うお金に差が出てくるのです。
うまく絵が描けず試行錯誤しているときには、画材も多く使います。
無駄になる画材も多くあるかもしれません。
しかし、上達してくると必要最低限の画材を使いこなして絵が描けるようになるのです。
筆の使い方もうまくなり、毛先を傷めない使い方や手入れができるようになります。
パレットに出す絵の具の量も先を予測しながら適量を出せるようになります。
絵画教室にかけるお金を節約する一番の方法は「早く画材を使いこなせるようになること」です。
そのためにも、わからないことを質問しやすい雰囲気がある絵画教室、自由に使えるアトリエがある絵画教室を選ぶことがポイントになります。
おわりに
大人が新しい習い事を始めるときにはお金のことが気になります。
ゴルフのように「仕事に使える習い事」や料理のように「家族が喜ぶ習い事」ならばまだしも、絵画教室は「何かに使える習い事」ではないのかもしれません。
つまり「元を取ること」が難しい習い事です。
しかし、絵は始めこそお金がかかりますが、始めてみると意外とお金はかからない「持続可能な習い事」です。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。