「子どもの絵がなんだか変で気になる…」「習い事としては絵ってどうなの?ちゃんと続けられる?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
お子さんに絵を習わせてみたいと思っても、実際にはいろんな心配が頭をよぎるものです。特に絵は、他の習い事と違って“目に見える成果”が分かりにくかったり、個性が強く出たりするからこそ、不安になることも多いですよね。
この記事では、子どもの絵を見て「変なのでは?」と心配になってしまうお母さんの声や、「絵を習わせたいけど気になることがある」という保護者の方の“リアルな疑問”を、絵画教室を運営する立場からひとつずつ丁寧にお答えしていきます。
絵は、ただ上手に描ければいいというものではありません。
子どもの心の成長や表現力にとって、大きな意味を持つもの。
だからこそ、安心してはじめられるよう、この記事が少しでも背中を押せたらうれしいです。

目次
【お悩み1】うちの子、変な絵ばかり描いていて心配です…
→ 子どもの絵には“その子なりの理由”があります。大人の「普通」に当てはめすぎないで。
「猫のキャラクターを灰色で塗ってしまって…」「顔がなくて、首から足だけの不思議な絵を描くんです」
こうしたご相談、本当にたくさんいただきます。
でも、こうした“ちょっと変”に見える絵の多くには、実はとても自然な理由が隠れていることがほとんどです。
たとえば、灰色の猫を描いたお子さんは、そのキャラクターを知らなかっただけで、近所の飼い猫を思い出して描いただけだったんです。
また、頭から直接足が生えているような“頭足人”と呼ばれる絵は、2〜4歳くらいのお子さんには非常によくある表現です。身体の構造がまだ頭の中で整理されておらず、でも“人を描きたい”という強い気持ちが表れたものなんです。
大人の目には奇妙に映っても、子どもにとっては“そのときの精いっぱいの表現”。
むしろそこに、創造性の芽や、自分なりの世界観があらわれているかもしれません。
心配なときは「どうしてこう描いたの?」と、ぜひやさしく聞いてみてください。
すると、思いがけないストーリーや、子どもなりの視点が見えてくることが多いのです。
【お悩み2】絵画教室ってお金がかかりそうで不安です…
→ 始めるのに高額な道具はいりません。“感性”を育てることが何より大切なんです。
「絵を習わせると、画材代が高そう…」「将来進学したくなったら、美術大学って学費もかかるよね…」
こうした“将来の費用”まで想像して、不安になる保護者の方も少なくありません。
たしかに、本格的に専門の道へ進めばそれなりのコストがかかります。
ですが、小さなうちに絵を習い始める段階では、むしろ大切なのは「高価な道具」ではなく、「感じる力=感性」を育てることです。
おうちにある色鉛筆、100円ショップのスケッチブック、古いカタログの裏紙だって、立派な表現の舞台になります。
実際、駅に貼られたポスターや、絵本のイラスト、お菓子のパッケージなど、私たちの暮らしには“アート”がたくさん隠れていますよね。
特に「いいちこ」のポスターなどは、芸術性の高さで写真集にまでなった例。
こうした身近な作品からも、子どもたちはインスピレーションを受けています。
「お金をかけないと意味がない」と思わずに、まずは小さな表現から楽しませてあげてください。
子どもの感じる力が育てば、どんな紙や道具だって、すばらしい作品に変わるんです。

【お悩み3】「描けない!」とイライラする子でも、絵画教室に向いてる?
→ 実は“描きたい気持ち”がとても強い子なんです。表現方法が見つかれば変わります。
「思った通りに描けなくて、イライラして泣いてしまう…」
そんなお子さんを見て「絵の習い事には向いていないのかも」と感じてしまうこともありますよね。
でも、そのイライラは“表現したい気持ちが強い”証拠。
頭の中には描きたいイメージがあっても、まだそれを形にする方法がわからない。だからこそ、もどかしくて感情が爆発してしまうのです。
絵画教室では、ただ“描き方”を教えるのではなく、子どもが自分の表現スタイルを見つける手助けをします。
色鉛筆、絵の具、クレヨン、さらにはデジタルツールまで、表現の幅はどんどん広がっています。
「水彩だと気持ちよく描けた」「iPadでなら描くのが楽しい!」など、方法が変わるだけでお子さんの表情がガラッと明るくなることも。
イライラは「できない」ではなく、「やりたいけど、どうすればいいかわからない」というサインです。
その想いに寄り添ってくれる場所が、絵画教室なのです。
【お悩み4】マイペースすぎて、作品が完成しないんです…
→ 実は「納得いくまで描きたい」という“こだわり”の表れかもしれません。
「いつも途中で終わっちゃう」「時間内に終わらせられない」
そんなお悩みも、保護者の方からよく伺います。
でも、アートに“時間通り”の正解はありません。
子どもによっては、ひとつの部分にすごく時間をかけたい子もいます。
「この色がちょっと違うな」「もう少しだけ直したい」――そんな小さなこだわりが、実は集中力や創造性の源です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』が未完成だと言われているように、「終わらない」というのは、むしろ本気で作品に向き合っている証です。
学校の授業では45分という制限がありますが、絵画教室では自分のペースで作品に取り組むことができます。
「マイペースすぎる」のではなく、「表現を大切にしている」――そう考えて見守ってあげてください。
おわりに
親が子どもに絵を習わせるときには、さまざまな心配があります。
しかし、絵を描くことは表現であり、正解も不正解もないのです。
必要なことは、子どもが表現した作品をまるごと受け入れることだけです。
子どもが自由に表現した作品を「常識」や「普通」というフィルターをかけずに受け入れてみてはいかがでしょうか。
それだけで今まで気にしていたことが小さなことに思えるかもしれません。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。