大人になってから絵を描くメリット5つ

大人になってから絵を描き始める人は意外とたくさんいます。
実は、絵には大人になったからこそ得られるメリットがあるのです。
今回は「今さら絵を始めても遅すぎる」と思っている大人に知ってほしい「大人になってから絵を描くメリット」をお伝えします。

自分の意志で始めるから続けられる

大人になってから何かを始める人は、「やりたい」という自分の意志をもっていることがほとんどです。
子どものころの習いごとは、親から勧められたり、必要に迫られて始めたりすることが多く、自分の意志は二の次になっています。

大人になってから絵を描く人は、自分の意志で始めるため長く続くのです。
画材も子どものころは親が買い与えてくれたかもしれません。
しかし大人になれば、自分のお金を使ってひとつひとつ買い集めることになります。
画材ひとつとっても、子どものころとは思い入れが全く違うのです。

絵を描いていると、描けない時期や超えなければならない壁にぶち当たることがあります。
円柱や四角柱のデッサンを楽しいとは思えないかもしれません。
しかし大人は「超えなければならない壁」があることを知っています。
「楽しくないことも必要だからやる」と思えることも、大人になってから絵を描くメリットかもしれません。

指導を理解する力がある

大人になってから絵を描き始める人は、独学で絵を学ぶよりも絵画教室やカルチャーセンターで習う方がいいのかもしれません。
なぜならば、独学は一人で継続する根気が必要だからです。
絵画教室やカルチャーセンターに行けば、同じ趣味をもった仲間ができます。
お互いの作品に刺激を受けるだけでなく、新たな友人の輪が広がり「絵を描き続ける目的」がさらに増えるからです。

また、大人は小さな子どもよりも言葉を理解する力があります。
絵の指導は、具体的になればなるほど理解力が必要です。

例えば球体をデッサンするとき「光の方向は上からだけではありません」と説明しても、小さな子どもが理解することは難しいでしょう。
大人ならば「下からの反射の光もあるということか」「ということは、この面も意外と明るいはず」と頭で考えながら手を動かすことができるのです。

スキルが向上すると作品も変わります。
指導を理解して自分の作品が着実に変化していくことに気が付くことができると「向上する楽しさ」も味わうことができるでしょう。

「自分」になれる時間ができる

大人になると「〇〇ちゃんのお母さん」「〇〇会社の人」というように「自分」ではない肩書がたくさんつきます。
肩書が増えれば増えるほど肩書を意識していまい、自分になれる時間は減っていくものです。

絵を描くことに肩書は関係ありません。
お母さんも取締役もおじいちゃんも「絵を描く人」という肩書だけです。

絵に集中すると、作品と自分だけの時間が流れます。
「自分になれる時間ができる」というメリットは、大人になったからこそわかるメリットではないでしょうか。

経済的な余裕がある

絵は鉛筆1本あれば描くことはできます。
しかし、鉛筆1本で満足できる作品を描くためには、それなりのスキルが必要です。
やはり最初は画材が豊富にあったほうが表現しやすいでしょう。

画材の価格帯は幅広いです。
色鉛筆ならば100円程度で買うこともできます。
しかし実際に使ってみると値段の差を感じます。

「何度塗っても色が濃くならない」「芯がすぐに折れてしまう」ということが続くと描く意欲がなくなってしまうのです。

やはり、発色がよく豊かな表現ができる画材はそれなりの値段がします。
大人は子どもや学生よりも経済的な余裕があることが多く、はじめから好きな画材をそろえられるメリットがあるのです。
スキルがあがれば、欲しくなる筆や絵の具の種類も増えます。
手持ちの画材が増えていく楽しさも大人ならではの楽しみではないでしょうか。

大人になったから表現できる世界がある

大人になってから絵を描く一番のメリットは表現できる世界が大きいということでしょう。
絵を描くことは自分を表現することです。5歳の子どもは、5年間の人生の中で感じた世界感を絵にします。

しかし50歳の大人ならば50年間の人生で感じたことすべてが表現の源になり、表現の幅はうんと広がっています。
さらに大人は、さまざまな視点からものごとを感じる力を持っています。

例えば「雨」というテーマならば、子どもは「長靴や傘」をイメージしますが、大人は「恵みの雨」「豪雨」のようにいい面からも悪い面からも深く考えることができるのです。

「表現できる世界が広い」ということは、それだけ描けることがあるということです。
「子どものころから絵はだめだった」という人でも、大人になった今だからこそ描ける絵があります。

おわりに

「大人になってから絵を始めるなんて」と思う人が多いのかもしれません。
しかし絵を始めることに早すぎる遅すぎるはありません。
むしろ人生経験豊富になった大人だから描ける絵があります。

また絵を描くことによってものの見方が変わります。
今まではナスをみても「食べるもの」としか思わなくても、絵を描くようになると「きれいな紫色」と感じるでしょう。
絵を描くことは、人生を彩り豊かにして自分らしく生きる方法のひとつです。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

関連記事

関連記事