夏休みには宿題がつきものです。
小学生の夏休みの宿題の定番といえば「絵」です。
せっかく絵を描くならば、コンクールに出品して受賞を狙いたいものです。
受賞の経験は、子どもの自己肯定感を高めます。
しかし、受賞を狙えば狙うほど「どんな絵を描けばいいの? 」と悩みます。
今回は、夏休みの宿題におすすめの絵のテーマと困ったときの解決方法をお話しします。
目次
夏休みの宿題におすすめの絵のテーマ
絵のテーマ選びは大切なポイントです。
せっかく上手に描けても絵のテーマやサイズに合うコンクールがなければ出品ができません。
まずは、夏休み明けのコンクールに多いテーマの中から「描きやすいテーマ」を紹介します。
<内容で勝負できる「夏休みの思い出」>
夏休みの思い出は、昔からの王道テーマです。
「夏休みの思い出」というテーマが多い理由は、子どもの感動を表現しやすいからではないでしょうか。
大人は「テーマパークに行った思い出」「海に行った思い出」のように「THEおでかけ」をイメージしますが、求められていることは子どもの心に響いた思い出です。
コンクールの審査員は、テーマパークでキャラクターと一緒に並んでいる写真のような絵や大きな車と海が描かれたリッチな絵は求めていません。
例えば「暑い日に食べたアイスクリームのおいしさ」「新しい扇風機を買ったうれしさ」のように日常の中にある心の動きを絵にしてほしいのです。
<コンクールテーマに多い「未来の町や世界」>
夏休み明けのコンクールで多いテーマが「未来の町」や「10年後の世界」です。
つまり、子どもたちの想像力で描けるテーマです。想像力で描くテーマは、低学年のほうが得意かもしれません。
高学年になると知識量が多くなり「未来の町」を現実的に予測できるからです。
知識や先入観のない子どもは、ありえない世界や意味のない世界でも恥ずかしがることなく絵にすることができます。
筆者の子どもは「未来の地球」というテーマで入賞したことがあります。
内容は、地球人が宇宙船に乗ってリンゴを宇宙人におすそわけに行く絵です。
大人からみれば「わざわざ宇宙船でリンゴを渡しに行くか!?」と思いますが、子どもは未来の地球は「宇宙人も地球人も仲良くしている」と考えたのです。
おつきあいの方法として「リンゴのおすそわけ」を選んだことが、子どもの日常を垣間見せています。
よい想像画を描かせるポイントは、大人の考えを先に伝えないことです。
子どもは大人よりも柔軟で自由な発想をもっています。
<おでかけゼロでも大丈夫「夏の生き物」>
夏休みでも仕事が忙しかったり、塾が忙しかったりして、どこにも出かけられないこともあります。
「絵に描くことがない」と思ったときには、夏の生き物を描いてみましょう。
カブトムシやクワガタのような定番の生き物だけでなく、アリやダンゴムシだって絵になります。
ポイントは描き方です。「アリやダンゴムシは小さくて絵にならない」と思うならば大きく描けばいいのです。
「色が地味」と思うならばカラフルなアリやダンゴムシを描けばいいのです。
頭をやわらかくして柔軟な発想に切り替えるだけで絵はいくらでも華やかに魅力的になります。
アリもダンゴムシもみつからなければ動画をみて描いてもかまいません。
動画でみた感動を絵にすればいいのです。
ポイントは、完成した絵の動画ではなく、動いている生き物の動画をみることです。
「足の動きがすごい」「キラキラした目がきれい」のように子どもが自分の感動ポイントをみつけることが大切です。
困ったときには絵画教室のイベントや体験がおすすめ
夏休みの宿題は親にとっても負担が大きいです。
困ったときにおすすめの解決方法は絵画教室のイベントや体験です。
絵画教室では、夏休み中にワンデイ体験を実施しているところがたくさんあります。
3時間ほどの体験で夏休みの宿題で提出できる絵を1枚仕上げます。
学校からの課題文を持参すれば、テーマや課題にあった絵になるように先生が指導します。
事前予約制がほとんどですぐに満席になります。
予約は早めにしておくことをおすすめします。
ワンデイ体験ができる絵画教室がちかくになければ、体験入学で制作した作品を宿題として提出してみてはいかがでしょうか。
うちわに絵を描いたり、粘土工作をしたり、絵が苦手な子どもでも楽しく作れる課題が用意されています。
夏休みに体験入学した思い出は、夏休みの思い出として長く心に残ります。
ここ数年、夏休みの宿題を代行制作するサービスが問題になっています。
忙しい子どもたちに代わって作品を制作するサービスです。
代行制作で提出した作品がコンクールで受賞したとしても子どものためにはなりません。
生まれるものは自己肯定感ではなく罪悪感です。
夏休みの宿題の絵が描けないときには、ぜひ最寄りの絵画教室をのぞいてみてください。
おわりに
筆者の子どもは、夏休みに梨を食べたことを絵に描いて入賞したことがあります。
特別な経験を描いたのではありません。
ただ、絵には事実よりも感動が大きく描かれていました。
人間の顔よりも大きい梨、梨よりも大きい手が画面の半分を占め、梨のうしろには口を開けて笑っている顔がのぞいていました。
夏休みの絵は夏休みの思い出を描きますが、受賞した経験は一生の思い出になります。
今年の夏休みは子どもが心から感動できる体験を絵にしてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。