アートセンスが注目されています。
アートのように「ゼロから何かを生み出す力」は、これからを生き抜くため必要な力です。
子どものころからアートを身近に感じることができれば、アートセンスを磨くチャンスに恵まれます。
今回は「アートセンスのある子ともに育てたいけれど何をしたらいいのかわからない」という人のために「子どもとアートの距離を近づける方法」を5つ紹介します。
目次
美術や図工の教科書を親子でみる
アートと子どもを近づけるためには「美術館に行って図録を購入し、帰宅してからお互いに感想を言い合う」が王道でした。
しかし、美術館で売っている図録は2500円以上するものが多く「高い」と感じる人も多いはずです。
しかも、美術館で売っている図録は専門的な解説が多く、隅から隅まで読み込むことは大人でも大変です。
そこでおすすめの方法は、小学校や中学校の教科書です。
美術や図工の教科書は身近な画集です。
中学校で使う資料集は、有名な作品ばかりが集められた図録であり、書店に並べれば相当高額な書籍になるでしょう。
教科書は、一人の画家の作品だけでなく、さまざまな時代のさまざまなジャンルの作品が集められています。
油絵だけでは飽きてしまう子どもも彫刻や現代美術ならば興味を持つかもしれません。
大切なことは「興味をもつこと」です。
親子で教科書をめくりながら「これはよくわからないけどきれいな色だね」や「3年生の作品だって」と思ったことを口に出しながら教科書をめくるだけでもアートは身近になります。
親が自分の言葉で素直な感想を言うだけで「美術」という壁が一気に低くなり、子どもは身近に感じます。
屋外型の美術館に行ってみる
美術館というと薄暗くて静かにしていなければならない場所というイメージがあるかもしれません。
たしかに有名な展示では、静かにサッと流れるように移動しなくてはなりません。
小さな子どもと一緒に行くことはとても難しいでしょう。
美術館には屋外展示をしているところもあります。
箱根の彫刻の森美術館や長野県の美ヶ原高原美術館は屋外展示がたくさんあります。
屋外に展示されている作品は、現代美術も多く子どもの興味をそそるかもしれません。
美ヶ原高原美術館には「サモトラケのニケ」が屋外に展示されています。
本物の「サモトラケのニケ」は、フランスのルーヴル美術館に室内展示されていますが、美ヶ原高原美術館では屋外で模刻を展示しています。
「サモトラケのニケ」は、勝利の女神であるニケが船首に舞い降りたときを表現しているといわれています。
大空の下で翼を広げている姿はアートに詳しくない大人でも「風を感じる」「迫力がある」と感動するでしょう。
ミュージアムショップでおみやげを買う
アートセンスを磨くためには、いい作品と触れ合うことが大切です。
アートは絵や彫刻だけではありません。
日用品や文房具やおもちゃの中にも優れたアート作品があります。
ミュージアムショップには、優れた作品でありながらも手軽に購入できるものがあります。
量販店や文具店よりは高い値段ですが、センスあるおみやげがみつかるでしょう。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の公式オンラインショップには、アートセンス抜群のおもちゃやインテリアグッズがあります。
ゴッホの名作「星月夜」をレゴブロックで作るセットや草間彌生「パンプキン」をモチーフにしたがま口など遊んだり使ったりできるアート作品が人気です。
ワークショップに参加してみる
百貨店やショッピングモールでは、土日にファミリー層をターゲットにしたワークショップを行っています。
材料費数百円を払って短時間で作品を作ります。
夏休みには、夏休みの宿題に使えるワークショップも多く、予約が殺到します。
子どもにアートセンスを身につけさせたいと思っても、親がアートに無頓着だとアートに接する機会に恵まれません。
美術館に行くことは大変でもショッピングモールならば買い物ついでにのぞくことができます。
ワークショップは、最寄りのアトリエや教室が催事で行っていることもあります。
気の合う先生と出会える機会でもあるため、積極的に参加してみるといいのではないでしょうか。
絵画教室やアトリエの体験レッスンを受けてみる
本物のアートセンスは、親だけの力では限界があります。
やはりプロと接することでアートセンスは磨かれます。
子ども自身がアートに興味を持ち始めたら、最寄りの絵画教室やアトリエの体験レッスンを受けてみるといいでしょう。
体験レッスンは、実際のレッスンに混ざって体験するため生徒や教室の雰囲気などホームページではわからなかったことを知ることができます。
絵画教室やアトリエに通うと、定期的にアートと接する機会が生まれます。
アート接する機会が増えれば増えるほどアートが日常になり、自然とセンスは磨かれるのです。
おわりに
アートセンスは、単におしゃれなセンスではありません。
アートセンスは、数字やデータからでは生み出せない全く違った発想をするために必要なセンスです。
そのため世界では「すでに成功している」といわれる人たちが新たにアートを学び始めています。
これからの時代を生き抜くためにも子どもと一緒にアートセンスを磨いてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。