絵画教室で絵を習うパターンは、大きく分けて3つあります。
1対1で向かい合う「マンツーマン」、学校のクラスのような「グループ」、ひとり一人のペースで進む「個別指導」の3つです。
3つのパターンには、メリットとデメリットがあります。
今回は、絵画教室選びのヒントになる「マンツーマン」「グループ」「個人指導」それぞれのメリットとデメリットを詳しくお話しします。
目次
マンツーマンで絵を習うメリットとデメリット
メリット:じっくりと習うことができる
マンツーマンは、先生一人に対して生徒一人です。
マンツーマンの絵画教室は少なく、オンラインレッスンが多いでしょう。
マンツーマンのメリットは、じっくりと習えることです。
聞きたいことや迷ったときにどのタイミングでも質問できることが一番のメリットでしょう。
大勢の中では質問ができない人や恥ずかしがり屋の人に適したパターンです。
また、先生も常にひとりの生徒をみているため、生徒のクセや傾向にいち早く気づくことができます。
デメリット:描き方の答えをすぐに求めるようになってしまう
マンツーマンのメリットである「すぐに質問ができること」がデメリットになることもあります。
マンツーマンでは、自分以外に生徒がいないため、どんな質問でもすぐに聞くことができます。
そのため、少しでも迷ったらすぐに先生に答えを求めるようになってしまうのです。
この傾向は、子どもが通う塾でもよく見られることです。
先生がつきっきりで教えるため、子どもは自分で解き方を考えようとせず、すぐに先生から答えを聞き出そうとするのです。
マンツーマンで絵を習うときには、自分に厳しくする心意気が大切です。
グループで絵を習うメリットとデメリット
メリット:ライバルが多く競争心が生まれる
グループは、学校の授業のように一人の先生が複数人を指導するパターンです。
みんな同じ課題に取り組み、最後は作品を並べて講評します。
絵画教室では10人程度までを一クラスとしていることが多いでしょう。
グループのメリットは、自分以外の作品を見られることです。
自分よりも素晴らしい作品があれば、見て描き方を学ぶことができます。
自分と似た実力の人がいれば競争心が芽生えて、よきライバルになるでしょう。
グループのメリットは、互いに刺激しあって成長できることです。
デメリット:受け身になってしまうと大勢の中のひとりになってしまう
グループのデメリットは、自分から動かなければならないことです。
先生はひとりで大勢を見るため、どうしてもマンツーマンと比べれば1対1の指導の量は減ります。
先生は順番に作品を見回って気になることをアドバイスしますが、より積極的に質問する生徒にとどまる時間は長くなります。
「待っていれば先生は来てくれる」という受け身になってしまうと、待っている時間ばかりが長くなってしまいます。
グループの中でしっかりと絵を学ぶためには、自分の目で見て、声を出して動くことが大切です。
個別指導で絵を習うメリット
・メリット:マンツーマンとグループの両方のメリットがある
個別指導とマンツーマンは違います。マンツーマンは先生一人に対して生徒一人ですが、個別指導は先生一人に対して3人から5人の生徒がつきます。
グループとの違いは、取り組む課題や進捗スピードがひとり一人違うことです。
同じ教室で学んでいても、やっていることはひとり一人違います。
個別指導には、マンツーマンのじっくりと自分のペースで学べるメリットとグループの互いに刺激しあうメリットの両方があります。
個別指導は、ひとり一人違うことをやってはいますが、周囲の存在を感じることができます。
自分よりも精力的に描いている人がいればライバル心が出てくることもあるでしょう。
また、先生を独占できないため「すぐに先生に答えを求める」という悪い習慣がつきにくいメリットがあります。
自分なりに描き方や表現方法を模索することで、着実に力を蓄えることができます。
デメリット:先生や講師との相性によって満足度が変わることがある
個別指導では自分がやりたいテーマや画材を使って制作します。
自分がやりたいことと先生の専門があっていないと「求めている指導が得られない」と感じることもあります。
そんなときには、我慢して続けるのではなく、自分が求める指導を受けられるクラスに変更するといいでしょう。
イラストの指導を受けたいのならばイラストレーターが先生になっているクラス、デッサンの指導を受けたいのならば油絵や日本画を専門にしている先生のクラスに変更すればいいのです。
どのクラスがいいのかわからないときには、絵画教室に相談してみましょう。
個別指導は、ひとり一人違ったペースで進んでいるため、年の途中でクラスを変えても問題がありません。
個別指導のデメリットを解消するためには、複数のクラスを持っている絵画教室を選ぶことが大切です。
そして「何を自分は学びたいのか」を自分に問いかけることです。
おわりに
絵を習うパターンはコロナ禍をきっかけに増えています。
オンラインレッスンは、絵画教室に通えない人たちにも学ぶきっかけを与えています。
マンツーマン、グループ、個別指導それぞれにメリットとデメリットがあります。
自分の性格に合ったパターンはどれなのかを考え、一番適した方法で絵を習ってみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。