アトリエCHICORA
生徒に直撃インタビューシリーズ

子どもの頃からの絵本づくりの夢を叶えたアトリエCHICORAでのレッスン


東京・四谷にある絵画教室「アトリエCHICORA」(通学)は、絵画・造形からキャラクターに至るまで生徒1人ひとりが「描きたいもの、つくりたいもの」を先生と一緒に見つけ、個々の“好き”を伸ばしていきながら笑顔が増えるようなスクールを目指している。

何よりもユニークな点は、絵本づくりのすべてを学ぶことができる「絵本の学校(Woman Creators College)」、絵本の出版社「CHICORA BOOKS(ちこらブックス)」、女性アーティスト&クリエイターのエージェント「WCB(WOMAN CREATORS BANK)」が同じ運営元による1つのグループとして連動しているため、絵の力を磨いた先には絵本作家としてデビューすることや、イラストレーターとして活動するなどの“可能性”が溢れている点だ。

そこで今回は実際にアトリエCHICORAに通う“生徒さん”に「この絵画教室ならではの魅力」についてリアルな声を聞き出すインタビューを実施。それでは、かなをさん、ご登場お願いします!

かなをさんのプロフィール

静岡県生まれ。大学卒業後、メーカー企業に就職。就業の傍ら、2018年にウーマンクリエイターズカレッジ 10期生として絵本制作を学ぶ。2021年、アーツアンドクラフツが主催する絵本プロジェクトのコンペティションを勝ち抜き、『たくさんよりも、ひとつをたいせつに』のイラストを担当。本作が絵本作家デビュー作となる。
Instagramアカウント:@karankoronkanawo
デビュー作『たくさんよりも、ひとつをたいせつに』(2021年)

絵本作家になるためには
「絵本の学校(Woman Creators College)が
一番向いていると思った」

――かなをさんは昨年2021年に絵本作家デビューをされているんですよね。おめでとうございます。

ありがとうございます!

――やっぱり子どもの頃から絵が好きだったんですか?

はい。絵本が好きで、絵を習ったことはないものの自分流でいろいろな絵を描いていました。我が家になぜか宮沢賢治の絵本が全巻あって、最近懐かしくてよく読んでいます。高校生のときぐらいまでノートに落書き的に絵と文章を描いていた記憶があります。

――本格的に「絵本をつくりたい」とはいつ頃から思いはじめたんですか?

社会人1年目の頃ですね。大学卒業後にメーカー企業に就職して今もそこで働いているのですが、最初は仕事があまり好きになれなくて。「このままじゃダメだ、自分がやりたかったことをやりたい」と考えたときに昔から好きだった絵本をつくりたいと思ったんです。

それで2018年に「絵本の学校(Woman Creators College、以下WCC)」の「絵本作家ユメカナコース」に10期生として通いはじめました。

――絵本のスクールって他にもたくさんありますよね。なぜWCCに?

他のスクールとまったく違ったんですよね。

いろいろネットで検索して調べたのですが、1つはホームページがかわいかったこと。もう1つは、絵の技術だけではなく出版の基礎知識、絵本の流通、プロモーションまで絵本づくりのすべてを学べるカリキュラムがいいなと思ったんです。それが明らかに他の絵本スクールとは違っていて、絵本作家になるために一番向いている学校なんじゃないかと思いました。

――絵本の学校(WCC)に実際に通ってみて、事前に調べたイメージと比べてどうでしたか?

イメージ通りでした。夢の部分だけじゃなくて、大変な部分や出版業界の暗い部分(笑)もちゃんと教えてくれるので、「ここは信用できる学校だな」と思いました。1年間通いましたが、仕事で休んだり、宿題をできなかったりしたこともあったのでもう1回通いたいと思ったぐらいです。

卒業する頃にちょうどアトリエCHICORAが創設されて、1人目の生徒として入学することにしました。

アトリエCHICORAの1人目の生徒に

――かなをさんはアトリエCHICORAの1人目の生徒だったんですね! 最初だと何をするかわからなかったり、不安がありませんでしたか?

不安はまったくなかったですね。

当時は絵本の学校(WCC)の先生がアトリエCHICORAの先生をされるということで、その先生のことをとても信頼していたので。夢を叶える力、みんなに夢を与える姿勢を心から尊敬していたし、私もこういう人になりたいと思っていたので、ぜひ通いたいと思いました。

――アトリエCHICORAではどんな力を身につけたいと思いましたか?

