東京ディズニーランドにはアートがつまっている! 見ておきたいパーク内の芸術作品

東京ディズニーランドには、かわいいキャラクターだけでなく、パーク内の展示物や内装や演出まで「芸術作品」とよべるものがたくさんあります。

今回は、ぜひ芸術作品を見る目で見ておきたいパーク内の作品を紹介します。

グラフィックデザインのお手本「アトラクションのポスター」

ディズニーランドのアトラクション付近には、それぞれのアトラクションのポスターが掲示されています。

筆者が美大のデザイン科を受験するときには、平面構成という実技試験がありました。
3時間で1枚の絵を完成させます。

課題には「色数は5色」「直線と曲線のみ」のような条件がありました。
5色以内で色を塗り分けるためには、明度や彩度を考えて色を選ばなければなりません。

直線と曲線のみならば、余計な線を削除してシンプルなデザインにする必要があります。
つまり「洗練された感覚」が必要になるのです。

筆者は、美大受験をするときにディズニーランドのアトラクションのポスターで構成や色使いを勉強しました。
アトラクションのポスターは、写真をコラージュしたり、キャッチコピーを大きく書いたりする「周知目的のポスター」ではなく、一枚の絵として成立する作品です。

例えば、ホーンテッドマンションのポスターは少ない色数ですが「お化け屋敷」の雰囲気とファンタジーの雰囲気の両方を持ち合わせています。
強烈な光を受けた様子を2色で表現する方法もアトラクションのポスターから学びました。

ホログラムや音響のような技術に頼るのではなく、色と構成だけで足を止めさせるポスターは減っています。

ディズニーランドに行ったときには、いつの時代でもグラフィックデザインのお手本といえるポスターをぜひ見てください。

1つで世界観を表現「フロート」

フロートとは、パレードに登場するキャラクターが乗っている乗り物です。
たったひとつの乗り物ですが、フロートがやってくるとたちまち物語の世界観に包まれます。

ディズニーランドのパレードに登場するフロートデザインの素晴らしいところは、365度どこからみられてもいいデザインであることです。

「どの角度から見てもいいデザイン」は意外と難しく、お手本も少ないです。
遠くから見てもぼやけることがない色使い、キャラクターが乗ってもキャラクターがフロートに埋もれることがないデザインは必見です。

買って帰れるアート作品「シルエットスタジオの切り絵」

ディズニーランドのパーク内には、切り絵の実演販売をしている「シルエットスタジオ」という場所があります。
アート作品の多くは、完成した作品をみて選ぶことになります。

しかし、パーク内にあるシルエットスタジオでは購入者をモデルにして、その場でアーティストが切り絵を制作します。
世界にひとつしかないアート作品が手ごろな値段で買えるだけでなく、芸術作品を制作する場面を直接見られる場所としてもおすすめです。

店内には、さまざまな切り絵作品が展示されています。
美術館よりも作品に近づいてみることができることも大きなメリットです。

1年がかりの大作「シンデレラ城のモザイク壁画」

シンデレラ城を通り抜ける通路には5枚の壁画があります。
シンデレラの物語シーンを表現した壁画です。
イタリアンガラスを使って描かれたモザイク壁画は「屋外に展示していいものなの? 」と思うほど精密に作られています。

このモザイク壁画は、ドロシア・レドモンドがデザインしました。
デザイン画に基づいて約120色のイタリアンガラスが作られ、職人の手作業で制作されました。
制作期間は1年ほどといわれています。

モザイク画は、近くで見たときと遠くから眺めたときとでは見え方が違います。
また、日の光が当たっている時間の見え方と日が落ちてからの見え方も違います。絵画とは違った芸術作品を生で見られる貴重な場所です。

シンデレラ城のモザイク壁画には、都市伝説があるそうです。
「この宝石をさわるとよくないことが起こる」「ここをさわると幸せになれる」という夢のある話です。

素晴らしい芸術作品は、見る人に何かしらの感情を抱かせます。
都市伝説が生まれるほど見る人にインパクトを与える作品はなかなかありません。

空間演出デザイン「店舗のショーウィンドウ・ディスプレイ」

ディズニーランドの店舗のショーウィンドウを見たことはあるでしょうか。
店舗のテーマや季節に応じたディスプレイがされています。

ディズニーランドのディスプレイは、販売しているものを並べるだけでなく、ディスプレイ用の小道具を制作して展示しています。

「デコレーター」というディスプレイを専門に行う職種があり、美術系学校の卒業者や経験者が採用されています。

ディスプレイは、デザインの中でも空間演出デザインです。
空間演出デザインといえば舞台美術やパレードのような大規模の作品をイメージしますが、ショーウィンドウという限られたスペースを魅力的に演出することも空間演出デザインになります。

筆者が初めてディスにーランドを訪れたとき、店舗内の装飾に使われていた小道具に感動し「あれを譲ってほしい」とスタッフの方に交渉したことがありました。

もちろん購入することはできなかったのですが、作品を気に入ってくれたことに対して丁寧にお礼を言われたことを覚えています。

おわりに

紹介した作品以外にもディズニーランドにはたくさんのアートがあります。
従業員のコスチュームや建物にさりげなく彫られている彫刻、植えられている木の形までがデザインされています。
次回、ディズニーランドを訪れるときには「アートを見る視点」でパーク内を歩いてみてはいかがでしょうか。

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ)
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業
サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。
在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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