引っ込み思案な子どもほどセンスあり! 引っ込み思案な子に絵をすすめる3つの理由と適した絵画教室の選び方

「大勢の人の前に出ると口を堅く閉ざしてしまう子」や「自分の意見を堂々と言えない子」は、親の目からはもどかしく見えます。
つい「もっと自己主張しなさい」「自分の意見はないの? 」と強い言葉をかけてしまうこともあります。
しかし、いわゆる引っ込み思案な子には、引っ込み思案だからこそ持っている力があります。

今回は、引っ込み思案な子に絵をすすめる理由と力を伸ばせる絵画教室の選び方をお話しします。

引っ込み思案とは

一般的に引っ込み思案とは「もっと積極的に人前に出たいけれど、それができない性格」や
「おとなしくて言いたいことも言えない性格」というように「できない」というマイナス面が強い印象です。
引っ込み思案が強くなると「欲求不満や自己肯定感の低下」や「周囲からの評価が低くなりがち」というデメリットも多く、親は心配になります。

しかし、見方を変えれば「小さな勝ち負けにこだわらず自分のペースで考えられる性格」であり
「言葉に出す前にじっくりと考える性格」とも言えます。

本人が自分の性格について「このままでは嫌だ」と思っていなければ、
周囲や親が思っているよりも引っ込み思案のデメリットは小さいのではないでしょうか。
むしろ親が「もっと自己主張をしなさい」と無理に性格をなおそうとしたり
「あなたは引っ込み思案だ」と決めつけたりすることの方が自己肯定感を低くしてしまうでしょう。

引っ込み思案とは、過剰になったり自分自身が気にしたりしなければ
「じっくりと考えることができる」クリエイティブなセンスのある性格です。

引っ込み思案な子に絵をすすめる3つの理由

引っ込み思案な子には、自分の内側でじっくりと考える力があります。
ただ、それを言葉にして人前で表現することが苦手なのです。

ここからは、引っ込み思案な子の長所に注目して、絵をすすめる理由を3つ紹介します。

<観察力があるから>

引っ込み思案な子は言葉数が少ないため「考えていない」と見られがちです。
一方、素早く発言をする子は思考が速いように見られますが、
空気が読めないくらいに自己主張ができる子は、考えるより先に言葉が出ているだけかもしれません。
引っ込み思案な子は発言をする前に自分の頭の中でじっくりと観察して深く考えているのです。
そして「他人よりも速く発言をするぞ」という負けん気をおこすことなく、
自分のペースで周囲を観察する力があります。

絵を描いたりものを作ったりするクリエイティブなセンスに観察力は欠かせません。

<大切なことの取捨選択ができるから>

引っ込み思案な子には、考える時間を十分に与えて、落ち着いて発言できる機会を与えましょう。
負けん気の強い子や自己主張が強い子の中で発言を求めても、
引っ込み思案な子の「良さ」を感じることは難しいでしょう。

落ち着いた環境の中で意見を聞いてみると、引っ込み思案な子は大切なことを取捨選択して発言します。
例えば、自己主張が強い子は頭に浮かんだ10個の言葉を片っ端から声に出します。
しかし、引っ込み思案な子は10個の言葉が頭に浮かんだら、大切な言葉の上位1位を選んで発言します。

絵を描くとき、描きたいすべての要素を詰め込んだらゴチャゴチャした絵になり
「一番に伝えたいこと(主題)」があいまいになります。
一番伝えたいことを選び出せる力はクリエイティブなセンスです。

<自己表現や感情発散ができるから>

引っ込み思案な子の中には「言いたいのに言えない」と欲求不満を抱えている子どもがいます。
また、自己表現する方法を言葉しかもっていない場合は、思っていることをうまく伝えることができずにストレスを抱えているかもしれません。

絵は、言葉では表現できないことも自分のペースで表現することができます。
引っ込み思案な子は、周囲にせかされることがなく、安心できる環境があれば自己表現することができます。
そして自己表現することで感情を発散させることができます。

クリエイティブなセンスは、ときに言葉以上に強く雄弁に語る手段にもなります。

引っ込み思案な子に適した絵画教室の選び方

引っ込み思案な子は、観察力と描くべきことを選び出す力を持っています。
頭で考えたことを思うように表現するためには、表現力が必要です。
絵の表現力は絵画教室で学ぶことができます。
引っ込み思案な子に適した絵画教室は「子どもの可能性を信じて気長に表現を待ってくれる教室」です。
スキル向上を重んじる教室は、子どもの可能性を信じるというよりも白紙に字を書き込むように指導を詰め込みます。
それでは引っ込み思案な子の「良さ」が出る隙はありません。
まずは先生が「この子には可能性がある」と信じて待ってくれることで、
子どもは安心してポツリポツリと選び抜いた言葉や絵を自分の外に出します。
そして、ポツリポツリと出始めた「自己表現」は、あるタイミングで堰を切ったかのようにあふれ始めるのです。

絵画教室の雰囲気は先生だけで作られるわけではありません。
在籍している子どもたちによっても違います。引っ込み思案な子は、敏感に空気を感じます。
絵画教室を選ぶときには、体験入学をして実際に教室の雰囲気を感じてみることをおすすめします。

おわりに

引っ込み思案な性格は、時と場合によって良し悪しがあります。
大人からみれば、自分の意見をはっきりと言えないと、いつか困るときがくると心配になります。
しかし、子どもは成長する過程でさまざまな苦労をします。
言わなければならないことは、必要に応じて自然と言えるようになるのではないでしょうか。

「できないことをできるようにさせる」という視点ではなく「できることを伸ばす」という視点で子どもをみることが子どもの自己肯定感を伸ばし、引っ込み思案のデメリットを減らすコツなのかもしれません。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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