近年、創造力や感性を育てる「アートセンス」が注目されています。アートに親しむことは、単なる趣味以上に、問題解決能力や発想力を高める一助にもなります。特に、子どもたちが幼少期からアートを身近に感じることで、創造力を育む機会を得られるでしょう。
でも、「どこから始めたらいいの?」と戸惑う親御さんも多いのではないでしょうか?今回は、特別な準備や知識がなくても、簡単に始められる「子どもとアートの距離を近づける方法」を5つ紹介します。
目次
美術や図工の教科書を親子でみる
子どもが日常的に触れる教科書は、実は優れたアートの資料です。特に、美術や図工の教科書には、油絵、彫刻、現代美術など、幅広いジャンルの名作が網羅されています。高価な美術館の図録を買う必要はなく、まずは手元の教科書をアート鑑賞の入り口として活用しましょう。
具体的な活用法:
- 親子で教科書をめくりながら感想を言い合う。 「この絵、何を描いているんだろう?」と問いかけたり、「色が鮮やかで気持ちが明るくなるね」と親の感想を伝えるだけで、子どもの想像力が膨らみます。
- 特定のテーマを見つけて楽しむ。 例えば、「動物が登場する作品」や「青が多く使われている絵」など、視点を絞ることで新たな発見があるかもしれません。
教科書は、教科内容に沿った解説もついているため、作品の背景を知ることもできます。「これってどういう意味?」と興味を持つきっかけになるでしょう。
屋外型の美術館に行ってみる
美術館というと静かで緊張感のある場所というイメージがあるかもしれません。特に、小さな子どもと一緒に行くのはハードルが高く感じられます。そんなときは、屋外展示が充実している美術館がおすすめです。
おすすめスポット:
- 箱根 彫刻の森美術館(神奈川県)
広大な敷地に数多くの彫刻が展示されており、子どもが自由に歩き回れます。インタラクティブな作品も多く、触ったり登ったりできるものもあるため、アートを五感で楽しめます。 - 美ヶ原高原美術館(長野県)
標高2000mの高原にある野外美術館。雄大な自然とアートの融合を体感できるスポットです。「サモトラケのニケ」の模刻は迫力満点で、親子で思わず息をのむでしょう。
屋外美術館の良いところは、大空の下でのびのびとアートを楽しめる点です。自然環境の中で見る作品は、屋内とは異なる新鮮な感動を与えてくれます。
ミュージアムショップでおみやげを買う
アートセンスを磨くためには、いい作品と触れ合うことが大切です。
アートは絵や彫刻だけではありません。
日用品や文房具やおもちゃの中にも優れたアート作品があります。
ミュージアムショップには、優れた作品でありながらも手軽に購入できるものがあります。
量販店や文具店よりは高い値段ですが、センスあるおみやげがみつかるでしょう。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の公式オンラインショップには、アートセンス抜群のおもちゃやインテリアグッズがあります。
ゴッホの名作「星月夜」をレゴブロックで作るセットや草間彌生「パンプキン」をモチーフにしたがま口など遊んだり使ったりできるアート作品が人気です。
ワークショップに参加してみる
ショッピングモールや百貨店では、週末に家族向けのアートワークショップがよく開催されています。これらは、気軽に参加できるうえ、子どもの創作意欲を引き出す絶好の機会です。
探し方と楽しみ方:
- 地域のイベント情報をチェック。 夏休みや休日には、短時間で完成する簡単なアート作品の制作イベントが増えます。特に夏休みの宿題をテーマにしたワークショップは、親子で楽しみながら宿題も進められると大人気です。
- アトリエや教室の催事を利用。 ローカルなアトリエや教室が主催するワークショップでは、専門の先生と出会えるチャンスもあります。気が合えば、定期的に通うきっかけになるかもしれません。
アートを通じて親子のコミュニケーションが深まるのも魅力の一つです。
絵画教室やアトリエの体験レッスンを受けてみる
本物のアートセンスは、親だけの力では限界があります。
やはりプロと接することでアートセンスは磨かれます。
子ども自身がアートに興味を持ち始めたら、最寄りの絵画教室やアトリエの体験レッスンを受けてみるといいでしょう。
体験レッスンは、実際のレッスンに混ざって体験するため生徒や教室の雰囲気などホームページではわからなかったことを知ることができます。
絵画教室やアトリエに通うと、定期的にアートと接する機会が生まれます。
アート接する機会が増えれば増えるほどアートが日常になり、自然とセンスは磨かれるのです。
おわりに
アートセンスは、単におしゃれなセンスではありません。
アートセンスは、数字やデータからでは生み出せない全く違った発想をするために必要なセンスです。
そのため世界では「すでに成功している」といわれる人たちが新たにアートを学び始めています。
これからの時代を生き抜くためにも子どもと一緒にアートセンスを磨いてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。