有名な起業家が高額なアート作品を購入したというニュースを聞きます。
なぜ成功している起業家にはアートを愛する人が多いのでしょうか。
今回は、成功している起業家がアートを愛する理由を考えてみました。
目次
成功している起業家は感受性が鋭いから
同じ作品をみたとき、感動する人もいれば感動しない人もいます。
感動する人は、作品の前に立ったとき「感じよう」と心を開いているのでしょう。
そして、今までの自分の経験や感情と重ね合わせてアート作品を自分なりに受け入れるのです。
一方、感動しない人は作品の前に立つ前から「わからない」「関係ない」と心を閉じているのかもしれません。
アートを愛するためには、何かを感じなければなりません。
感じるためには感受性が必要です。
成功している起業家は、時代を先読みする「先見の明」があります。
先を読むためには感受性が鋭くなければなりません。
つまり、成功している起業家は感受性が強く、感受性を刺激するものに惹かれるのではないでしょうか。
アート作品は、人の感性をぶつけたものです。
今までの自分の経験や感情と重ね合わせたとき、ピタッと合致する作品と出会ったとすれば、それは感動的な出会いとなるでしょう。
並外れた感受性を持っているからこそ起業家として成功し、アートを愛することができるのです。
「共有」という感覚があるから
起業は会社を立ち上げることです。
立ち上げた会社は、起業家のものではなく株主や社員や顧客と共有します。
成功している起業家は、会社を立ち上げるときには全力をつくし、起業したあとは「自分のもの」ではなく「共有」に意識を切り替えています。
「優れたアート作品は人類の財産である」と聞いたことがあります。
たしかにアート作品は、大量生産できるものではなく、人間の感性や技術が集結した財産です。
アート作品を購入して話題となった起業家の前澤友作氏は「アート作品を購入することは、長い年月の一時期だけ預からせてもらうこと」という意味の発言をしていました。
まさに「共有」です。
「共有」という感覚がない人は、アートを愛することはできません。
昔、優れた絵画を買い集めたコレクターが「最後は自分の棺に入れて一緒に燃やしてほしい」と発言し大問題になったことがありました。
彼には「共有」という意識はなかったのでしょう。
「愛する」というよりも、アートを資産運用の手段として考えていたのではないでしょうか。
アートには起業と共通点がある
成功している起業家がアートを愛する一番の理由は共通点があるからではないでしょうか。
アートは、不安定な感覚や適当なバランスで描かれているように見えますが、実は1mmたりとも動かせない位置を探して描かれています。
マチスの絵も「あの青色」だからいいのであって、違う青色だったら印象がガラリと変わります。
モナ・リザの口の傾きも、あと1mm違えば「ほほえみ」ではなく「笑い」になってしまいます。
起業も同じです。
起業するタイミングが少しでもズレたら成功しなかったかもしれません。
売る商品が少しでも違ったら成功しなかったかもしれません。
アートも起業も1mmのくるいが許されない世界です。
成功している起業家は、優れたアート作品をみたときに自分と共通する「妥協していない魅力」を感じ取っているのかもしれません。
また、アートは自分のセンスだけを頼りにしてゼロから作品を生み出します。
起業も誰かのマネではなく、ゼロから立ち上げます。
ゼロから生みだすということは、今までになかった世界観の表現です。
常に新しいものにアンテナをはっている起業家にとって「自分とは違う世界観」のアート作品はとても魅力的でしょう。
アートには育てる楽しさがあるから
成功している起業家は、立ち上げた会社が軌道に乗ると経営から退き、新しい会社を立ち上げています。
起業は、子育てと似ています。親は、子どもが一人前になるまでは子どもの成長を楽しみながら子育てをします。
アートも起業や子育てと似ている部分があります。
アートの中には、まだ発掘されていない作品もたくさんあります。
埋もれたアート作品の中から、自分の目で可能性がある作品を見つけ出し、のちに価値が出てきたときには起業や子育てに通じた嬉しさがあるのではないでしょうか。
おわりに
起業家の前澤友作氏がアート作品を買い始めたきっかけについて話していました。
「真っ白い壁に一枚の絵を飾ったら、そこだけ空気が変わった」というような内容でした。
どんなにすばらしいアート作品でも、見る人の心が閉じていれば価値が生まれません。
成功している起業家は、自分の目の前にあるものや人に対して心を開き、鋭い感受性で受け入れているのでしょう。
ただ、心を開いて自分と重ね合わせて感じることは起業家でなくてもできます。
「アートを愛すること」は、アートに興味を持ち、心を開くことから始まります。
「私にはわからない」と思わずに、まずは心を開いてアートを感じてみてはいかがでしょうか。