成功している起業家がアートを愛する理由とは

有名な起業家が高額なアート作品を購入したというニュースを聞きます。
なぜ成功している起業家にはアートを愛する人が多いのでしょうか。

今回は、成功している起業家がアートを愛する理由を考えてみました。

成功している起業家は感受性が鋭い状態にある

有名な起業家が高額なアート作品を購入したというニュースを耳にしたことはありませんか?
スティーブ・ジョブズが愛したモダンアートや、イーロン・マスクが支持するデジタルアートなど、成功している起業家の中にはアートを愛する人が多いのです。なぜ彼らはアートに惹かれるのでしょうか?その理由の一つは、「感受性の鋭さ」にあるのかもしれません。

同じ絵画を見ても、感動する人とそうでない人がいます。感動する人は、作品の前に立ったときに心を開き、「何かを感じたい」という気持ちを持って向き合っています。そして、作品の色使いや形、テーマを自分自身の経験や感情と重ね合わせることで、特別な意味を見出すのです。

例えば、ある起業家がゴッホの「星月夜」を購入した背景には、夜空の中に感じた「孤独と希望」というテーマが、自らの起業初期の苦労と未来への夢と重なったからかもしれません。一方で、感動しない人は、「アートなんてわからない」と最初から心を閉ざしていることも多いのです。

成功している起業家は、社会を俯瞰し時代の流れや市場の変化を見通す「先見の明」の感度が高い状態です。未来を切り開くためには、目に見えない兆しを感じ取る力、つまり感受性が不可欠です。鋭い感受性を持つ彼らにとって、アート作品は単なる装飾品ではなく、自分の心を刺激し、インスピレーションを与えてくれる存在なのでしょう。

また、アート作品そのものも、アーティストが持つ感性を詰め込んだものです。たとえば、バスキアの絵画が持つ「反骨精神」や「社会への問いかけ」に共感し、購入を決断した起業家もいるといいます。こうした作品との出会いは、まるで自分の心の奥底に触れられるような感動的な体験となります。

並外れた感受性を持つからこそ、起業家として成功し、さらにその感受性を刺激するアートに惹かれる。成功とアートは、彼らにとって切っても切り離せない関係にあるのではないでしょうか。

「共有」という感覚があるから

起業は会社を立ち上げることです。
立ち上げた会社は、起業家のものではなく株主や社員や顧客と共有します。
会社を長く継続させる起業家は、会社を立ち上げるときには全力をつくし、起業したあとは「自分のもの」ではなく「共有」に意識を切り替えています。

「優れたアート作品は人類の財産である」と聞いたことがあります。
たしかにアート作品は、大量生産できるものではなく、人間の感性や技術が集結した財産です。
アート作品を購入して話題となった起業家の前澤友作氏は「アート作品を購入することは、長い年月の一時期だけ預からせてもらうこと」という意味の発言をしていました。
まさに「共有」です。

「共有」という感覚がない人は、アートを愛することはできません。
昔、優れた絵画を買い集めたコレクターが「最後は自分の棺に入れて一緒に燃やしてほしい」と発言し大問題になったことがありました。
彼には「共有」という意識はなかったのでしょう。
「愛する」というよりも、アートを資産運用の手段として考えていたのではないでしょうか。

アートには起業と共通点がある

成功している起業家がアートを愛する一番の理由は共通点があるからではないでしょうか。
アートは、不安定な感覚や適当なバランスで描かれているように見えますが、実は1mmたりとも動かせない位置を探して描かれています。

マチスの絵も「あの青色」だからいいのであって、違う青色だったら印象がガラリと変わります。
モナ・リザの口の傾きも、あと1mm違えば「ほほえみ」ではなく「笑い」になってしまいます。
起業も同じです。
起業するタイミングが少しでもズレたままであったなら成功しなかったかもしれません。
売る商品が、売る価格が、売る場所が、売るコンセプトが少しでも違ったら成功しなかったかもしれません。
アートも起業も1mmのくるいが許されない世界です。

成功している起業家は、優れたアート作品をみたときに自分と共通する「妥協していない魅力」を感じ取っているのかもしれません。

また、アートは自分のセンスだけを頼りにしてゼロから作品を生み出します。
起業も誰かのマネではなく、ゼロから立ち上げます。
ゼロから生みだすということは、今までになかった世界観の表現です。
※ここではありものを掛け合わせて新たな価値を想像することもゼロから生み出すとします。
常に新しいものにアンテナをはっている起業家にとって「自分とは違う世界観」のアート作品はとても魅力的でしょう。

アートには育てる楽しさがあるから

成功している起業家は、立ち上げた会社が軌道に乗ると経営から退き、新しい会社を立ち上げています。
起業は、子育てと似ています。親は、子どもが一人前になるまでは子どもの成長を楽しみながら子育てをします。
アートも起業や子育てと似ている部分があります。

アートの中には、まだ発掘されていない作品もたくさんあります。
埋もれたアート作品の中から、自分の目で可能性がある作品を見つけ出し、のちに価値が出てきたときには起業や子育てに通じた嬉しさがあるのではないでしょうか。

おわりに

起業家の前澤友作氏がアート作品を買い始めたきっかけについて話していました。
「真っ白い壁に一枚の絵を飾ったら、そこだけ空気が変わった」というような内容でした。
どんなにすばらしいアート作品でも、見る人の心が閉じていれば価値が生まれません。
成功している起業家は、自分の目の前にあるものや人に対して心を開き、鋭い感受性で受け入れているのでしょう。
ただ、心を開いて自分と重ね合わせて感じることは起業家でなくてもできます。
「アートを愛すること」は、アートに興味を持ち、心を開くことから始まります。
「私にはわからない」と思わずに、まずは心を開いてアートを感じてみてはいかがでしょうか。

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