聞きにくい! 子どもに絵を習わせたい親が気にしていることにスッキリ答えます

新しい習い事を始めるときには、いろいろなことが気になります。

とくに絵は子どもの内面をうつしだすため、聞きにくい心配や質問が多いようです。
今回は、よくある質問の中でも「聞きにくい質問」をいくつかピックアップして紹介します。

うちの子、変な絵ばかり描くから心配です

子どもの絵は、大人からみると変だったり奇妙だったりすることがあります。
しかし、一見変な絵にみえても、子どもによく話を聞くと「深い意味があって描かれた絵だった」ということも多いのです。

以前「子どもが猫のキャラクターの顔を灰色一色で塗りつぶすの。
本当はピンクなのに。
何か悩みがあって暗い色で顔を塗りつぶすのかしら」と相談を受けたことがあります。

絵をみると、たしかに灰色の色鉛筆で力いっぱい顔が塗りつぶしてありました。

しかし、子どもに話を聞いてみると、その子は猫のキャラクターを知らなかったのです。
近所で飼っている猫が灰色だったから灰色で塗っただけの話だったのです。
また筆者が子どものころは「首から足が出ている絵」を描き、親は相当心配したそうです。

しかし本人は、服の下のイメージができず、描きたくても描けなかっただけでした。
そして「首から足が出ている絵」は、頭足人という小さな子どもが描く特徴的な描き方です。
大人からみれば「変な絵」であっても、子ども本人にとっては「精一杯の表現」であり「子ども時代ならではの表現」なのかもしれません。

大人が「変な絵」と決めてしまうことこそ「変なこと」なのではないでしょうか。

美術や芸術はお金がかかりますか

「美術や芸術はお金がかかる」というイメージが強いようです。

たしかにゴッホの絵を買ったり、宝石で彫刻をしたりするならばお金はかかります。
しかし、美術や芸術は高価なものだけではありません。
家庭にある絵本や駅に貼ってあるポスター、お菓子のパッケージ、映画などのすべてが美術でありデザインであり芸術です。三和酒類株式会社の焼酎「いいちこ」のポスターは駅でみかけます。

風景をうつした写真の中に「いいちこ」のボトルがたたずむポスターです。
一般的なポスターは、通勤や通学の途中でふと目にするだけですが、「いいちこ」のポスターは写真集になり販売されました。
人の心に響く作品は芸術作品です。
お金をかけなくても感性さえあれば「駅に貼ってあるポスターから感動をもらうこともできる」それが美術である芸術です。

美術や芸術には、お金がかかるものもあります。
美大に進学して油絵を描くようになれば高価な油絵具を使うかもしれません。
映像作品を撮るために撮影旅行に出るかもしれません。

お金のかかり具合は、制作する作品によって変わります。
ただし、どんなにお金をかけても感じる心がなければ美術や芸術の魅力には気がつきません。
子ども時代に大切なことは、お金をかけることよりも感じる心「感性」を育てることです。

いつも「描けない」とイライラしていますが習えますか

「描けない」とイライラしている子どもは、人一倍「描きたい」と思っているのではないでしょうか。
描きたいイメージが頭にあるけれど、それを表現する方法がわからないからイライラするのです。
絵を習うことで、少しずつイメージを形にすることができれば、イライラは解消されるのかもしれません。

絵を描く方法はたくさんあります。
色鉛筆やクレヨンだけでなく、絵具やデジタル画もあります。
自分のイメージに近い表現方法をみつけることで、より表現しやすくなります。
さまざまなツールや表現方法と出会えることも絵を習う大きなメリットです。

マイペースすぎて完成できるか心配です

学校の図工や美術の時間は限られています。
さらに45分程度の時間で区切られているため、気分が乗ってきたと思ったら終了のチャイムがなります。
授業時間内で作品を完成できない子どもも多いのではないでしょうか。

本当は、絵や作品作りに時間は関係ありません。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は、いまだに未完成といわれています。
「いつも時間内に作品が完成できない」という子どもは、マイペースなのではなく「高い完成度を求めている」のです。時間内に終わらせることを優先すれば、作品の完成度は落ちます。
しかし、完成度は落としたくないというこだわりがあるからマイペースにみられるのです。

大切なことは、時間内に完成させることではなく、満足できる完成度まで描き続けることです。

おわりに

親が子どもに絵を習わせるときには、さまざまな心配があります。
しかし、絵を描くことは表現であり、正解も不正解もないのです。
必要なことは、子どもが表現した作品をまるごと受け入れることだけです。
子どもが自由に表現した作品を「常識」や「普通」というフィルターをかけずに受け入れてみてはいかがでしょうか。
それだけで今まで気にしていたことが小さなことに思えるかもしれません。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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