大人が少ないコストで絵を学ぶ5つのポイント

大人になってから「絵を学びたい」と思っても、どうしてもコストが気になり一歩を踏み出せないことがあります。「絵はお金がかかる」と思われがちですが、実はポイントをおさえれば少ないコストで学ぶことができます。

今回は、大人が少ないコストで絵を学ぶためのポイントを5つお話しします。

画材にお金がかからない方法で絵を描く

絵を描く方法はたくさんあります。
岩絵の具を使う日本画や油絵の具を使う油絵、ポスターカラーや色鉛筆もあります。
使う画材によってコストは大きく変わります。

子どものころに使った色鉛筆ならば、家にあるものがそのまま使えるかもしれません。
ポスターカラーならば、美大受験に対応できるものでも24色セットで9,000円程度です。
一度購入すれば、あとは買い足すだけなのでそれほどお金はかかりません。

ただ、日本画で使う岩絵の具や油絵で使う油絵の具は色によって値段が変わります。
安い絵の具ばかりにこだわっては表現が制限されてしまいます。
絵のコストは、画材の選び方で大きく変わるのです。

とにかく少ないコストで絵を学びたいと思うならば、タブレットもおすすめです。
手持ちのタブレットならばコストをかけず、すぐに絵を学ぶことができます。
iPadやApple Pencilを使用したデジタル画には、簡単に画材の持ち運びができるメリットもあります。
仕事帰りに絵画教室で絵を習いたい人にもおすすめの方法です。

独学の「手探り学習」をやめる

大人になってから絵を学ぶ人の中には、市販の書籍や通信教育を利用して独学で頑張ろうとする人も多いようです。
コストだけを考えれば独学が一番コスパはいいように感じるかもしれません。

しかし、独学には落とし穴があります。
落とし穴とは、ひとつの教材だけでは満足できず、多くの教材を買い集めるようになってしまうことです。
「デッサンを学びたい」と思えばデッサン集やデッサンの基本技法が描かれた書籍を買い、「イラストが描きたい」と思えば別の書籍を買うことになり、結果的にかなりのお金をつぎ込んでしまうことになります。

美術のような専門書は単価が高いため、数冊買っただけで簡単に1万円を超えてしまうのです。
独学は、言い換えれば「手探り学習」です。
コストをおさえる意外なポイントは「急がば回れ」ではないでしょうか。
初めから絵画教室で必要最低限の教材や画材をそろえることが、結局は一番お金を節約することになるのかもしれません。

途中で投げ出さず最後まで描き切る

意外なポイントですが1枚の作品を最後まで描き切ることが少ないコストで絵を学ぶ大切なポイントです。
大人になると先を見通せるようになり「このまま描いてもうまくいかない」と見切りをつけてしまうようになります。
途中で投げ出された作品から学べることはありません。
画材も時間も無駄に終わってしまいます。

たとえ「失敗した」と思っても、最後まで描き切った作品からは「今度はもっとこうしよう」と学ぶことができるのです。

絵画教室で絵を習うメリットは「最後まで描き切らなければならない状況である」ということです。
絵画教室では、ひとつのタイトルを途中で投げ出すことはなく、結果がどうあれ最後まで描き切って講評を受けることができます。

画材を買うときには「いいもの」を買う

少ないコストで絵を学ぶために一番やってはいけないことが「画材をケチること」です。
すべての道具を100円ショップでそろえたり、フリマサイトで数十年前のカチカチになった絵の具を購入したりすることはやめましょう。

なぜならば、安い画材は発色が悪かったり使いにくかったりすることが多いからです。
どんなに絵が上手な人でも色が悪い絵の具を使ってきれいな絵を描くことはできません。
画材を買うときには、安い画材を大量に買うのではなく、選び抜いた画材を必要分だけ買うようにしましょう。

絵画教室には、たくさんの画材が用意されています。
どの画材を買ったらいいのかわからないときには、買う前に先生に相談し絵画教室で試させてもらうといいでしょう。

通学よりもオンラインコースを選択する

絵を学ぶためのコストは、画材代や受講料だけとは限りません。
絵画教室に通学するためには交通費や軽食代、友達ができればお茶代などの交際費も必要になるかもしれません。
通学にはメリットもたくさんありますが、とにかく出費を抑えたいと思うならばオンラインコースの受講がいいかもしれません。

最近は、人との接触を避けるため、地方在住でも絵を習う機会をもうけるためにオンラインレッスンを始める絵画教室が増えています。
オンラインコースならば、交通費も交際費も必要なく絵を学ぶことができます。

おわりに

絵は、お金をかければいい絵が描けるということはありません。
その人に合った画材と描き方をみつけ、長く描き続けることが大切です。長く続けるためには、無理のないコスト管理が必要になります。
絵画教室の中には画材の販売をしているところもあります。先生の目で選んだ画材の中から購入することができるため、画材選びに自信がない人は積極的に利用するといいのではないでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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