シニアからの習い事に絵画教室をすすめる理由

60歳以上をシニアと呼ぶ時代は終わっています。
今は70代80代になってから新しいことにチャレンジする人が増えています。
定年退職や孫育てが一段落してから新しい習い事を始める人も多いのではないでしょうか。

今回は、シニア世代からの習い事に絵画教室をおすすめする理由をお話しします。

絵画教室のシニアクラスには初心者がいるから

シニア世代になってから新しい習い事を始める人の多くが抱える不安があります。
それは「初心者でも大丈夫か」です。

シニア世代では、一つのことを極めてきた人もいます。
プロ顔負けの実力をもち、中には定年退職後の収入源にしている人もいます。

シニア世代に人気の習い事にフラメンコや登山があります。
体を動かすことは、健康維持にも役立ちます。

しかし、フラメンコを一から始めるとなれば、基礎から覚える必要があります。
グループレッスンでは周囲との実力差を目の当たりにして自信をなくしてしまうかもしれません。
フラメンコは、大人になってから始める人も多い習い事ですが、40代50代から始める人がたくさんいます。
周囲に追いつくまでは相当の努力が必要かもしれません。

また、登山は自分のペースでできる趣味のためシニア世代に人気です。
しかし、初心者向けの山と言っても山に変わりはありません。
基礎的な体力は必要です。

一方の絵画教室のシニアクラスには、ゼロから始める人がたくさんいます。
道具の使い方から習うことができるため「初心者でも大丈夫か」という心配は一切いりません。

たしかに、長く習っている人とは実力に差があるでしょう。
しかし、絵画教室は他の習い事のように自分の実力が他の人に影響を与えることはありません。
どんなに上達が遅くても自分のペースで学んでいくことができる習い事です。

ダンスや体操と違い体力に自信がなくても始めやすいから

絵画教室では、イスに座って絵を描きます。
暑い夏は空調の効いた部屋で快適に描くことができます。
「元気なシニア」といっても20代や30代とは体力に差があります。
絵画教室は体力に自信がない人でも体に負担をかけることなく続けられる習い事です。

絵を描くには画材が必要です。
絵の具やキャンバスを教室に来るたびに持ち運ぶことは大変です。
シニアクラスや子どもクラスがある絵画教室では、画材の保管サービスを行っています。
重たい画材の保管だけでなく、ひざ掛けや上着など「あると便利なモノ」を置いておくといいのではないでしょうか。

友達づくりが苦手でも自分の居場所が生まれるから

シニア世代から習い事を始める目的が「友達づくり」である人も多いです。
会社勤めだった人は、退職したとたんに人間関係がなくなり「友達がいないことに気がついた」という話も聞きます。

しかし一方で、友達づくりや人間関係が面倒と考える人もいます。
「教室の見学に行ったら、すでに友達の輪ができていて入りにくい雰囲気だった」や「友達づくりが苦手だから習い事は億劫」という人もいます。

「新しいことを始めたいけれど友達づくりが苦手」という人には絵画教室をおすすめします。
なぜならば、絵画教室はたとえ友達ができなくても教室に居づらくなることはないからです。

絵画教室にはたくさんの生徒がいますが、ひとり一人が向かい合っているものは友達ではなく作品です。
「人と作品」のペアが基本単位であり、ペアが集まっている状況が「教室」なのです。
自分と作品というペアがあれば、それだけで居心地が悪くなることはありません。

たとえ、グループで固まっている人たちが近くに座っていたとしても、レッスンが始まれば「人と人」の空気は変わり「人と作品」の時間が流れるのです。

そして絵画教室では、積極的に友達づくりができなくても、作品を通して友達ができることも多いのです。

幅広い年齢層との出会いがあるから

絵画教室にはさまざまな年齢の人たちが通っています。
3歳4歳の未就学児クラスや小学生クラスはあふれんばかりのパワーみなぎる教室になります。

絵画教室にはたくさんの出会いがあります。
クリスマスパーティのように年齢やクラスを超えて出会う機会もありますが、絵画教室ならではの出会いがあります。

それは「作品を通した出会い」です。
それなりに実力があるシニアクラスの作品とは全く違った未就学児クラスの作品との出会いは衝撃的です。

シニアクラスには、孫に囲まれた生活をしている人もいれば、ひとりの時間を楽しんでいる人もいます。
幅広い年齢層と直接接することはとても刺激的ですが、人によっては刺激が強すぎることもあります。
絵画教室には、直接接する出会いだけでなく、作品を通した異年齢との出会いもあるのです。

おわりに

絵画教室では、自分が描きたいものを描くことができますが、「描きたいもの」を見つけることは難しいものです。
人生経験が少ない子どもは、犬や学校行事など身近なことの中からモチーフを探します。

それに比べてシニア世代は、人生経験が豊富です。
「描きたいもの」はすぐに見つけられるのではないでしょうか。

絵画教室の先生たちは、ひとり一人の「描きたいもの」をイメージ通り描く手伝いをします。
シニア世代だから表現できる作品を絵画教室で制作してみてはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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