絵画コンクールやイラストコンテストに挑戦してもなかなか入賞できずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
実は入賞する作品には共通点があります。
今回は、入賞する作品の共通点をあげて、入賞するコツと学び方をお話しします。
目次
たくさんの作品と並べたときにインパクトがある
コンクールやコンテストに入賞するコツを検索してみると「カラフルに描く」「大きく描く」など具体的なアドバイスをみつけることができます。
たくさんの色を使ってカラフルに描くことや紙いっぱいに大きく描くことには、共通した目的があります。
それはインパクトを強くすることです。
小中学生の絵画コンクールや手描き作品は、応募作品を並べて審査することがほとんどです。
そのときにインパクトが弱い絵は、周囲の絵に埋もれてしまい、審査員の目に留まりにくくなります。
「カラフルに描く」は、色でインパクトを与える手法であり、「大きく描く」は大きさでインパクトを与える手法です。
白をたくさん混ぜたパステルカラーの絵は、やわらかくやさしい印象になりますが、隣にパンチのある色でまとめた作品が並んでしまったらインパクトは弱くなるでしょう。
インパクトを強く出す方法は、色と大きさだけではありません。
インパクトのある構図やモチーフ選び、画材の選び方など「個性的なインパクト」を出すことがコツです。
募集テーマに合っている
コンクールやコンテストには、募集テーマが設定されています。
例えば、学生を対象にしたコンクールでは「環境」や「エコ」をテーマにした作品が募集されることがあります。
よくある失敗が、アイデアを発展させすぎてしまい、テーマからずれている絵に仕上がってしまうことです。
「環境」からアイデアが発展し、結果的に「宇宙」を連想する絵になってしまう失敗や「エコ」からアイデアが発展し「ゴミ問題」にテーマが置き換わってしまう失敗はよくみかけます。
募集テーマに合っていることは、入賞の最低条件です。
コンクールに応募する場合は、テーマを自分なりの解釈ではなく、客観的に解釈することがポイントです。
描きあがった作品が「テーマに合った絵」になっているかをチェックする方法は、募集テーマを知らない第三者に作品を見せて「絵のテーマ当て」をしてもらうことです。
もしも「環境」がテーマにも関わらず「テーマは宇宙かしら」と言われたら、構成から考え直しましょう。
誰が見ても「このテーマは環境だ」と言い切れる絵を描くことが入賞のコツです。
繰り返しになりますが「このテーマにも当てはまりそう」ではなく「このテーマにしかみえない」という絵にすることが大切です。
オリジナリティがある
最近はSNSで簡単に自分の作品を公開することができます。
またアプリが豊富にあり、誰でも簡単に絵を描くことができます。
見方を変えれば、世の中には絵が豊富にあふれているため、新しい絵を描いたつもりでも「似た作品」がすでに公開されている可能性があるのです。
審査中に「この作品はどこかでみたことがある」「あの作品に似ている」と思われたら、その段階で入賞は遠のくでしょう。
また、絵画コンクールやイラストコンテストで入賞した作品は、広く公開されます。
公開されてから「この作品は私の絵を似ている」と言われたらさらに大変です。
少し前までは「オリジナリティ」の意味は「個性的である」でしたが、今は「似た作品がない」という意味も含まれているでしょう。
イラスト作品の場合は入賞後に商品やグッズに加工される可能性もあります。
固有名詞や自分のサインを作品に描き込んでしまうと加工がしづらくなり入賞から外される可能性もあります。
「オリジナリティを出すための工夫」を間違えてしまうと、加工がしづらくなることもあるため、要注意です。
作品が完成したら、インターネット上に似た作品がないかをチェックしてみることをおすすめします。
審査員のセンスと合っている
コンクールやコンテストでは、上手い絵が入賞するとは限りません。
例えばAコンクールでは落選したけれど、Bコンテストでは入賞する可能性は十分にあります。
理由は審査員のセンスです。
コンクールやコンテストには審査員がいます。
イラストのコンテストならば、プロのイラストレーター、絵本コンテストならば編集担当者などが審査員として参加しているでしょう。
つまり、審査員の目に留まり「これはいい」と思われた作品が選ばれるのです。
筆者が美大受験予備校に通っているとき、予備校講師に「あの学部の教授はピンクが嫌いだから、入試ではピンクは使うな」と言われたことがあります。
たしかに合格者作品の中でピンクを使った作品はひとつもありませんでした。
自分の絵を入賞させたいと思うならば「応募するコンクールの審査員は誰なのか」「過去の入賞作品の特徴」の2つは研究してみましょう。
そして「入賞する作品の共通点」を見つけ出し、審査員のセンスにかなったポイントを押さえることも現実的な入賞のコツです。
入賞を目指す絵は現役で活躍中の先生に学ぶ
絵画コンクールやイラストコンテストで入賞を目指すならば、独学よりも現役で活躍している先生に学ぶことをおすすめします。
なぜならば「今」を知っている人から情報を得られるからです。
審査員に選ばれる人は、今話題になっている人が多いのです。
「私、この人を知りません」という状態では時代に乗り遅れてしまい、情報が遅くなります。
また、現役で活躍している先生は最新の描き方や画材を知っています。
「あなたの絵にはこっちの画材がいい」「こっちの描き方の方がのちのち加工しやすい」というアドバイスもしてくれるでしょう。
おわりに
コツを押さえた作品は入賞を十分に狙えます。あとは運です。
入賞できる作品であっても、もっと魅力的な絵が応募されていれば負けてしまいます。
運は、いつやってくるかわかりません。
もしも落選したときには「今回は運がなかった」と考えて、新しい絵を描いてください。
入賞は想像以上に自信になります。運と実力を味方にして、ぜひ入賞を狙ってみましょう。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。