新しい日常が始まり、習い事でも積極的にオンラインが導入されています。
とはいっても、「小さな子どもが画面を通じて学ぶことができるのだろうか」と心配している人も多いのではないでしょうか。
今回は、子どもがオンラインで絵を習うメリットを4つ紹介します。
大人がオンラインで絵を習う場合はこちらをご覧ください。
目次
居心地のいい空間でリラックスして絵を描ける
絵を描くということは、自分の内面を紙の上にアウトプットすることです。
自分の内面を目に見えるかたちにすることは、大人にとっても緊張することではないでしょうか。
とくに子どもは、慣れない場所では身も心も固くなります。
頭の中では素晴らしいアイデアがひらめいていても、絵に表現する余裕はなく、あっという間に時間だけが過ぎてしまうのです。
そんなことを何度か繰り返しているうちに「私は絵が描けない」と思いこんでしまい、絵に対する自信をなくしてしまうこともあります。
オンラインで絵を習うときには、自宅がアトリエになります。
子どもが一番リラックスできる空間で絵を習うことで、はじめから手が動きやすくなるのです。
心がリラックスしていると、アイデアも出やすくなります。
アイデアを出すことに慣れてくると、多少環境が変わったとしても「私は描ける」という自信によって、どこでも絵が描けるようになるでしょう。
周囲を意識せず集中することができる
アトリエで絵を習う子どもたちは、たくさんの人たちに囲まれながら絵を描きます。
子どもの性格によっては、周囲の子どもが気になってしまい絵に集中できないこともあります。
また、小学生になれば周囲と自分とを比べるようになります。
とくにデッサンは、みんなで同じモチーフを描くため、描くスピードやスキルの差がはっきりとわかるでしょう。
周囲のスピードが速ければ、追い上げるために雑に描いてしまったり、あきらめてしまったりすることもあります。
また、アトリエでは描く時間に制限があります。
レッスン時間が終われば「まだ描きたい」と思っても、一度片づけて帰宅しなければなりません。
オンラインならば、オンラインレッスンが終わっても、自宅で引き続き絵を描き続けることができます。
「やりたい」を好きなだけやらせてあげられることもオンラインの大きなメリットです。
ただ、通学によるアトリエでの受講はライバル意識が生まれるメリットもあります。
「あの子みたいにうまくなりたい」と前向きに刺激を受ける子どもの場合は、グループレッスンも検討してみるといいのではないでしょうか。
重たい道具を持って移動する必要がない
絵を描くためには、たくさんの道具が必要です。
「家で続きを描きたい」と思えば、道具を持ち帰らなければなりません。
暑い夏は、移動だけで疲れてしまいます。
雨が降っていれば傘をさしながら道具を運ばなければなりません。
とくに小さな子どもにとってスケッチブックを運ぶことは大変な作業です。
スケッチブックは、前と後ろに長く、周囲の人に気をつけながら歩かなければなりません。
風が強い日はスケッチブックがあおられる可能性もあります。
オンラインは、重たい道具を持って移動する必要がありません。
忘れ物を心配する必要もありません。
また、子どもの中にはにおいに敏感な子もいます。
絵を描く道具の中にはにおいが強いものもあるため、自分の好きな道具だけに囲まれて絵を描けることもオンラインのメリットでしょう。
親の送迎の必要がない
小さな子どもが通学による受講をするときには、親の送迎が必要なこともあります。
親にとって習い事の送迎は、意外と負担が大きいのではないでしょうか。
車があればいいのですが、徒歩や電車の場合は「一度帰宅する時間はないけれど、アトリエで待っているのは長すぎる」という中途半端な時間になります。
「コーヒーショップで時間をつぶそう」「ちょっと買い物でもして待つ」ということが続けば、意外と大きな出費になります。
オンラインは、自宅がアトリエになるため送迎は必要ありません。
子どもが絵を習っている間は、親は親で子どもの様子をみつつ、自分の時間を過ごすことができます。
とくに乳児がいる家庭では急な発熱も多く、送迎が難しくなることもあります。
送迎がいらないオンラインのメリットは大きいのではないでしょうか。
また、オンラインは自宅外の場所でも受講可能です。
実家に帰省中でも休むことなく絵を学び続けることができます。
おわりに
子どもがオンラインで絵を習う一番のメリットは、リラックスしつつ適度な緊張感が味わえることです。
一方通行の動画では、子どもは飽きてしまいます。
「画面の向こう側に自分をみている講師がいる」と感じられることで適度な緊張感が生まれるのです。
「近くに絵を習えるところがない」「通わせたいけど送迎ができない」という理由で絵をあきらめていたのではもったいないです。
オンラインを活用して、ぜひ子どもたちの可能性と感性を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。