子育て世代で「男の子は外で元気に走り回り、女の子は家の中で静かに遊ぶ」という考えを持っている人はかなり減っています。
しかし今でも「絵画教室は女の子の習い事」と考える人は一定数いるのかもしれません。
今回は、男の子の成長の特徴と成長に適した絵画教室の選び方をお話しします。
目次
「男の子は」「女の子は」という時代は終わっている
子育て世代が子どもだった時代は、男の子の習い事といえばサッカーや野球、女の子の習い事といえばピアノやバレエでした。
しかし今は、男女の区別はほとんどありません。
学校でピアノの伴奏者を募れば男女関係なく立候補者がいます。
女子サッカーが一般的であることはご存じのとおりです。
今は学校の制服でも男女で区別するのではなく、I型やⅡ型と呼びます。
習い事は、子どもの個性や特性に合ったものを選ぶことが大切です。
親が「男の子は」「女の子は」という意識で子どものも習い事を選んでしまうと、
せっかくの個性や特性を見落としてしまうかもしれません。
男の子の成長にいい絵画教室
「習い事に男女の区別は必要ない」と言いつつも、男女の違いはあります。
ここからは、成長の過程の男女の違いに注目しながら、
男の子の成長にいい絵画教室を選ぶポイントをお話しします。
<反抗期前に自分の表現ができるように指導できる絵画教室>
思春期になると反抗期が始まります。
親にとって反抗期は大変な時期ですが、子どもにとっては自我が芽生える大切なものです。
反抗期を難なく乗り越えられる家庭もあれば、大変な思いをする家庭もあります。
その違いは、子どもを子どもとして扱ってしまう家庭とひとりの大人として扱っている家庭との違いではないでしょうか。
反抗期の子どもは、大人半分子ども半分まで成長しています。
しかし、大人のように上手に気持ちをコントロールすることができなかったり、
子ども扱いされたりすることで反抗するのです。
言葉でコントロールできない感情をぶつけられる「何か」があると、
親も子も上手に反抗期を乗り越える助けになります。
スポーツや部活に打ち込む方法もありますが、運動が苦手な子どもや集団が苦手な子どもには難しい方法です。
絵画も感情をぶつける方法のひとつです。
言葉選びが苦手な男の子でも絵の中ならば好きなように表現することができます。
男の子の成長に適した絵画教室は、男の子が自由に自分の表現ができる教室です。
描きたいけれど描けない状態はストレスです。
反抗期の前に表現したいことを表現できるように指導できる教室を選ぶといいでしょう。
<準備から片付けまでを自分でやらせる絵画教室>
男の子の中には整理整頓が苦手な子がいます。
参観日に自分の子どものロッカーをのぞいて、あまりの汚さに驚いた経験がある人も多いのではないでしょうか。
散らかっている部屋や出しっぱなしのおもちゃをみると、
子どもが片づける時を待っているよりも自分が片づけた方が早いと思い、つい手を出したくなります。
しかし、片づけは本人がやらなければなりません。
親が片っ端から片づけているようでは自立心が育ちません。
絵画教室には準備と片づけが不可欠です。
子どもが小さいときには、絵画教室に送迎する親もいます。
しかし、送迎時は準備と片づけを手伝わず、子ども自身に任せましょう。
とくに迎えのときは「早く帰りたい」と思いますが、グッとこらえます。
筆者の子どもも片付けが遅い方でした。
しかし絵画教室の先生はいつまでも手を出すことなく、焦らすこともなく、
子ども自身で片づけを終えるのを待っていたのです。
はじめは、要領が悪く最後になっていましたが、徐々に片付けに必要な時間を子ども自身が逆算して片づけを始めるようになりました。
さらに片付け時間を短縮するために道具の使い方も工夫するようになったのです。
男の子の成長にいい絵画教室は、絵の描き方を教えるだけでなく、成長に適した手のかけ方を知っている教室です。
焦らせたり怒ったりして教育するのではなく、ゆっくりと待って「自分でやらせる教室」を探してみましょう。
<カリキュラムよりも子どもの好奇心を優先する絵画教室>
男の子の成長の原動力は好奇心と言っても過言ではないでしょう。
絵画教室には年間のカリキュラムがあります。
例えば4月は桜を描き、5月は鯉のぼり作りで6月は梅雨の絵を描くとします。
しかし、絵よりも工作が好きな子どもはたくさんいます。
5月の鯉のぼり作りが楽しくて、6月になっても絵を描く気持ちになれないかもしれません。
そんなとき、無理やり梅雨の絵を描かせるのではなく、
梅雨にちなんだ工作に変更するような絵画教室ならば楽しく通えるでしょう。
好奇心旺盛に成長した子どもは、探求心を持ちます。
探求心を持った大人は、与えられた業務を淡々とこなす人ではなく、
自分で考えて行動し物事を発展できる力を持っています。
絵画教室には、好奇心と探求心を育てる種があります。
その種を育てる力がある教室を選ぶことが大切です。
<途中で投げ出すことをさせない絵画教室>
自由な表現ができて、柔軟にカリキュラムを動かしてくれる絵画教室は、とてもやさしい雰囲気があります。
しかし男の子の教育にはひとつだけ譲れない柱があります。
それは「途中で投げ出すことを許さない」です。
体調やストレスで無理がある場合は例外ですが「飽きたから」「つまらないから」という理由でやめることを許していれば、ガッツが身につきません。
スポーツの習い事は「できた子」と「できなかった子」の線引きがあります。
できた子は達成感を味わい、できなかった子は劣等感を味わいます。
劣等感を味わった子は「今度こそ」と立ち上がることでガッツがつくのです。
絵画教室は自分との戦いです。
苦手ならば苦手なりに最後まで作品を完成させるガッツを求める絵画教室がいいでしょう。
おわりに
「男の子が絵画教室って変ですか」と思う親は、絵画教室には「厳しさがない」と思っているのかもしれません。
たしかに絵画教室にはスポーツの習い事のように「負けるな」「あきらめるな」という熱い言葉は飛び交ってはいません。
しかし作品を作ることは自分との戦いです。
作品は、妥協しようと思えば妥協できます。
しかし妥協した作品をみてイライラするのは自分です。
「負けるな」「あきらめるな」と言う言葉は自分の中で飛び交っているのです。
そして男の子の成長に一番必要なことは「自分に負けない心」なのではないでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。