大人が絵を習うなら! 絵を楽しめる絵画教室の選び方

大人が絵画教室に通う目的は、子どもの目的とは少し違います。
大人は絵を学ぶというよりも絵を楽しむことを目的としている人が多いようです。

今回は、大人が絵を楽しめる絵画教室の選び方についてお話しします。

大人クラスがある絵画教室

絵画教室と一言でいっても、実はたくさんの種類があります。
いわゆるお受験を目的としたお絵かき教室もあれば、美大受験に備える教室もあります。
何も知らずに飛び込んでしまうと「こんなはずじゃなかった」ということになってしまうかもしれません。

大人が絵画教室を選ぶときには、まず「大人クラス」がある教室を探すといいでしょう。
小さな子どもと一緒に描くことになれば、どうしてもにぎやかな雰囲気になってしまい「落ち着いて絵を描きたい」と思う人は不満に感じます。

また、意外と多い間違いが「より高度なテクニックを学びたいから美大受験予備校に入る」です。
筆者が美大受験のときに通っていた予備校にも高齢の方が1人だけクラスに混ざっていました。
美大を目指す予定はなく、より高度で専門的なテクニックを学びたいとのことでした。
しかし美大受験予備校は絵画教室とは雰囲気が違います。
「予備校」というだけあって、生徒は高校生ばかりです。輪に入ることが難しいのです。

絵を分析しない絵画教室

音楽を聴いたとき「いい曲だな」と感じます。なぜ「いい曲」と感じるのでしょうか。
きっとその曲が好みにあっていたり、その時の気分にあっていたりしたからです。
「いい曲」と感じることに理由はいらないはずです。
どんなにいい曲であっても、細かく分析してしまうと純粋に「いい曲」と思えなくなることがあります。

例えば曲を聴くたびに「この曲は何拍子」「ハ長調か」「作詞作曲は誰」と細かく分析してしまっては、曲の魅力がわからなくなるのです。

絵も同じです。
パッとみて「この絵、好き」と思えば、それでいいのです。
それにもかかわらず「この絵は一点透視法か空気遠近法か」などと分析ばかりしていると絵の見方が機械的になってしまいます。

絵の分析ばかりをする絵画教室で絵を描いていると、絵の描き方に正解と不正解ができてしまい、自由な表現がしにくくなってしまうかもしれません。
合否にかかわる場合ならば話は違いますが、絵を楽しむために通うならば絵を分析しない絵画教室のほうがいいかもしれません。

講師や先生の専攻が自分と合っている絵画教室

絵画教室の講師は、ひとりひとり得意とする分野をもっています。
油絵が得意な講師もいれば、日本画を描いてきた先生もいます。
絵を習うときに「どんな絵が描きたいか」が決まっていると、より自分に合った教室を選ぶことができるでしょう。

油絵と日本画は、雰囲気が違います。
油絵は力強く絵の具を重ねながら作品を描きます。日本画は繊細な色を重ねず描きます。
また、タブレットを使ってイラストを描きたいと思っていても、昔ながらの描き方を続けている教室ではタブレットを使うことすらないかもしれません。

絵画教室を探すときには、絵画教室のホームページから講師や先生の作品をのぞいてみましょう。
そして「この作品好き」「こんな絵が描きたい」と思った講師がいる教室を選ぶといいでしょう。

自分が求めるレベルを求めてくれる絵画教室

絵画教室によって求められるレベルがあります。
美大受験ならば、美大合格レベルを求められます。
とにかく楽しく描くことを目指している絵画教室もあります。
大人の絵画教室の中には、絵を習うことよりも交流の場としての役割が大きくなっている教室もあります。
そのような絵画教室では、絵のレベルよりも会話力や社交性の方が求められるのかもしれません。
自分が求めている以上のレベルを求められるとストレスになってしまうでしょう。
かといって、自分が求めているレベル以下であれば物足りなく感じます。

大人の絵画教室は、美大受験や幼児教育のように目的が明確ではないだけに教室の雰囲気はさまざまです。
「自分はどのような雰囲気の中で絵を描きたいのか」を考えて、自分が求めるレベルを生徒に求めてくれる絵画教室をみつけることが大切なポイントです。

大人が絵を楽しめる教室を選ぶためには、意外と人間関係がポイントになります。
体験レッスンに参加して教室の雰囲気を感じてくるといいのではないでしょうか。
また、人間関係にとらわれることなく、純粋に絵を学びたいと思う人にはオンラインレッスンという方法もあります。

おわりに

大人が絵を習う目的はたくさんあります。「老後の生活を充実させたい」「趣味をもちたい」「仲間が欲しい」のように長く続けることで目的達成できることがほとんどです。長く続けるためには「楽しめること」がポイントになります。お仕事をしている場合は通いやすいことや遅刻できることも大切なポイントです。自分のライフスタイルにあった絵画教室を探してみてはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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