よくある悩み「絵を描いても完成までたどりつけない」の原因と解決方法

「絵を描きたい」と思って描き始めても完成までたどりつけず、未完成のまま終わってしまうことがあります。
未完成を繰り返すと未完成で終わることに慣れてしまい、はじめから完成を目指さなくなってしまいます。

今回は、絵を描いても完成までたどりつけない原因と解決方法をお話しします。

原因1:完成まで描く気力が続かない

1枚の絵を仕上げることは意外と大変です。
例えば、年賀状サイズでも下描きをして色を塗れば数時間はかかります。
数時間も絵に集中するには、それなりの気力と集中力が必要です。
さらにコンクールに出品するサイズの絵になれば数日から数か月かかります。

絵を描き始めても完成までたどりつけない人は、描き始める意欲はあります。
足りないものは描き続ける気力と集中力です。

解決方法:絵を描くことを習慣化する

絵を描く気力と集中力を養うためには、絵を習慣化することです。
いきなりフルマラソンは走れませんが、毎日練習をすることで体力がつき、徐々に長く走れるようになります。
絵も同じように描くことを習慣化することで気負うことなく絵が描けるようになります。
絵をあまり描かない人が絵を描くとき、下描きに相当の時間がかかることがあります。
それは気負いすぎているからです。
長距離走を全速力で走っているようなものです。
線を描いては消し、消しては描くことを繰り返してしまい、完成まで気力が続きません。

絵を描くことを習慣化すると、絵を描くハードルが下がり、長く描けるようになります。

原因2:背景を描くことがこわい

例えば、動物がいる風景画を描くときに、動物だけを描いて終わってしまうことがあります。
まだ余白だらけにも関わらず、描き進めることがこわくなってしまうのです。
上手に描ければ描けるほど「壊したくない」という思いが出てきて「これ以上はさわらないほうがいい」と思ってしまいます。

背景を描くことがこわくて完成までたどり着けない人は、メインの部分だけが描かれた未完成の作品をいくつももっています。
背景を描くことがこわい人に足りないものは、絵を完成させる勇気です。

解決方法:具体的な色をあててみる

背景を描くことがこわい人は、絵への思い入れが強い人です。
あと少しの勇気があれば完成までたどりつき、満足できる作品になるでしょう。
具体的な解決方法は、色見本を作って実際に塗る前に完成のイメージをすることです。
これは筆者が実際に行っていた方法です。
色見本とは、自分がよく使う色を10cm×5cmの画用紙に塗ったものです。
裏には、色の作り方(絵の具の配合)をメモしておきます。
筆者は50枚ほど色見本を作り、背景や色の組み合わせを考えるときに使っていました。
動物の背景に山を描きたいと思ったら、山に使う色に近い色見本をあてて完成形をイメージします。
ゴールをイメージすることで漠然としたこわさがなくなります。
もしくは、一歩を踏み出すアドバイスをもらうことです。絵への思い入れが強い人は「やってごらん」と背中を押してくれる人がいるだけで一歩を踏み出すことができます。
背景を迷っているときに「それでいいよ」と背中を押してくれる先生に習うことも解決方法のひとつです。

原因3:無意味な手が多い

完成までたどりつけない意外な原因が「完成」がわからずにダラダラと描き続けることです。
筆者の経験からいうと「良く描けた作品ほど無駄な手数がなく短時間で描ける」ということです。
ダラダラと時間をかけて描いた作品は、無駄が多くやぼったい作品になっていました。
しまいには、自分がどんな絵を目指しているのかがわからなくなり、途中で描くことをやめてしまうのです。

無意味な手が多い人に足りないものは、終わりを意識して絵を描く習慣と効率的に描くスキルです。

解決方法:絵の完成日を決める

無意味な手(線)が多いということは、計画的かつ効率的に絵が描けていないということです。
時間がたっぷりとあるため、寄り道が多くなってしまうのです。
解決方法は、終わりを決めてから描き始めることです。
つまり、絵の完成日を決めることで時間を逆算して描き進めるようになります。

美大受験予備校は、課題と一緒に講評日が発表されます。
講評日は、絵が完成していなくてもその時点での作品で評価されます。
そのため、生徒は講評日までの時間を効率的に使うために大切なポイントを抑えて絵を描き進めるようになります。
先生は、生徒が講評日までに絵を完成できるように指導をします。
美大受験予備校は決められた時間内に絵を仕上げる美大入試に備えるため、時間管理にはとくに厳しいです。
絵画教室でも完成を意識して絵を描き進める指導があります。
無意味な手が多く完成までたどりつけない人は、絵の完成日を決めたり、効率的な絵の描き進め方を習ったりするといいでしょう。

おわりに

絵の上達を目指すならば完成まで描き上げることが大切です。
未完成の状態は、描いていない部分を都合よく想像することで満足させてしまい、反省点や改善点をみつけることができません。
「絵を完成させられない」という悩みには原因があります。
原因を早めにみつけて絵を描き上げる楽しさと達成感を味わいましょう。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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