「学校で図工や美術の授業があるのに、わざわざ絵画教室に通わせる必要はあるのか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、学校の図工や美術の授業と絵画教室の違いを説明し、絵画教室に通うメリットをお話しします。
目次
学校も絵画教室も教育目標は同じ
学校の図工や美術の授業は、表現することや作ることの楽しさを知り、感性を育み、豊かな生活を創造する力と情操を育むことを目標としています。
情操とは、美しいものをみたときに美しいと感じられる心です。
絵画教室の目標も同じです。
絵画教室の目標は、実は「絵の上達」ではありません。
絵の上達は結果であり、目標は絵を描く楽しさを知り、作ることのすばらしさを知ることです。
自分が作品を制作すると、他の人の作品を見る目が変わります。
より深く鑑賞することで情操が育ちます。
そして想像する楽しさや制作を続けることで、感性や創造する力が育まれるのです。
つまり、学校も絵画教室も目指すところは同じです。
学校の図工や美術の授業と絵画教室の違い
学校も絵画教室も目標は同じですが、中身は違います。
ここからは、学校の授業と絵画教室の中身の違いをお話しします。
<学校の図工や美術は多くの科目の中のひとつ>
学校と絵画教室の一番の違いは、科目の位置づけです。
学校では、図工や美術は数ある科目の中のひとつです。
絵画教室は、図工や美術がすべてです。
当たり前のことですが、これはとても大きな違いです。
学校は、さまざまな科目を通して総合的に教育をします。
図工や美術は国語や算数よりも授業時間は少なく、浅く広く学ぶことになります。
一方、絵画教室は作品制作に特化しているため、ピンポイントで深く学ぶことができます。
学校の授業のメリットは、浅く幅広く学ぶことができるため、多くのジャンルに接することができます。
彫刻や版画、絵画やデザインなど知らなかった美術に出会うチャンスが学校の授業にはあります。
絵画教室のメリットは、学校よりも専門的に深く学べることです。
学校も絵画教室も目指す目標は絵を描く楽しさや作品を生み出すすばらしさを知ることです。
やりたいことや好きなことに集中できる環境は絵画教室にあります。
<絵画教室は制作に特化して「好き」を育てる>
学校の授業は、国語や算数だけでなく道徳や体育まで幅広い科目があります。
たくさんの科目を学びながら子どもたちは自分の好きなことをみつけます。
つまり、学校は子どもたちにさまざまなことを教える場所というだけではなく、子ども自身が自分の好きなことをみつける場所でもあるのではないでしょうか。
小中学校では、必修で多くのことを学びます。高校になれば選択科目が増え、大学になれば専門課程で学ぶことになります。
小中学校の図工や美術の授業は、感性を育みつつ「好きかどうかの確認」をする時間なのかもしれません。
絵画教室は制作に特化しています。
「好きかどうかの確認」というよりも「好きだからもっとやる場所」です。
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、まさに「好き」をどんどん育てる場所が絵画教室です。
<絵画教室は「絵が好きな子」が集まるから熱量が違う>
小学校の図工の時間は、みんな生き生きしています。
しかし中学校の美術の時間になると、すでに好き嫌いが分かれてしまい「美術の授業は億劫」という子もみかけます。
体育が得意な子もいれば数学が得意な子もいる場所が学校です。
美術が嫌いな子もいます。
ただ「嫌い」と思いながら制作している空間は全体のテンションが下がります。
美術が好きな子は、もっと集中できる環境が欲しいと思うかもしれません。
絵画教室は「絵が好きな子」が集まります。
筆者の子どもは、けして絵が上手い方ではありませんでしたが、それでも描くことが大好きで気持ちだけはフル充電で毎週通っていました。
「絵画教室に通う子どもはみんな絵が上手いのだろう」と思われがちですが、けしてそんなことはありません。
はじめから美大を目指せるほど上手い子はめったにいません。
絵が上手い子は、絵に対する思いが強く、徐々に絵が上手い子になるのです。
絵画教室の空間は熱量が違います。
限られた時間の中で精いっぱい制作し、レッスン時間が過ぎても1分を惜しんで制作を続ける子がたくさんいます。
絵画教室の「絵が好き」「もっとうまくなりたい」という雰囲気がお互いを刺激し、絵を向上させるのです。
<絵画教室は個性や目標にカリキュラムを合わせられる>
学校はクラス全員が同じカリキュラムで学びます。
全員が同じカリキュラムで学ぶことは、競争心が強い子にとってはいいのですが、ゆっくり自分のペースで学びたい子や目標が定まっている子には無理が出てしまうことがあります。
絵画教室は、同じ教室で学んでいてもひとり一人の個性や目標に応じてカリキュラムや指導のスピードを合わせることができます。
ひとり一人の「持ち味」を先生が見つけ出し、できないことをできるようにするのではなく、できることをさらに伸ばすことで「作る楽しさ」「自己肯定感」を育てます。
筆者の子どもは、絵画教室に長く通ったことで「運動は苦手だけど絵は人一倍描いてきた」という自信をもつことができました。
おわりに
「学校で図工や美術の授業があるのに、わざわざ絵画教室に通わせる必要はあるのか」という質問の答えは子どもによって異なります。
学校の図工や美術の授業は「私は美術が好きかも」と気がつくきっかけになります。
もしも「美術が好き」「もの作りが好き」と子どもが感じたのならば、絵画教室に通わせる意義はあるのではないでしょうか。
学校の授業は、生きるための基盤を作ります。
絵画教室は「好き」を伸ばして生きるために必要な自己肯定感を育てます。