独学でイラストを描くことの「限界サイン」4つと対処方法

独学でイラストを描いていると「もう限界」と感じることがあります。
限界状態が続くと、イラストを描くことが苦痛になり、徐々にイラストから離れてしまう事態にもなりかねません。

イラストを描き続けるためには、早めに自分の限界サインに気がつき、対処することが大切です。

今回は、独学でイラストを描いている人にありがちな「限界サイン」を4つと対処方法をお話しします。

同じようなイラストばかり描くようになってきた

イラストが適度に上達し、作品が他の人の目に触れるようになると、ひとつめの限界サインがあらわれることがあります。

それは、同じようなイラストばかり描くようになることです。
独学でイラストを描き続けていると、自分が得意とするジャンルがわかります。

ウサギのイラストが得意な人もいれば、子どものイラストが得意な人もいます。
得意なジャンルがわかることは、強みを得たことでもあります。

ただ、得意なジャンルができると「描ける自分」を維持するために、無意識のうちに同じようなイラストばかり描くようになるのです。

「イラストを描いて」と頼まれれば、いつでも同じイラストを描いて褒められる流れができあがってしまい、新しいジャンルに飛び込む勇気がなくなってしまうのです。

「同じようなイラストばかり描くようになってきた」と感じたら、自分で自分の限界を決め始めているサインです。
独学の限界かもしれません。
新しい可能性をみつけるためにも、早めの対処が必要です。

自分のイラストや環境に不満を感じるようになってきた

独学でイラストを描いている人は、イラストに対する意識が高いため、ただ描くだけでなく積極的に情報を集め環境改善に努めます。

例えば、自分の作品をもっと上手な友達に見せたり、イラストのコンクールに出品することで自分の位置を確かめたりするのです。

しかし、一定の期間が過ぎると自分のイラストや置かれている環境に不満を感じ始めます。

それは「独学で学べること」の限界に達したサインです。
わかりやすく説明すると、子どもが同じTシャツをずっと着ていれば、いずれサイズが小さくなり窮屈になります。
理由は、Tシャツが縮んだわけではなく、子ども自身が成長して大きくなったからです。

独学も同じことが言えます。
能力が少ないときには、せまい世界の中でも十分に学ぶことがあります。
しかし、徐々に成長して能力が高くなれば、今までの世界では満足できず窮屈に感じるのです。

独学だけで世界を広げることは大変です。
自分をもっと成長させるためにも、さらに大きなTシャツ(世界)を探す必要があります。

イメージと完成した作品にギャップを感じるようになってきた

独学に限らず制作をしていると「スランプ」に陥ることがあります。
スランプとは「やってはいるけれど思うような結果がでない状態」です。
イラストを描いてはいるけれど、イメージしたような作品が描けない状態です。

近くに的確なアドバイスをしてくれる人がいれば、スランプを乗り越える方法を教えてくれるかもしれません。
しかし、独学はたった一人で解決しなければならず、スランプをきっかけにしてあきらめてしまうことも多いのです。

スランプは、知らず知らずのうちに陥ります。
もしも「最近、イメージした通りに描けない」と感じることが増えてきたのならば、スランプに足を踏み入れたのかもしれません。

早めに外部に助けを求めてスランプを乗り越えた方がいいでしょう。

自分の最終ゴールがわからなくなってきた

独学で限界を感じる一番のサインが「自分のゴールを見失うこと」です。
イラストの専門学校に通っている人は、卒業がとりあえずのゴールであり、その先には就職してイラストで稼ぐ道があります。

一方、独学でイラストを描いている人は、ゴールのないマラソンを走っているようなものです。
はじめは「好きだから」という理由でイラストを描いていたとしても、それだけでは満足できないときがやってきます。
そのときに具体的なゴールや目標がみつけられないとモチベーションが落ちてしまうのです。

独学の弱みは、業界の視野を広げづらいことです。
自分の知識がすべてであり、ゴールをどこに設置したらいいのかがわからないのです。

独学でイラストを描くことに限界を感じたときの対象方法

独学でイラストを描くことに限界を感じたら「趣味で続けるのか」「もっとイラストを極めたいのか」を自分で決めましょう。

趣味で続けるならば、自分が楽しい状態を維持できればいいため、そのまま独学でもかまわないでしょう。
同じようなイラストを描き続けても、それで満足できる人もいます。
趣味ならば自分のイラストや環境に不満を感じたら、新しい趣味に乗り換える方法もあります。
趣味のゴールは「楽しむこと」のため、あえてつらいゴールを設置する必要はないでしょう。

ただし「もっとイラストを極めたい」と思うならば話は違います。
独学に限界を感じたら、外に飛び出して自分のイラストを高める努力をしましょう。

紹介した4つの「限界サイン」に共通していることは「独学の限界まですでに学んでいる」ということです。
そこからは、自分よりもスキルや情報をもった人からの指導が必要になります。

先生や現場で活躍している人は、自分の作品の特徴や強みを活かす方法、イメージをより具体的に表現する方法、イラスト業界の現状、自分が求めるゴールなど、独学だけでは考えが及ばなかった視野を持っています。

限界サインを感じたときには、自分よりも優れた指導者をみつけることが一番の対処方法です。

おわりに

独学でイラストを描き続けている人は、一番大切な「やる気」を持っている人です。
ただし、独学には限界があります。
限界サインを感じたときには、できるだけ早く対処して、イラストを続けられる環境を整えるようにしましょう。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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