オンラインによる習い事が増えています。
絵画教室もオンライン化が増え、住んでいる地域を問わず絵を習える機会が増えています。
しかし、オンライン絵画教室は自宅が教室になるため、通学とは違った悩みがあるようです。
今回は、子どもがオンライン絵画教室を楽しく続けるために親がやりたいことをお話しします。
目次
レッスン開始前の準備は子どもと一緒にやる
オンライン絵画教室は自宅がアトリエになるため移動時間がありません。
移動時間がないことは、オンラインのメリットでもありますがデメリットもあります。
それは「気持ちの切り替えができないこと」です。
小さな子どもにとってリビングは家の一部であり、くつろぐ場所です。
いきなり「今からアトリエです」と言われても気持ちが追いつきません。
気持ちを上手に切り替える方法は、レッスン前に準備をすることです。
ダイニングテーブルの上を片づけたり、画材を準備したりすることで徐々に気持ちを切り替えることができます。
しっかりしている親ほどレッスンに間に合うようにせっせと親が準備をしてしまうものです。
子どもはレッスン時間ギリギリまでゲームをして、レッスン開始とともにテーブルに座るという人も多いのかもしれません。
オンライン絵画教室は、通学とは違い移動時間もなく場所も変わりません。
気持ちを上手に切り替えてレッスンに集中するためにも、準備は親がすべてやるのではなく、子どもと一緒に進めるようにしましょう。
レッスン中は「親の視線」を意識させない
オンライン絵画教室と通学の大きな違いは、近くに親がいるかいないかです。
小さな子どもの通学の場合は、アトリエに子どもを預けてレッスンが終わるころに迎えに来ます。
つまり、レッスン中は親の視線がなくなるのです。
一方、オンライン絵画教室はダイニングテーブルを使うことも多く、キッチンから親の視線を感じながらレッスンを受ける子どももいます。
親の視線は、強すぎるとよくありません。
子どもが「これでいいのかな」といちいち親の顔をみるようでは、のびのびとした絵は描けません。
オンライン絵画教室は、絵画教室の場所が自宅に変わっただけです。
親は、先生がその場にいないため「自分がきちんと進行しなくてはならない」と思ってしまうことがあります。
しかし、先生は画面の向こうからきちんと子どもの様子をみて指導しています。
レッスンが始まったら親は「見守る」という意識に切り替えることが大切です。
画面の死角は親がフォローする
オンライン絵画教室はZoomを使って行われることが多いです。
先生の顔を見ながら指導を受けられる一方で、手元を撮影するときにはカメラ位置を動かす必要があります。
子どもは絵を描き始めると夢中になってしまい、カメラの位置を気にしなくなります。
どうしても画面に死角ができてしまうのです。
そんなときには、親がさりげなくフォローしてあげましょう。
親が「ほら、先生が手元を見たいって言っているよ」「カメラに絵を見せて」と指示を出すこともできますが、絵に集中しているならばカメラ位置の調整は親がやってあげた方が集中力を維持させることができます。
もしもスマホとタブレット、パソコンとスマホというように2つの端末が用意できるならば、顔と手元の2か所が映し出せると便利です。
その場合は、どちらかひとつの音量とスピーカーを切ります(ミュートではありません)。
2つとも音量とスピーカーがついているとハウリングを起こしてしまいます。
レッスンが終わってから反省会をしない
親がレッスンを見ていると、つい後から子どもに「前にも注意されていたことだよ」や「もっと早く描けないの!?」とお小言を言いたくなります。
しかし、レッスンが終わってからの反省会やお小言はやめたほうがいいでしょう。
なぜならば「レッスンが終わると反省会が待っている」という流れができるとレッスン自体が嫌になってしまうからです。
子どもが絵画教室を楽しく続けるポイントは、オンラインや通学に関係なくのびのびと楽しく絵を描くことです。
「描いた後に怒られる」という流れは避けたいことです。
お小言や反省会をしないコツは「子どもが楽しかったらOK」と思うことです。
筆者の子どもは通学の絵画教室に通っていましたが、課題によって集中力に波があり、嫌いな課題のときには集中力はゼロになっていました。
そのときに先生から言われた言葉は「こんなときもあるわよ」だったのです。
先生の適度なゆるさが子どもに楽しむ余裕と居場所を与えていたのです。
習い事は、技術を習得することでありお金も使っています。
しかし、1回のレッスンで1回分の技術を習得しなければならないと考えれば親も子も苦痛になります。
お小言を言いたくなったときには「こんなときもあるわよ」と自分に言い聞かせてみるといいのかもしれません。
親のちょっとした余裕が子どもに楽しむ余裕を与えます。
おわりに
オンラインレッスンは、親から先生が見えず、アトリエの雰囲気もわからないため、必要以上に親が気を使ってしまうことがあります。
しかし実際に始めてみると子どもは順応性が高く、距離を感じずにアトリエの雰囲気に入り込むものです。
レッスン中は子どもの動きが見えてしまうため、注意したくなることともありますが、できるだけ親は黒子に徹し、気になることがあれば、先生に相談してみるといいのではないでしょうか。
文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。