初心者向け:目的別「大人の絵の習い事」完全ガイド

大人になってから絵を始めたいけれど、「どこから手をつけたらいいのかわからない」「自分に合った絵の習い事を知りたい」という人も多いのではないでしょうか?

実は、大人向けの絵の習い事にはさまざまな種類があり、目的に応じて選ぶことができます。自分にぴったりの習い事を見つけることで、無理なく楽しく絵を続けることができるでしょう。

今回は、「どんな目的で絵を習いたいのか?」という視点から、初心者向けに詳しく解説します。

絵の基礎をしっかり学びたいなら「デッサン教室」

「絵がうまくなりたい」「何から始めればいいかわからない」そんな人におすすめなのがデッサン教室です。

デッサン教室の特徴

  • デッサンとは、モノの形や陰影を正確に捉える技術のこと。
  • 「観察力」が鍛えられ、どんなジャンルの絵にも応用が利く。
  • 鉛筆と紙だけで始められるので、初心者でも取り組みやすい。

どんなことを学ぶの?

  • 基本的な線の引き方、形のとり方
  • 立体感を表現するための陰影のつけ方
  • ものの質感を描き分ける方法

デッサン力がつけば、油絵や水彩画、マンガ・イラストなど、どんな絵を描くときにも役立ちます。「とにかく絵の基礎をしっかり学びたい!」という方に最適です。

デッサン教室では、さまざまな形や質感のデッサンを描くことで、形をとらえる力や表現力を磨きます。
デッサン力がつけば、マンガやイラストも上手になります。
また、デッサンは白黒で色を表現するため、繊細な色の表現力が必要な日本画や水彩画の力もつけることができるでしょう。

絵を習いたいけれど何から始めたらいいのかわからない人にもデッサン教室はおすすめです。

気軽にイラストやマンガを描きたいなら「マンガ・イラスト教室」

メモや袋にサッとイラストが描ける人をみると「素敵だな」と思うことがあります。
筆者は、美大卒ですがイラストは苦手です。
イラストは、いわゆる絵とは違い、描く対象の特徴をクローズアップさせて魅力的に描きます。
イラストの需要はたくさんあります。
例えば、飲食店のポップや黒板に描くチョークアートです。
また、日常生活の中でもイラストを添えることで言葉以上に気持ちが伝わることもあります。

「サッとイラストが描きたい」というならば、マンガ・イラスト教室で実用的な描き方を習うといいのではないでしょうか。

マンガ・イラスト教室の特徴

  • 描きたいものの特徴を捉えてデフォルメする技術を学べる。
  • 実用的なイラスト(POP、黒板アート、日常メモなど)にも応用できる。
  • デジタルイラストの基本操作も学べる教室が増えている。

どんなことを学ぶの?

  • キャラクターの描き方(顔のバランス、表情、動き)
  • 魅力的な構図の作り方
  • ペンやデジタルツールの使い方

特に最近は、マンガ制作ソフト「クリップスタジオ」やイラスト制作ツール「Photoshop」「Illustrator」を使ったデジタルイラストが人気です。

絵を仕事にしたいなら「似顔絵教室」や「デジタルイラスト教室」

絵で稼ぎたいならば、売れる作品を描く必要があります。
売れる作品とは、売る市場があるということです。

似顔絵ならば、ウェディングボードや記念日のプレゼントの需要が多くあります。
「私だから描ける似顔絵」という作風をもつことが稼ぐコツです。

また最近は、デジタルイラストを作成してデータで販売する方法もあります。
SNSアイコンやサムネイルなど、デジタルイラストの需要は右肩上がりに増えています。
デジタルイラストを使って「稼ぎたい」と思うならば、絵の技量だけでなくファイル形式の基礎知識も必要です。
正しい知識とセキュリティを学ぶためにも独学ではなく、教室に通うことをおすすめします。

「日常に絵を取り入れたい」あなたは「墨絵・色鉛筆画教室」

日常に絵を取り入れて「絵がある生活」をしたいならば、墨絵や色鉛筆画教室がおすすめです。
どちらも大きな道具や広い場所は必要なく、ダイニングテーブルで描くことができます。
墨絵は、はがき描けば絵手紙になり、ふすまに描けば襖絵になります。
色鉛筆画は、写真と見間違えるくらい完成度が高いものもあり、今話題のアートです。

墨絵も色鉛筆画も大人になってから始める人が多いです。
絵を描いたことがない人、絵が苦手な人でも少ない画材から始められるジャンルです。

「描くより作りたい」あなたは「ちぎり絵・貼り絵教室」

絵の具と筆で描くよりも「絵を作りたい」というならば、ちぎり絵や貼り絵教室がおすすめです。
ちぎり絵とは、和紙などを手でちぎって台紙に貼り付ける絵です。
色が淡い和紙を幾重にも重ねて日本画のような作品を作ることもできます。

貼り絵は、コラージュともいいます。
なにかを台紙に貼り付けて絵を作ります。
ちぎり絵も貼り絵の一部です。

絵本「はらぺこあおむし」のエリック・カール氏や絵本作家のいもとようこ氏の作品は貼り絵で作られているものが多いです。

ちぎり絵や貼り絵は、色の重ね方や使う紙によって作品の雰囲気がガラッと変わります。
教室に通うことで、たくさんの作品をみて学ぶことができます。

まだ目的がわからないあなたは「社会人・大人向け絵画教室」

「とにかく絵を始めたいけれど、何を描きたいかわからない…」という人は、大人向けの絵画教室を選ぶと良いでしょう。

大人向け絵画教室の特徴

  • デッサン、水彩画、油絵、デジタル画など幅広く学べる。
  • 画材のレンタルがある教室なら、いろいろ試せる。
  • 初心者でも基礎から丁寧に教えてもらえる。

「何を描くか迷っている」という方にぴったりです。
絵の基本であるデッサンから始まり、水彩画や油絵、デジタル画などさまざまなジャンルに触れながら、好きな描き方をみつけることができます。

広くジャンルを扱っている教室の場合は、画材のレンタルをしていることが多く、お金をかけずにたくさんの絵に挑戦することができます。

おわりに

カルチャーセンターの習い事は「花を貼り絵で描いてみよう」や「初心者のボタニカルアート」など目的がピンポイントです。
「まだ何が描きたいのかわからない」「絵を描いたことがない」という人にはハードルが高く感じるかもしれません。

絵画教室の大人や社会人向けのクラスは、初心者から上級者まで幅広い生徒が多く、ひとり一人のペースで楽しみながら習うことができます。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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