大人の絵を早く上達させる上手な絵画教室の使い方

「絵画教室の使い方」という言葉に違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか。
大人は教室を「習うところ」「教えてもらうところ」と受け身になって考えがちです。
しかし、もっと積極的に使ってみるとより早く上達することができます。

今回は、大人がより早く絵を上達させるコツである「絵画教室の使い方」をお話しします。

自分が描きたい絵や目標を具体的に伝える

大人が絵画教室に通う目的は人それぞれです。
定年退職したあとの楽しみにしたい人もいれば副業としてイラストを描きたい人もいます。
趣味で描く人とビジネスにしたい人とでは、習う内容も目標も違います。

絵画教室は、全員が同じものを描く教室とひとり一人にあった課題を描く教室があります。
「自分が描きたい絵」や「目指す目標」がある人は、ただ絵の上達を目標としている教室よりも個々の希望や目標に応じた対応ができる教室を選ぶといいでしょう。

また、目標は初めに伝えておくと効率的です。
例えば「日展に出品したい」という目標があれば、日展に向かって作品を制作します。
「作品を売りたい」というならば、売る方法や売れるコツをアドバイスしてもらうことができます。

大人になるとさまざまなことを忖度できるようになり「目立たない方が迷惑にならない」「先生の都合もあるから」と「よかれ」と思って受け身になることがあります。

しかし、あまりにも受け身になってしまうと「私がやりたいこととは違う」と感じるようになります。
自分が描きたい絵や目標は具体的に伝え、先生と一緒に学ぶ計画をたてることが早く満足しながら上達するコツです。

積極的に質問する

大人になると迷惑を考えてしまい、質問することを控えがちです。
さらにグループになるとほかの生徒のことも考えて「自分だけが先生を独り占めしてはいけない」と遠慮してしまう人もいます。

絵画教室では、全体を見渡して気になるところを先生が指摘しアドバイスします。
指摘する箇所が多かったり目立ったりする場合は自然とアドバイスの量は増えます。
見方をかえれば、それなりに描けていれば声がかからないこともあるのです。

絵は、黙々と描いていればうまくなるということではなく、やはり「描き方」を知ることでうまくなります。先生の目からみて指摘する箇所がなかったとしても、本人が描きながら「ここはこれでいいのだろうか」と悩むことは必ずあります。そんなときは遠慮せずに積極的に質問をしましょう。

レッスンスタイルは遠慮せずに変える

大人になると空気を読めるようになります。
積極的に質問した方がいいことはわかっていても、先生がほかの人を指導している最中に割って入ることはできません。

また、質問はあるけれど、どのように質問すればいいのかがわからないこともあります。
その場合はレッスンスタイルの変更を検討してみるといいのではないでしょうか。

例えば、グループレッスンを受けていると積極的に質問できる人とできない人に分かれることがあります。
グループレッスンは、人間関係もあり途中から抜けたり変更したりすることは「悪いこと」と考えられることがあります。

そんなことはありません。
絵画教室は絵を習い上達させる場所です。
自分にとってよりよい使い方を求めた方が早く上達します。

みんなの中で質問することが苦手ならばオンラインレッスンに変更することができます。
グループの人間関係に悩んでいるならば曜日や時間を変更する方法もあります。

「絵画教室を使う」という姿勢になるだけで自分にとっての優先順位がはっきりとしてくるのではないでしょうか。
柔軟にレッスンスタイルを変えるためにも、多くのレッスンスタイルがある絵画教室を選ぶといいでしょう。

わからないときには先生に提案してもらう

一生懸命に絵を描いていてもなかなか思うように描けないことがあります。
描けない理由もわからずにもがいている時間が必要なときもありますが、やはり描けない理由を早くみつけて解決する方が効率的です。

描けない理由がわからないときには、先生にそのまま伝えてみましょう。
意外と画材を変えたり方向性を変えたりすることで急激に上達することもあるのです。

例えば、色選びが苦手ならば絵の具や色鉛筆よりもタブレットの方がいいのかもしれません。
絵の具は「この色じゃなかった」と思っても簡単に塗り替えることはできませんが、タブレットならば簡単に塗りなおしができます。

タブレットと無縁だった人がひとりで悩んでいても「タブレットで描く」という発想が生まれることはないでしょう。

しかし、多くの生徒を見てきたプロの先生ならば「この人は色選びが苦手だからタブレットが適している」と弱点と照らしあわせて解決方法を提案することができます。

おわりに

絵画教室で絵を習うメリットは、教えてくれる人と環境がそろっていることです。
しかし、いくらすべてがそろっていても「そろっているだけ」では意味がありません。
人と環境を最大限に使い吸収することで絵は上達します。

「絵画教室は絵を教えてくれるところ」ではなく「絵画教室に行って技術を吸い取ってくる」という勢いで絵を習ってみてはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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