「まるで写真のように見える色鉛筆画を描きたい!」と思ったことはありませんか? リアルすぎる色鉛筆画を描くためには、単に塗りつぶすだけではなく、色鉛筆の特性を理解し、緻密なテクニックを駆使する必要があります。
本記事では、色鉛筆画に適した色鉛筆の選び方から、リアルな描写を実現するための具体的なテクニック、初心者が挫折しないためのポイントまでを徹底解説します。

目次
色鉛筆画に使いたい色鉛筆の選び方
色鉛筆画は、ぬり絵とは違います。色をゴシゴシ塗って紙の目をつぶさないことがリアルすぎる色鉛筆画を描くコツです。
そのためには、発色がよく伸びがいい色鉛筆を選ぶことが大切です。
色鉛筆は、100円ショップでも売っていますが、安価な色鉛筆は発色が悪く芯が固い傾向があります。
発色が悪いと筆圧が強くなり、紙の目がつぶれます。
色鉛筆画には芯がやわらかく、発色がいいものを使いましょう。
発色がいいと、色がきれいにみえるだけでなく、色を混ぜやすくなります。
色鉛筆には水性と油性があります。リアルな色鉛筆画を描くなら、油性色鉛筆を選ぶのがおすすめです。
油性色鉛筆:発色が良く、色を重ねても紙が傷みにくいため、リアルな色鉛筆画に最適。
水性色鉛筆:水を含ませた筆でぼかすことで水彩のような表現ができるが、リアルな色鉛筆画にはあまり向かない。
水性は、色鉛筆で絵を描いた後に濡らした筆でなぞると色が溶けて水彩画のような表現をすることができます。
リアルな色鉛筆画を描くには、単色の塗りではなく、複数の色を重ねて混色することが必要です。
そのため、できるだけ多くの色が揃っている方が表現の幅が広がります。
色数が少ないと必要な色を混ぜて作らなければなりません。
色数が多いと求める色が出しやすくなります。
36色から48色あると幅広い色の選択肢があり、よりリアルな表現がしやすくなります。
色鉛筆画とぬり絵の違い
色鉛筆を使うときといえばぬり絵を塗るときぐらいという人も多いのではないでしょうか。
しかし、ぬり絵と色鉛筆画には明確な違いがあります。
項目 | ぬり絵 | 色鉛筆画 |
---|---|---|
目的 | きれいに塗る | 絵を描く |
色の使い方 | 1色で塗ることが多い | 複数の色を重ねる |
塗り方 | 均一に塗りつぶす | 線を重ねて描写する |
色鉛筆画とぬり絵の違いは、色鉛筆の使い方です。
色鉛筆画は色を塗るための道具ではなく、描くために使います。
一方のぬり絵は、色鉛筆は色を塗るために使います。
また、色鉛筆画はリアルさを出すために色鉛筆の色そのままを使うのではなく、複数の色を紙の上で重ねて混色します。
ぬり絵は、どちらかといえば「きれいに塗ること」が目的のため、色鉛筆画ほど色を混ぜることはありません。

初心者が挫折しないためのポイント
色鉛筆画は1色で面を塗りつぶすぬり絵とは違い、少しずつ少しずつ色を重ねて描き進めます。
そのため、制作時間も長くなり、途中でギブアップすることも多いようです。
ここからは、初心者が色鉛筆画をギブアップせずに描き上げるポイントをお話しします。
<モチーフは「光」を感じやすいものを選ぶ>
色鉛筆画は「カラーのデッサン」と言っても過言ではありません。
デッサンは、陰影を描くことでモチーフの存在を表現します。
それだけ「光」がリアルに描くポイントです。
例えば、金属、トマト、ガラスのコップなど、表面がツルンとした素材はハイライト(光の反射)がはっきりしており、立体感を表現しやすいです。
逆に、布や毛並みのある動物などは、光の反射が柔らかいため、初心者には難易度が高くなります。
描けば描くほどリアルな質感が出てくると、飽きるどころかどんどん楽しくなって描き進めることができるでしょう
<一気に描き上げようとしない>
ぬり絵に慣れていると、「次は足、その次は髪を塗っておしまい」というようにとんとん拍子に描き上げたくなります。
しかし色鉛筆画は、繊細な線を積み重ねることでさまざまな表現を生み出します。
例えば、同じ黒色でも一気に強い筆圧で出した黒色と弱い筆圧で幾重にも線を重ねた黒色とでは質感が違います。
色鉛筆画は、各工程を楽しみ全体のバランスをみながら描き進めることがリアルに描くコツです。
例えば、
- 強い筆圧で一気に塗ると、単調な色になり、紙が傷んでしまう。
- 弱い筆圧で何層にも色を重ねると、自然な色の深みや質感が出せる。
各工程をじっくり楽しみながら、全体のバランスを見つつ進めることが、リアルに描くコ
いろいろなテクニックを学びながらコツコツと楽しみながら描き進めましょう。
リアルすぎる色鉛筆画と普通の色鉛筆画の違いはココ
リアルすぎる色鉛筆画と普通の色鉛筆画の違いは、見た人が「色鉛筆で描いた」とわかるかどうかの違いです。
リアルすぎる色鉛筆画は、作品をみたときに「写真か絵か」と迷いますが、普通の色鉛筆画は「色鉛筆で描いた上手な絵」とすぐにわかります。
ふたつの違いは、色鉛筆の使い方にあります。
リアルすぎる色鉛筆画は、色鉛筆の色名をそのまま信じずに、自分の目でデッサンを描くときと同じ感覚で色を選んでいるのです。
例えば、アルミホイルを描くとき、
- 「銀色」の色鉛筆を使うのではなく、黒・白・灰色をベースに描く。
- 周囲の物が映り込んでいる様子を表現することで、光沢感を出す。
また、葉っぱを描くときも、
「緑色」だけを使うのではなく、黄・青・茶などを混ぜて自然な色を作る。
物の色に対する既成概念を捨てることがリアルすぎる色鉛筆画を描くために一番必要なことかもしれません。
おわりに
リアルすぎる色鉛筆画を描くために必要なことは「デッサン力」と「色鉛筆を使いこなす力」です。
デッサン力がつくと、モチーフの形を正確に描けるようになり、陰影も感じ取れるようになります。
そして、色鉛筆を「塗る」のではなく「描く」ように使えるようになると表現力がアップします。
周囲の物や風景をみたときに「私なら何色を使って描くかな」と考えてみるだけでも色鉛筆画の勉強になります。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。