とにかく絵を上達させたいと思いました。

WCCの卒業制作でみんなオリジナル絵本を1冊つくるんですが、自分の絵本ができてうれしい反面、思った通りに描けていないから自分の絵が好きになれないし、10期のまわりがみんなうまかったので人に見せるのが恥ずかしいと感じて……。当時の私の絵を見た先生からは「ピカチュウみたい」と言われていたほどです(笑)。

みんなに見せたくなるような絵を描けるようになって、何冊も絵本を発表したいという夢もありました。

――実際のレッスン内容を教えてください。

基本は生徒それぞれがアナログ、デジタル、アニメ画など自由にやらせてもらえる環境でした。描きたいものを描けるんです。ひたすら「りんごを描いて」と言われたら、飽きてしまっていたと思います。

その中でも初期はデッサン、クロッキーなど絵画の基礎をしっかり教えてもらって、物体の陰影などを表現できるようになりました。その後はパースですね。私はパースを知らなくてめちゃくちゃだったので、こういう基礎をちゃんと教えてもらったことで絵のレベルは確実に上がったと思います。

――自由に描けるのでクラスの雰囲気もよさそうですね。

最初は創設したばかりだったので数人だったんですけど、すぐにクラスの人数が増えて、クロッキーで描いたものをみんなで見せあったりして。ストイックに絵を練習するわけではなく、みんなで楽しく刺激しあいながら切磋琢磨する学生のクラブ活動のようになっていきました。

アトリエCHICORAは面白い変な人ばかりが集まってるので(笑)同じものをクロッキーで描いても人によってまったく違うんです。先生からも褒められたり、アドバイスをもらったりして、本当に楽しかったです。

――アトリエCHICORAと通う前と比べて、どのような「変化」を感じましたか?

少しずつですが自分が描いた絵を人に見せられるようになって、描きたい絵がわかってきた感覚があります。

絵を描く人がたくさんいるなかで自分の絵柄を確立していくことが大事なことだと思っていて、通う前よりもそこはだいぶ明確になってきていると感じます。それは絵画の基礎を学べたことはもちろん、アトリエCHICORAでは他の生徒さんの絵をたくさん見る機会があったことで自分の特徴を客観視できたことと、先生から絵に関するアドバイスはもちろん私に合ったペンなど実践的なことを教えてもらえたことがとても大きいと思っています。それでインスタグラムで自分の絵を公開できるようになりました。

あとはデジタル画ですね。

――デジタル画はアトリエCHICORAで学んだんですね。

はい、絵本の学校(WCC)ではアナログ画を描いていて、これからは時代の流れもあってデジタル画も描きたいと思っていたんです。それでアトリエCHICORAに入ってその希望を先生に伝えて、デジタル作画にあったiPadを先生と一緒に探してもらって。

デジタル画も教えてもらえるので半年ぐらい描き続けたら、だいぶ描けるようになったと思います。私は絵を描くのが本当に好きなので、夢中になると寝るのを忘れて描き続けてしまうんですよね……。日中は社会人として働きながら、帰ってきたら1日ごとに1人の女の子の写真を見ながら必ず描くようにして、先生からアドバイスやフィードバックをもらって。先生からも上達スピードに驚かれて、とてもうれしかったです。

「短期間でここまで成長したことは凄い」
コンペで言われた言葉

――絵の練習を続け、上達し続けて、ついに2021年に絵本作家デビュー。その経緯について教えてください。

2021年にアーツアンドクラフツさんという会社が主催した、絵本の学校(WCC)卒業生対象の絵本プロジェクトのコンペティションに参加させてもらったんです。そこで作画担当として選んでいただきました。実在する女性ジュエリー職人の方をモデルにした物語で、文章は松本えつをさんが担当しています。

 『たくさんよりも、ひとつをたいせつに』(2021年)

 コンペでは私がアトリエCHICORAに通う前に描いた絵も見てもらったんです。まわりには既に絵本作家として活躍しているプロの方もいたのですが、「短期間でここまで成長したのは凄い。これからが楽しみなかなをさんと組みたい」と言っていただきました。本当にうれしかったです。

――絵本づくりでこだわったポイントは?

とにかく指輪をキレイに描いてほしいというご要望をいただいていたので、指輪だけが絵ではなく本物のように見えるように、とても時間をかけて描きました。いろいろなアドバイスをいただきながら、つくりあげていきました。ぜひ読んでみてください。

――現在は絵本以外でも絵の活動をされているんですよね?

絵本の挿絵、SNSアイコン、ウェディングボード、ロゴマークなど、さまざまな仕事をいただけるようになりました。

あとは、寝かしつけ絵本プロジェクター「kipkip」にも絵を描いていて、それがもう少しで実際に導入されると思います。

――最後に、かなをさんの「今後の夢」を教えてください!

絵本をたくさんつくりたいです!

今、出版化を目指して3冊を自分の中で温めています。灯台守の女性の話、ファンタジーもの、以前にWCCで描いた産婦人科に置く赤ちゃんの絵本のつくり直しとあって、できたらアトリエCHICORAの先生に見てもらって、どうしたら出版化されるかご相談したいと思っています。

――ありがとうございます!

アトリエCHICORAに通えない方へ「オンラインコース」もあります!

東京・四谷のアトリエCHICORAまでは通うことができない――そんな方のためにオンライン絵画教室もご用意しています。詳細は上記リンク先をご確認ください!

かなをさんコメント

「私はメーカー勤務のため転勤で引っ越さなければいけない状況になった場合はオンラインを利用しようと考えていました。住んでいる場所が地方で通えない方や、本職が忙しくて通うのは大変だと感じている方はオンラインという選択も良いと思います!」

取材・文 廣田喜昭

姉妹校のウーマンクリエイターズカレッジ「絵本の学校」(大人向け)はこちら